「おかげさまで願いが叶いました……でも、お礼参りってどうすればいいの?」
お礼参りは、神様からのご利益に対して感謝の気持ちを込めて行う大切な参拝です。
金刀比羅宮(こんぴらさん)は御本宮まで785段、奥社まで1,368段の石段で有名ですが、正しい作法やマナーを知っていれば、より心のこもったお礼参りができるでしょう。
この記事では金刀比羅宮でのお礼参りの流れから、必要な費用、遠方で行けない場合の対処法まで詳しくお伝えしていきます!
お礼参りとは?金刀比羅宮で行う意味と基本マナー

金刀比羅宮でのお礼参りは、神様に対する深い感謝の表れです。まずは、お礼参りの本質とその意味について確認していきましょう。
お礼参りの本来の意味とは
お礼参りとは、以前に願掛けをした神様に対して、その後のご利益や願いの成就に感謝の気持ちを伝える参拝のことです。
神社におけるお賽銭は、神様への感謝を表すものとされており、特にお礼参りでは「願いが叶ったから」「無事に過ごせたから」という具体的な感謝を込めていきます。
実は、お礼参りには明確な決まりはありません。
しかし、神様のお力をいただいたという感謝の気持ちを形にすることで、さらなるご縁やご加護をいただけるとも考えられています。
金刀比羅宮が「お礼参り」で選ばれる理由
金刀比羅宮の主たる御祭神は、大物主神(おおものぬしのかみ)で、航海の安全や豊漁祈願、五穀豊穣、商売繁昌、病気平癒などに御利益のある神様として、古くから全国の人々のあつい信仰を集めてきました。
また、江戸時代においてお伊勢参りと並び称されたのが、「丸金か京六か」と言われた讃岐の金毘羅大権現(今の金刀比羅宮)であり、昔から多くの人々にとって一生に一度の憧れの参拝地でした。
この歴史的背景からも、金刀比羅宮は特別な想いを抱いて参拝される方が多く、その分お礼参りの場としても深い意味を持っているのです。
初心者が気をつけたい心構えと挨拶の仕方
お礼参りで最も大切なのは、心からの感謝の気持ちです。
参拝時は、まず神様への敬意を込めて一礼をしていきます。その後、手水舎で心身を清めてから本殿へ向かいましょう。
挨拶では、まず自分の名前と住所を心の中で告げ、前回いつ頃にどのような願いをしたかを思い出していきます。
そして、その願いがどのように叶ったか、またはどのような恵みをいただいたかを具体的に感謝の言葉で伝えてみてください!
金刀比羅宮でのお礼参りの正しい流れと作法

