「四国八十八ヶ所を回り終えたけど、お礼参りってどこに行けばいいの?」
そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
長い巡礼の旅を無事に終えることができたら、感謝の気持ちを込めて行うのがお礼参りです。
この記事では四国八十八ヶ所や百観音巡礼後のお礼参り先と、具体的な参拝方法について詳しくお話ししていきます。正しい作法やマナーもマスターして、巡礼の締めくくりを完璧にしていきましょう!
結願とは?満願との違いとお礼参りの意味

お礼参りについてお話しする前に、まずは基本的な用語について整理していきます。
実は「結願」と「満願」には明確な違いがあるのです。
結願の本来の意味と仏教用語としての背景
結願(けちがん)とは、四国霊場八十八ヶ所全てにお参りすることを指します。
この言葉は仏教用語として古くから使われており、決められた期間の修行や巡礼を完了することを意味しています。
つまり、八十八番札所の大窪寺で最後の参拝を終えた時点が「結願」となるのです。
満願との違い(巡礼を終えた達成 vs 願いが叶う)
一方で「満願」は、結願後に高野山にお礼参りすることで完成されます。
結願の後に高野山にお礼参りすることを『満願』といいます。
単純に巡礼を終えるだけでなく、弘法大師様への報告と感謝を込めて高野山を訪れることで、真の意味での「満願」となるのです。
実際に奥の院の納経所で1番から88番まで納経された納経帳を見せると『満願おめでとうございます』と声かけを頂けます。
なぜお礼参りをするのか(感謝・報告・区切りの意味)
お礼参りには深い意味が込められています。
お礼参りは、四国八十八ヶ所巡礼を無事に終えられたことに対して感謝を捧げ、これからの日常生活に向けた祈りを込めるための重要な儀式です。
お遍路の旅は「同行二人」として弘法大師と共に歩む修行の道です。 その旅が無事に終わったことを弘法大師様に報告し、感謝の気持ちを伝えることで、巡礼の旅に真の区切りをつけることができます。
四国八十八ヶ所巡礼後のお礼参り先と手順

四国遍路を結願された方のお礼参りといえば、やはり高野山です。
具体的な参拝先と手順について詳しくご紹介していきます。
お礼参りは高野山・奥之院へ行くのが慣習
お礼参りの行先は、「高野山 奥の院」です。
高野山は弘法大師(空海)が開いた真言密教の聖地であり、弘法大師空海が、今も生きて人々を見守っているという大師信仰の中心聖地となっています。
奥之院は特に神聖な場所で、一の橋から中の橋、御廟橋を渡り、御廟の拝殿である燈籠堂へ約2kmの参道が続きます。
参拝の流れ(到着→納経所→御廟参拝→退出)
奥之院での正式な参拝手順は以下のようになります。
まず、「一の橋」から参拝するのが正式なルートといわれており、弘法大師御廟までは約2キロの道のりです。
一の橋から参道を歩き、中の橋を越え、御廟橋の前で服装を正して一礼してから渡ります。 御廟橋で脱帽し、服装を正し、合掌して一礼。ここから先は撮影禁止区域の神聖な場所です。
燈籠堂で参拝を済ませた後、納経所(御供所)で納経帳に御朱印をいただきます。 夏季(5月~10月): 8:00~17:00 冬季(11月~4月): 8:30~16:30が受付時間となっています。
持参すべきもの(納経帳・白衣など)
お礼参りの際に持参すべきものは以下の通りです。
最も重要なのは、88ヶ所すべての御朱印が記載された納経帳です。 これがあることで、満願のお礼参りであることが証明されます。
また、巡礼で使用した白衣や金剛杖があれば持参することをおすすめします。 ただし、遍路用品の奉納については事前に確認することが大切です。
参拝マナーと服装(静粛・撮影配慮・正装が望ましい)
奥之院は弘法大師が永遠の瞑想に入られている最も神聖な場所です。
そのため、厳格なマナーが求められます。 特に御廟橋から先は撮影禁止となっており、私語は慎んで厳粛な気持ちで参拝しなければなりません。
服装については正装が望ましいとされています。 清潔で上品な服装を心がけ、帽子は必ず脱ぐようにしてください。
アクセスとモデルコース(公共交通・車・宿坊)
高野山へのアクセスは、電車利用の場合、南海電鉄なんば駅から南海高野線で約1時間30分です。 南海電車の難波駅で購入できます 大人:4,500円(小児 1,780円)という「高野山・世界遺産きっぷ」がお得です。
車でのアクセスも可能ですが、駐車場の混雑を考慮して早めの時間帯での移動がおすすめです。
また、せっかくの機会ですから宿坊に宿泊して翌朝のお朝事に参加するのも素晴らしい体験となるでしょう。
百観音巡礼(西国・坂東・秩父)後のお礼参りは善光寺と北向観音へ

