出雲大社でのお礼参り完全ガイド|正しい作法と参拝ルート・マナーを解説

「出雲大社にお礼参りに行きたいけど、どうすればいいのかわからない……」

そんな想いを抱いている方も多いのではないでしょうか。

願いが叶った後の感謝の気持ちを神様にお伝えするお礼参りは、とても大切な参拝です。

しかし、出雲大社ならではの作法やマナー、効率的な参拝ルートを知らないと、せっかくの感謝の気持ちが十分に伝わらないかもしれません。

この記事では出雲大社でのお礼参りについて、正しい作法から参拝ルート、服装まで詳しくお話ししていきます。

感謝の気持ちを込めた特別な参拝にしていきましょう!

お礼参りとは?出雲大社で感謝を伝える意味とタイミング

お礼参りの本来の意味と心構え

お礼参りとは、願いが叶った後に神様へ「結果報告」と「感謝」を伝える大切な行為です。

単なる参拝とは異なり、お礼参りには具体的な感謝の内容があります。

たとえば「良縁に恵まれました」「仕事が決まりました」といった具体的な報告と共に、神様のご加護への感謝を伝えるのです。

何より大切なのは、形式よりも心を込めること。

どんなに正しい作法で参拝しても、感謝の気持ちがなければお礼参りの意味がありません。

出雲大社でのお礼参りが特別視される理由

出雲大社は「縁結びの聖地」として全国から多くの参拝者が訪れる場所です。

日本最古の歴史書といわれる『古事記』にその創建の由縁が記されているほどの古社であり、古くから多くの人々に慕われてきました。

大国主大神は多くの女神と結婚し、たくさんの子供をもうけたことから縁結びの神様として信仰されています。

このような歴史的背景から、出雲大社でのお礼参りは「ご縁の感謝」を形にする特別な意味を持つのです。

さらに、神々の国と呼ばれる出雲の地に、その象徴のように建つ出雲大社で感謝を伝えることは、より深い霊験を感じられる体験となるでしょう。

願いが叶ったら『いつまでに行くべき』か

お礼参りのタイミングについては、一般的に「できるだけ早く」「1年以内」が望ましいとされています。

ただし、遠方にお住まいの方や事情がある場合は、参拝できる機会に心を込めて伺えば問題ありません。

大切なのは、「参拝しなければならない」という義務感ではなく、「感謝を伝えたい」という気持ちです。

また、お礼参りは1回だけではなく、毎年の節目に感謝を伝えに訪れる方も多くいらっしゃいます。

継続的な感謝の気持ちを持つことも、神様との良いご縁を保つ秘訣といえるでしょう。

出雲大社ならではのお礼参りの作法|二拝四拍手一拝の正しい手順

一般的な参拝作法との違い

一般的には「二礼二拍手一礼」ですが、出雲大社の正式な参拝作法は「二礼四拍手一礼」となります。

全国の神社で多い「二拝二拍手一拝」に慣れている方は、最初は戸惑うかもしれません。

しかし、出雲大社の境内には作法の案内があるため、覚えておかなくても安心です。

ご本殿以外のご社殿をお参りの際にも、この作法にてご参拝下さいとのことですから、境内のすべての社で同じ作法を用います。

二拝四拍手一拝のやり方と注意点

具体的な手順は以下の通りです。

まず、深いお辞儀(90度のお辞儀)を2回繰り返します。

次に、両手を胸の高さで合わせ、右手を少し下にずらして拍手を4回打ちます。

最後に、もう一度深いお辞儀を1回行います。

拍手は右手を少し引くように合わせ、胸の高さにするとよいとされるため、丁寧に音を合わせることを意識してみてください。

姿勢を正し、心を込めて拍手することが何より大切です。

感謝の気持ちを伝える言葉例

お礼参りでは、心の中で感謝の言葉を唱えます。

「〇〇を叶えていただき、ありがとうございました」と端的で心を込めた言葉が望ましいでしょう。

たとえば「良縁に恵まれ、結婚することができました。ありがとうございます」といった具体的な内容を伝えることが大切です。

長い言葉は必要ありません。

むしろ、短い言葉でも真心を込めて伝える方が、神様にしっかりと届くと考えられています。

本殿・神楽殿・摂社末社まで|お礼参りに回る順序と参拝ルート

参拝前に知っておきたい境内の全体像

出雲大社の境内には、素鵞社、御本殿、楼門、八足門、拝殿、西十九社、東十九社など多くの建物があります。

初めて訪れる方にとって、どこから参拝すればよいか迷うことも多いでしょう。

基本的な流れとしては、まず祓社で身を清め、拝殿・本殿を参拝し、その後摂社末社を巡るのが一般的です。