お礼参りにも正しい作法があります。ここでは、金刀比羅宮での参拝の流れを詳しく見ていきましょう。
参道に入る前の一礼と鳥居の通り方
表参道から御本宮までの石段は全785段、片道30分ほどの道のりが始まります。
参道に入る前には、まず鳥居に向かって一礼をしていきます。鳥居は神域への入り口を示すものなので、敬意を込めてくぐりましょう。
鳥居をくぐる際は、中央を避けて左右どちらかに寄って通ります。
中央は神様の通り道とされているからです。また、鳥居をくぐった後も、振り返って一礼をするとより丁寧でしょう。
手水舎での清め方(順番と注意点)
手水舎では、心身を清めるために決まった順序で清めを行います。
まず右手で柄杓を持ち、左手に水をかけて清めていきます。次に左手に柄杓を持ち替えて、右手を清めましょう。
その後、再び右手で柄杓を持ち、左手のひらに水を受けて口をすすぎます。口に直接柄杓をつけないよう注意してください。
最後に、柄杓を立てるようにして柄の部分に水を流し、柄杓自体を清めて元の位置に戻していきます。
本宮での拝礼作法(二拝二拍手一拝)
本宮での拝礼は「二拝二拍手一拝」が基本です。
まず、賽銭箱にお賽銭を入れてから、鈴があれば軽く鳴らしていきます。その後、深く2回お辞儀をします(二拝)。
次に、胸の前で手を合わせ、右手を少し下にずらして2回手を打ちます(二拍手)。
手を打った後は、しっかりと手を合わせてお礼の気持ちを込めて祈願していきます。最後に深く1回お辞儀をして(一拝)、静かに退きましょう。
お礼の伝え方|実際の言い回し例
お礼の祈願では、具体的で心のこもった言葉を心の中で唱えていきます。
例えば「○○県○○市の(お名前)です。昨年○月に商売繁盛をお願いいたしましたところ、おかげさまで売上が向上し、無事に一年を過ごすことができました。心より感謝申し上げます」といった形で、具体的に伝えてみてください。
また、願いが完全に叶わなかった場合でも「見守っていただき、ありがとうございました」という感謝の気持ちを伝えることが大切です。
今後ともよろしくお願いしますという気持ちも添えると、より丁寧でしょう。
授与所でのお札・お守りの返納手順
金刀比羅宮の守札・授与品・縁起物は、御本宮・厳魂神社(奥社)・白峰神社の神札授与所で取り扱われています。
前回いただいたお札やお守りがある場合は、授与所で返納していきます。
返納時には「一年間お守りいただき、ありがとうございました」という気持ちを込めて、丁寧にお渡ししてください。返納料は特に決まっていませんが、感謝の気持ちとして初穂料を納める方が多いようです。
新しいお札やお守りをいただく場合は、同時にお願いすることもできます!
階段785段!お礼参り当日の服装・所要時間・体力対策

金刀比羅宮の長い石段は参拝の醍醐味でもありますが、しっかりとした準備が必要です。
本宮まで785段・奥社まで1,368段の道のり
表参道から御本宮までの石段は全785段、片道30分ほどです。さらに、御本宮から奥社まで、距離は約1.2キロメートル、石段は全583段あり、合計すると奥社までは1368段となります。
113段目から大門では特に急な石段となり、「一之坂」と呼ばれます。
この区間は特に傾斜がきついため、ペース配分を考えて登っていきましょう。
階段には段数の表示があるので、それを目標にしながら登ると達成感も感じられます。
所要時間の目安と混雑ピーク
本宮までは健康な大人で片道30分程度、往復で1時間から1時間半を見込んでおきましょう。
奥社まで行く場合は、さらに往復で1時間程度必要です。途中で休憩を取りながら登ることを考えると、全体で2〜3時間は余裕を持って計画してください。
混雑するのは土日祝日、特にゴールデンウィークやお正月期間です。
平日の午前中が比較的空いているので、ゆっくりとお礼参りをしたい場合は平日がおすすめです。
服装・靴・持ち物チェックリスト
服装は動きやすく、汗をかいても大丈夫なものを選んでください。
靴は必ず歩きやすいスニーカーやウォーキングシューズを履いていきます。ヒールのある靴やサンダルは避けましょう。
持ち物として、水分補給用の飲み物、タオル、小銭(お賽銭用)を用意してください。
夏場は日焼け止めや帽子も必要です。また、疲れた時に休めるよう、折りたたみの携帯椅子があると便利でしょう。
高齢者や子ども連れで参拝する場合の工夫
高齢者や小さなお子様連れの場合は、無理をしないことが大切です。
金刀比羅宮の石段500段目にある銀座の「資生堂パーラー」が提供するカフェ&レストラン「神椿」で休憩を取ることができます。ここまでは車でアクセスすることも可能です。
途中でリタイアすることになっても、行けるところまで行ってお参りをすれば十分にご利益はあります。
家族みんなが無理なく参拝できるよう、事前に休憩ポイントを確認しておくことをおすすめします!
夏・冬・雨天など季節別の注意点
夏場は熱中症対策が重要です。早朝や夕方の涼しい時間帯を選び、こまめな水分補給を心がけてください。
冬場は石段が凍結する可能性があるため、滑りにくい靴を選び、防寒対策も忘れずに。
雨天時は石段が滑りやすくなるため、特に注意が必要です。
傘よりもレインコートの方が両手が使えて安全でしょう。また、天候が悪い日は無理をせず、日を改めることも大切な判断です。
お礼参りのお賽銭や初穂料はいくらが目安?返納の仕方も解説