百観音霊場を満願された方のお礼参りは、長野県の善光寺と北向観音が定番となっています。
この二つの寺院への参拝には特別な意味があるのです。
なぜ善光寺と北向観音へ行くのか(片詣りを避ける意味)
西国三十三所(もしくは百観音、百観音のいずれか)のお寺をすべて巡って「結願」「満願」したら、善光寺&北向観音(別所温泉)にお礼参りするのが習わしとされています。
これは江戸時代に確立された慣習で、東国から西国三十三所めぐりをした人は、華厳寺(33番)で満願したら、そのまま中山道を通って帰るのが定番ルートだったようです。その帰り道に寄ったのが「善光寺(長野県)」という歴史的背景があります。
さらに重要なのは「片詣り」を避けるという考え方です。 善光寺と北向観音が向き合っていることから、向き合っている事実を基に「片参り」というのは完全な間違いとは言えないとも言えます。
善光寺でのお礼参りの流れ(本堂内での申込・証明書・散華)
善光寺でのお礼参りには特別な手順があります。
満願した御朱印帳を持って申込みをすれば、本堂内でお経をあげて頂けます^^証明所(證)&と特別な散華付きで5000円です。
本堂内での読経は非常に厳粛で感動的な体験となります。 また、本堂には百観音(西国・坂東・秩父観音)の分身仏が安置されていますので、巡礼で訪れた観音様との再会の場でもあります。
北向観音での参拝と「両参り」の意義
北向観音への参拝も忘れてはいけません。
北向観音の御本尊は千手千眼観世音菩薩様ですが、千手観音様は人々を救う手が多いため、ご利益が多いとされており、災難除け、病気平癒などあらゆる現世利益を網羅していると言われます。
一方、信州善光寺の御本尊は阿弥陀如来様ですが、阿弥陀如来は極楽浄土へ導いてくれる来世利益にご利益があります。
つまり、現世と来世両方のご利益を得るために、両方への参拝が推奨されているのです。
祈祷料や費用の目安
善光寺でのお礼参りの費用は5,000円(証明書と散華付き)となっています。
また、通常の御朱印は500円、内陣券(お戒壇巡り含む)は大人1,000円です。
北向観音での参拝は基本的に無料ですが、御朱印をいただく場合は300円程度を見込んでおくとよいでしょう。
お礼参りはいつ行けばいい?時期や期限の考え方

お礼参りのタイミングについて、多くの方が迷われるポイントです。
理想的な時期と現実的な対応について解説していきます。
結願直後に行くのが理想とされる理由
念のためですが、第一番札所の霊山寺や高野山の奥ノ院へ行くお礼参りは必須ではなく、個人の自由ですとされていますが、やはり結願直後に行くのが理想です。
その理由は、巡礼で得た気持ちや体験が最も鮮明な状態で、感謝の気持ちを伝えることができるからです。
また、四国から直接高野山へ向かうルートも確立されており、88番から、あるいは1番から交通機関を使ってその日のうちに高野山に回る方も多いようです。
数か月後・翌年でも問題ないケース
しかし、現実的には結願直後にすぐお礼参りに行けない方も多いでしょう。
実際には、第八十八番札所の大窪寺での結願で終了するお遍路さんも多くいます。また、お参りする場合でも、すぐに訪れる必要もなく、日を改めても問題ありません。
大切なのは、感謝の気持ちを持って参拝することです。 数か月後や翌年になっても、その気持ちがあれば十分にお礼参りの意味を果たすことができます。
季節や混雑を考えたおすすめ時期
お礼参りの時期を選ぶ際は、季節や混雑状況も考慮することが大切です。
春の桜の季節や秋の紅葉の時期は特に美しく、感動的な参拝ができるでしょう。
一方で、ゴールデンウィークやお盆期間中は非常に混雑するため、落ち着いて参拝したい方は避けた方が無難です。
平日や冬場の平穏な時期を選ぶことで、より静寂な環境で感謝の気持ちを伝えることができます。
持ち物・準備と参拝マナーの基本チェックリスト