境内は広いため、事前に全体像を把握しておくとスムーズに参拝できます。

本殿・拝殿での参拝の流れ

お礼参りの中心となるのは本殿での参拝です。

拝殿の後方に回ると玉垣(たまがき)に囲まれた御本殿の大屋根が見えてきます。御本殿前に立つ八足門(やつあしもん)から御本殿を望みながら参拝します。

拝殿では一般の参拝を行い、八足門では特に丁寧にお礼の気持ちを伝えましょう。

正月三が日は八足門が開放され、より近くで参拝することができます。

この「お礼参りの中心」となる場所で、感謝の気持ちをしっかりとお伝えしていくことが大切です。

十九社や素鵞社など『お礼参りに訪れたい社』

御本殿を中心として東側と西側に細長いお社があります。これは出雲大社ならではの独特なお社で、十九社(じゅうくしゃ)とよばれます。

毎年旧暦10月は、全国の神々が出雲へお集まりになって留守になるため一般的には神無月と呼ばれますが、出雲地方では神在(かみあり)月と呼びます。十九社はこの時の神々のお宿となるのです。

全国の神々にお参りできる特別な社ですから、お礼参りでもぜひ訪れたい場所です。

御本殿から反時計回りに回って行くと、真後ろには大国主大神の親神でありヤマタノオロチ退治で有名な、スサノオノミコトをお祀りする素鵞社(そがのやしろ)があります。

素鵞社の背後には、出雲大社を見守る八雲山の岩がせり出しています。八雲山は禁足地であり、一般の人は入ることができない聖域となっています。

素鵞社は出雲大社でも特にご利益の大きい場所として知られており、お礼参りには欠かせない社です。

時間別モデルコース(短時間・半日・じっくり)

参拝時間に応じて、以下のようなコースをご提案いたします。

30分コース(本殿中心) 祓社→拝殿→本殿(八足門)→素鵞社

このコースは最低限のお礼参りを効率よく行えます。

90分コース(摂社含む) 祓社→拝殿→本殿→素鵞社→十九社→神楽殿

摂社末社も含めて、しっかりとお礼の気持ちを伝えられるコースです。

半日コース(周辺含む) 上記に加えて、稲佐の浜での砂取りや古代出雲歴史博物館の見学も含めたコースです。

時間に余裕がある方は、じっくりと出雲の歴史と文化に触れながらお礼参りを楽しんでください。

祈祷や初穂料はどうする?正式なお礼参りをしたい人の手順

祈祷をお願いする場合の流れと申込み方法

より正式なお礼参りをしたい場合は、祈祷を受けることもできます。

出雲大社・拝殿の左手にある「社庁舎」にて、御祈願申込書に「住所・氏名・数え年・願意」を記入します。

お礼参りの場合は、願意の欄に「御礼」や「感謝」と記入してください。

受付とご祈祷料の納め。ご祈祷料は5,000円/8,000円/10,000円以上(お気持ち)から選べます。受付後、「祈祷開始時間」が案内されます。

混雑する時間帯は待ち時間が発生する場合があるため、午前中の早い時間帯に訪れるのがおすすめです。

初穂料の目安と表書きの書き方

ご祈祷料は5,000円、8,000円、10,000円以上(お気持ちでお納め下さい)となっています。

封筒の表書きは「初穂料」「御礼」などが適切でしょう。

お礼参りの場合は特に「御礼」と書くことで、感謝の気持ちを表すことができます。

なお、お釣りが必要にならないよう、事前に準備しておくことが大切です。

授与品や御札の取り扱い方

祈祷後に受け取る御札・御守は丁寧に扱い、家の神棚や清浄な場所に安置します。

神棚がない場合は、タンスの上など目線より高い場所に白い布や半紙を敷いて置くとよいでしょう。

古いお守りや御札は、出雲大社の古札納所に返納することができます。

遠方の方は郵送での返納も可能ですが、詳しくは社務所にお問い合わせください。

失礼にならない服装・持ち物・お守り返納のマナー

季節ごとの服装の目安(カジュアルとの違い)

参拝の時の服装は、目上の方にお会いする時のような気持ちで、なるべく身ぎれいな服装を心がけましょう。

夏の場合は涼しくても、過度な露出は避けるようにしてください。

半袖やワンピースは問題ありませんが、タンクトップやミニスカートは神前にふさわしくありません。

冬は防寒をしつつも清潔感を意識し、コートは参拝時に脱ぐなどの配慮が大切です。

特にご祈祷を受ける時など正式参拝の際は、襟付きのシャツやジャケット等、男女ともにフォーマルな服装で臨みましょう。

持っていくと安心なもの(数珠・折り畳み傘など)