お礼参りでは、感謝の気持ちを形にするためのお金も必要です。ここでは具体的な金額や返納方法について解説していきます。
お賽銭の金額に決まりはある?一般的な目安
神仏へのお礼であるお賽銭は、本来金額に決まりがありません。しかし、お礼参りの場合は通常の参拝よりも気持ちを込めたい方が多いでしょう。
一般的には、願いの大きさや叶った内容に応じて金額を決める方が多いようです。
5円(ご縁)、11円(いい縁)、21円(夫婦で仲良く)などの語呂合わせを用いたり、キリの良い1,000円、3,000円、5,000円といった金額を選ぶ方もいます。
初詣では、お賽銭を奮発する人が多いイメージがありますが、平均額はそこまで高くありませんとあるように、無理のない範囲で感謝の気持ちを込めることが大切です。
祈祷を受ける場合の初穂料レンジ
ご祈祷1件につき、5,000円から承りますが金刀比羅宮の基本的な祈祷料です。
お礼の祈祷を特別に受けたい場合は、事前に社務所にお問い合わせすることをおすすめします。
大きな神社では数万円と提示している場合もありますが、「お気持ちで」と言われた際には3,000円程度を納める方が多いようですとあるように、一般的なお礼の祈祷では3,000円から5,000円程度を目安に考えると良いでしょう。
前回いただいた授与品の返納方法
前回授与していただいたお札やお守りは、御本宮・厳魂神社(奥社)・白峰神社の神札授与所で返納できます。
返納時には「お焚き上げをお願いします」と伝え、感謝の気持ちとして初穂料を納めていきます。
返納料に特別な決まりはありませんが、お守りと同額や、お守りの半額(1000円程度)と言われることが多いですが、500円や300円程度でも十分で、まったく問題ありません。
心を込めて感謝の気持ちを表すことが何より大切です。
お礼参りで新たに授与品をいただくときの流れ
お礼参りと同時に新しいお札やお守りをいただくことも可能です。
まず古いものを返納し、その後新しいものを授与していただくという流れが一般的でしょう。
令和7年〔2025〕4月1日より、御守札・授与品の初穂料を改定することとなりましたとのことなので、最新の初穂料については現地でご確認ください。
新しい授与品をいただく際は、今後一年間お守りいただくための祈願も込めて、丁寧にお受けしていきましょう!
遠方で金刀比羅宮に行けないときの代替方法