お礼参りを円滑に行うために、必要な準備とマナーについて確認していきます。
事前にしっかりと準備しておくことで、心に残る素晴らしいお礼参りとなるでしょう。
必須の持ち物(納経帳・小銭・線香・ろうそく)
お礼参りの際に必ず持参すべきものをリストアップしていきます。
まず最も重要なのは、88ヶ所すべての御朱印が記載された納経帳です。 これがお礼参りの証明となりますので、忘れずに持参してください。
納経料や賽銭用の小銭も十分に準備しておきましょう。 御朱印料は通常300円、善光寺のお礼参りでは5,000円が必要となります。
また、線香やろうそくも持参することをおすすめします。 ただし、高野山など一部の寺院では持参したものの使用が制限される場合があるため、事前に確認することが大切です。
服装の注意点(動きやすさと清潔感)
お礼参りでの服装は、清潔感のある上品なものが基本となります。
特に高野山奥之院のような神聖な場所では、正装に近い服装が望ましいとされています。 男性はスーツやジャケットとスラックス、女性はワンピースやスーツが適切です。
ただし、参道を長時間歩くことも考慮して、歩きやすい靴を選ぶことも重要です。 おしゃれなウォーキングシューズや上品なローヒールパンプスなどがおすすめです。
写真撮影や行動マナーで気をつけること
お礼参りでは、特に撮影マナーに注意が必要です。
御廟橋で脱帽し、服装を正し、合掌して一礼。ここから先は撮影禁止区域の神聖な場所となっています。
また、私語は慎み、静寂な環境を保つことが大切です。 携帯電話はマナーモードにし、通話は控えるようにしてください。
参道での歩き方にも気を配り、他の参拝者に配慮した行動を心がけることが重要です。
結願後の御札・お守り・記念品はどう扱う?保管と返納の方法

巡礼中に集めた御札やお守り、記念品の扱いについても悩まれる方が多いポイントです。
適切な方法をご紹介していきます。
御札やお守りを自宅で祀る場合のポイント
巡礼で授かった御札やお守りは、ご利益をいただくために自宅で大切に祀ることができます。
祀る場所は、清潔で静かな場所を選ぶことが大切です。 仏壇がある場合はそちらに、ない場合は棚の上など高い位置に丁寧に安置してください。
毎日の礼拝は必須ではありませんが、感謝の気持ちを忘れずに日々を過ごすことが大切です。
定期的に埃を払い、清潔に保つことでより長くご利益をいただくことができるでしょう。
翌年以降に返納する場合の方法(寺社への返却・お焚き上げ)
御札やお守りは通常、1年を目安に新しいものと交換することが推奨されています。
古い御札は、いただいた寺院にお返しするのが最も適切な方法です。 遠方で直接返納が困難な場合は、郵送での返納を受け付けている寺院もあります。
また、お正月の時期には多くの寺社でお焚き上げが行われており、そこに持参して供養していただくことも可能です。
ただし、決して一般ごみとして処分することのないよう注意してください。
満願記念品や証明書の保存・活用
結願証明書や満願証明書は、一生の記念となる貴重な品です。
これらは額に入れて飾ったり、大切な書類と一緒に保管したりすることをおすすめします。
また、将来再び巡礼を行う際の励みとなったり、家族への精神的な遺産としても価値があります。
デジタル化して保存しておくことで、より長期間の保存も可能となるでしょう。
まとめ

四国八十八ヶ所や百観音巡礼を無事に結願された皆様、本当にお疲れさまでした。
長い巡礼の旅を完遂されたことは、とても素晴らしい功徳です。
お礼参りは、その感謝の気持ちを形にする大切な儀式となります。 四国遍路なら高野山奥之院へ、百観音なら善光寺と北向観音へと、それぞれに意味のある参拝先が定められています。
時期や準備に悩まれることもあるかもしれませんが、最も大切なのは感謝の気持ちです。 その心を持って参拝すれば、必ず意味のあるお礼参りとなることでしょう。
また、この巡礼体験を通じて得られた気づきや成長を、日常生活の中でも大切にしていくことをおすすめします。 巡礼の旅で学んだ感謝の心や思いやりの気持ちは、きっと皆様の人生をより豊かなものにしてくれるはずです。