参拝に便利な持ち物をご紹介していきます。

数珠は必須ではありませんが、持参すると心が引き締まります。

ハンカチは手水舎での手拭きや、急な雨への対応に重宝するでしょう。

折り畳み傘は出雲の変わりやすい天候に備えて持参することをおすすめします。

小銭は祈祷料や御守の購入に必要ですから、事前に準備しておくと便利です。

古いお守りや御札の返納方法

境内にはお札納所がありますので、古い御守や御札はこちらに返納してください。

返納の際は感謝の気持ちを込めて、丁寧に納めることが大切です。

新しいお守りを受ける際は、どのようなご利益を願うかを明確にして選ぶとよいでしょう。

遠方の方は郵送での返納も受け付けているため、社務所に相談してみてください。

やってはいけない行為(撮影・硬貨を挟む等)

出雲大社で特に注意されているNG行為をご紹介します。

しめ縄に向かって小銭を投げ、挟んだりするのは厳禁です。

公式サイトでも「神聖なしめ縄にお賽銭を投げ入れるという行為は、神様に対して失礼にあたる」と注意されています。

参拝中の大声での会話や、御本殿内での撮影も控えてください。

賽銭箱にお賽銭を入れる際は手を伸ばして静かに入れること。投げ入れるのは絶対にやめよう。

これらのマナーを守って、神様に失礼のない参拝を心がけましょう。

お礼参りと一緒に訪れたい縁結びスポット|稲佐の浜・日御碕神社・境内のうさぎ

稲佐の浜での砂取りと神迎神事の由来

稲佐の浜は『神在月』に全国の八百万の神々をお迎えする『神迎神事』が行われる神聖な浜辺です。

日本海に臨む稲佐の浜(出雲大社より西へ約800メートル)の浜辺の砂を掻き採って素鵞社をお参りし、稲佐の浜で搔き採ってきたその砂を床縁下に置き供え、そして、従来からある御砂をいただいて帰るというものです。

この砂取りは古くから続く信仰で、お清めの砂」の風習で、参拝者が神聖な砂を持ち帰り、お守りや厄除けとして使う文化です。

『稲佐の浜』へは出雲大社の正門から『神迎の道』と呼ばれる、神々を迎える神聖な通りを西へ10分ほど歩いたところにあります。

時間に余裕がある方は、この神聖な道を歩いて稲佐の浜まで足を運んでみてください。

日御碕神社で『日の神様』に感謝を伝える

【伊勢大神宮は日の本の昼の守り、出雲の日御碕清江の浜に日沈宮を建て日の本の夜を守らん】(訳:伊勢神宮が「日の本の昼を守る」のに対し、日御碕神社は「日の本の夜を守る」)と天平七年乙亥の勅にあるように、日御碕神社は特別な意味を持つ神社です。

天照大御神(アマテラスオオミカミ)が祀られていますし、素盞嗚尊(すさのおのみこと)も祀られているため、出雲大社と合わせて参拝するとより深いご利益を得られるでしょう。

厄除けや縁結びをご利益とした霊験あらたかな神社ですから、お礼参りの際にはぜひ足を延ばしてみてください。

出雲大社からバスで約20分という立地も魅力の一つです。

境内に点在するうさぎ像の意味と楽しみ方

出雲大社境内では社務所の南東に位置する「ご慈愛の御神像」と呼ばれる「因幡の素兎」がモチーフとなった大国主大神さまとウサギの青銅の御像があり、その他境内全域に多くのウサギ石像があります。

その数なんと66羽とされており、参拝の楽しみの一つとなっています。

大国主大神さまが神々の従者となって大きな袋を背負いながら因幡の国へ赴かれている途次、赤裸となって苦しみ悩んでいるウサギに出会われ治療され助けられたという「因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)」のお話しは古事記に記され、語り継がれています。

古事記に登場する白うさぎは優しい大国主命に助けられ、また大国主命は白うさぎの後押しでよいご縁に恵まれました。そのためうさぎはご縁を結んでくれる動物としても愛されています。

相撲する兎など、さまざまな表情のうさぎ像があるため、参拝を楽しみながらお気に入りのうさぎを探してみるのも素敵な体験です。

お礼参りという感謝の気持ちと共に、出雲大社の魅力を存分に味わっていきましょう。

まとめ


出雲大社でのお礼参りについて、作法から参拝ルート、マナーまで詳しくお伝えしてきました。

願いが叶った後の感謝の気持ちを神様に伝えることは、とても大切な参拝です。

二拝四拍手一拝の作法を覚え、本殿・素鵞社・十九社などを巡り、心を込めて感謝を伝えてください。

正式な祈祷を受ける場合は初穂料5,000円~を用意し、適切な服装で参拝することも大切でしょう。

また、稲佐の浜や日御碕神社、境内のうさぎ像巡りなど、お礼参りと一緒に楽しめるスポットも豊富にあります。

感謝の気持ちを込めた特別な参拝が、さらなる良いご縁を運んできてくれることでしょう。

出雲大社でのお礼参りを通じて、神様との絆を深め、心豊かな日々を送っていけるよう願っております。