遠方にお住まいの方や、体調などの理由で参拝が困難な場合もあるでしょう。そんな時の対処法をご紹介していきます。
郵送でお礼や返納をお願いする方法
金刀比羅宮の守札・授与品・縁起物は、御本宮・厳魂神社(奥社)・白峰神社の神札授与所、または《郵送》で授与いたします。
お礼の手紙とともに、古いお札やお守りを返納することも可能です。
お焚き上げ希望です。おかげさまで心願成就いたしました。ありがとうございました。お守りを返納させていただきますといった文面でお礼の気持ちを伝えていきます。
返納料は現金書留で送り、封筒の中央上部に「初穂料」と書くなどの作法を守ってください。
代理参拝をお願いする場合の注意点
家族や親しい友人に代理で参拝をお願いすることも可能です。
なかには、飼い主の代わりに代参する犬も現れ、「こんぴら狗(いぬ)」と呼ばれていましたという歴史もあり、金刀比羅宮では代理参拝の伝統があります。
代理の方には、あなたの名前、住所、お礼の内容を正確に伝えてもらうことが大切です。
また、お賽銭や初穂料も事前に準備し、感謝の気持ちを込めてお渡ししてください。代理の方にも感謝の気持ちを忘れずに!
近隣の神社での返納を検討するケース
お守りを返納する場合は「お守りを授かった社寺に、直接持ちこんで返納する」のが理想ですが、やむを得ない場合は近隣の神社での返納も可能です。
ただし、事前にその神社に相談し、他所の神社のお札やお守りを受け入れていただけるか確認していきます。
返納時には「金刀比羅宮でいただいたものです」と説明し、お焚き上げをお願いしてください。
どの神社でも、丁寧にお願いすれば快く引き受けていただけることが多いでしょう。
行けない場合でも大切にしたい心構え
物理的に参拝できない場合でも、感謝の気持ちを持ち続けることが最も大切です。
自宅で金刀比羅宮の方角に向かって手を合わせ、心の中でお礼の言葉を唱えることもできます。
また、機会があれば必ずお礼参りに伺うという気持ちを持ち続けていきます。
神様は私たちの心を見ておられるので、真摯な感謝の気持ちがあれば、必ずその想いは届くはずです!
金刀比羅宮と安井金比羅宮の違い|混同しやすい2つの「金毘羅」

「金毘羅」という名前から、混同されやすい二つの神社があります。目的に応じて正しく選んでいきましょう。
香川の金刀比羅宮(総本宮)の特徴
金刀比羅宮は香川県琴平町にある神社で、「こんぴらさん」の愛称で親しまれています。全国に約600ある金刀比羅神社・琴平神社または金比羅神社の総本宮です。
航海の安全や豊漁祈願、五穀豊穣、商売繁昌、病気平癒などに御利益のある神様として、古くから全国の人々のあつい信仰を集めてきました。
785段の石段で有名な、海の守り神として親しまれている神社です。一般的な開運祈願、商売繁盛、健康祈願などの願い事に適しています。
京都の安井金比羅宮(縁切り祈願)との違い
一方、京都の「縁切り神社」として有名なのが、東山にある「安井金比羅宮」(やすいこんぴらぐう)です。
本殿に祀られているのは主祭神の崇徳(すとく)天皇・源頼政公・大物主神(おおものぬしのかみ)で、崇徳天皇が流刑された際、讃岐の金刀比羅宮で一切の欲を断ち切って参籠(おこもり)されたことから、断ち物・縁切りの祈願所として信仰されてきたのです。
「縁切り縁結び碑」といわれる碑があり、そのご利益を求めて行列ができるほどで、特に悪縁を断ち切りたい方や、良縁を結びたい方に人気の神社です。
目的に合わせて参拝先を選ぶポイント
お礼参りの場合は、最初に願掛けをした神社に参拝するのが基本です。
香川の金刀比羅宮で願掛けをしていたなら香川へ、京都の安井金比羅宮で願掛けをしていたなら京都へお礼参りに向かいましょう。
もし初めての参拝で迷った場合は、願い事の内容で選んでください。
一般的な開運祈願、商売繁盛、健康祈願などは香川の金刀比羅宮、人間関係の悩みや悪習慣を断ち切りたい場合は京都の安井金比羅宮が適しています。
どちらも歴史ある素晴らしい神社なので、目的に合わせて選んでいきましょう!
まとめ

金刀比羅宮でのお礼参りは、神様への感謝の気持ちを込めた大切な参拝です。
785段の石段は大変ですが、正しい作法とマナーを守り、心を込めてお参りすることで、より深い意味のあるお礼参りになるでしょう。
遠方で参拝が困難な場合でも、郵送での返納や代理参拝など、様々な方法があります。最も大切なのは、神様への真摯な感謝の気持ちです。
お礼参りを通じて、これまでのご加護に感謝し、さらなる良いご縁を育んでいってください!





