「神棚を祀りたいけど、何から始めればいいか分からない……」

そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

神棚は家庭の中で神様をお祀りする大切な場所ですが、設置方法やお参りの作法など、初めての方には分かりにくい部分もあります。

この記事では、神棚の基本的な祀り方から日々のお手入れまで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。正しい知識を身につけて、清々しい気持ちで毎日を過ごしていきましょう!

今日からできる!神棚設置のミニマム手順

神棚を設置したいと思っても、何を揃えればいいのか迷ってしまうもの。

まずは必要最低限のものから揃えて、できることから始めていきましょう。

まず揃えるもの一覧(神棚・お札・神具・雲字)

神棚を設置するにあたり、最初に準備したいものをご紹介していきます。

初めての方は、神棚本体とお札、基本的な神具があれば十分です。神棚には扉が3つある「三社宮」と、扉が1つの「一社宮」があります。三社宮は複数のお札を並べて祀れますが、一社宮でも重ねて祀れるので、スペースに合わせて選んでみてください。

お札は神宮大麻(伊勢神宮のお札)と、お住まいの地域の氏神神社のお札を用意しましょう。神具としては、水玉1個、皿2枚、榊立て1対、瓶子1対、神鏡1個が基本セットとなります。すべて揃えるのが難しい場合は、まず水と塩、お米をお供えできる器から始めても構いません。

また、マンションなど上階に部屋がある場合は、「雲」という文字を書いた紙や木製の雲字を用意します。これは神棚の上には空しかないという意味を表すためのものです。

神棚や神具は神具店のほか、ホームセンターでも購入できます!

設置に最適な場所と向き(南向き・東向きの意味)

神棚を設置する場所選びは、とても重要なポイント。

理想的なのは、神棚の正面が南向きまたは東向きになる場所です。つまり、北側の壁か西側の壁に設置することになります。南向きや東向きが良いとされるのは、天照大御神が太陽を司る神様であることに由来しており、太陽の光がよく当たる方角が縁起が良いと考えられているからです。

ただし、住宅事情によっては理想的な方角に設置できないことも。その場合は方角にこだわりすぎず、神様を丁寧にお祀りできる場所を選ぶことが何より大切です。

設置場所としては、家族が集まるリビングや和室など、明るく清潔な場所がおすすめ。トイレやキッチンなど水回りの近く、玄関や扉の上など人の出入りが多い場所は避けましょう。また、神棚と仏壇を同じ部屋に置く場合は、向かい合わせにならないよう配置してください。お参りする際にどちらかに背を向けることになってしまうためです。

神様が落ち着いてくつろげる場所を意識して選んでみてください!

高さと位置の決め方(「目線より上」が基本)

神棚を設置する高さには、明確なルールがあります。

必ず大人の目線よりも高い位置に設置しましょう。神棚を目線より低い場所に置くと、神様を見下ろす形になり失礼にあたります。天井に近い位置が理想的ですが、お供え物の交換がしやすいよう、手が届きやすい高さも考慮してください。

壁に直接取り付けるのが難しい場合は、本棚やタンスの上を利用しても問題ありません。ただし、置く場所の上を人が歩くことは避けるべきとされています。

戸建ての場合は、上階に廊下や部屋がない場所を選ぶのが望ましいです。マンションなど上階に部屋がある場合は、神棚の真上の天井に「雲」または「天」の文字を貼りましょう。これにより、神棚の上には何もないという意味を表すことができます。

神棚の前にはお参りしやすいようスペースを確保しておくことも大切です!

今日中に祀れる!最短ステップチェックリスト

ここまでの内容を踏まえて、最短で神棚を設置する手順をまとめていきます。

まず、設置場所を決めて棚板を取り付けるか、家具の上に置く準備をします。次に神棚本体を設置し、お札を納めましょう。お札に巻いてある薄紙(上巻紙)は取り外してから納めてください。

神具を配置したら、お米・塩・水をお供えします。榊があれば榊立てに水を入れて飾りましょう。最後に二拝二拍手一拝の作法でお参りすれば完了です。

設置後は、できれば近所の氏神神社に連絡して、神主さんに神棚清祓いの儀式をしてもらうのが理想的。ただし、これは必須ではありませんので、難しい場合は自分たちでお参りを始めても構いません。

大切なのは神様を敬う気持ちです。完璧を目指すよりも、まずは始めてみることが大事ですよ!

お札の種類と並べ方|一社宮・三社宮の基本を図解で解説

神棚にお祀りするお札には種類があり、並べ方にも決まりがあります。

しかし、一度覚えてしまえば難しいことはありません。

お札の種類と意味(神宮大麻・氏神・崇敬神社)

神棚にお祀りする基本のお札は3種類です。

まず「神宮大麻」は、三重県伊勢市に鎮座する伊勢神宮のお札のこと。天照大御神をお祀りしており、日本人の総氏神様とされています。次に「氏神大麻」は、今住んでいる土地をお守りくださる氏神様のお札です。地域の神社で授与されており、その土地に住む人々を守ってくださいます。

そして「崇敬神社のお札」は、個人的に信仰している神社や、旅行先で授かったお札などです。これらのお札は何枚あっても大丈夫。日本全体をお守りくださる天照大御神と、今住んでいる場所をお守りくださる氏神様、そして個人的に崇敬する神様の三柱をお祀りするというのが基本的な考え方となります。

お札には神様の御霊が宿っているとされるので、大切に扱いましょう!

三社宮の並べ方(中央・右・左の順序)

三社宮は扉が3つあるタイプの神棚で、それぞれの扉にお札を納めていきます。

中央が最も位が高い場所となるため、ここに神宮大麻を納めましょう。向かって右側(神様から見て左側)には氏神大麻を、向かって左側(神様から見て右側)には崇敬神社のお札を納めます。

この並び順は、中央→右→左という順番で位が高いと覚えてください。扉は閉じていても開けていても構いませんが、一般的には神社にならって閉じておくことが多いです。普段は少しお札が見える程度に開き、お正月や氏神様のお祭りの際には全開にして、海の幸や山の幸をお供えするのも良い方法です。

崇敬神社のお札が複数ある場合は、左扉に重ねて納めるか、神棚の横に立てかけても構いません!

一社宮の場合の重ね方と注意点

一社宮は扉が1つだけのコンパクトなタイプの神棚です。

この場合は、お札を重ねて納めていきます。手前から神宮大麻、氏神大麻、崇敬神社のお札という順番に重ねましょう。つまり、一番手前に神宮大麻がくるように配置するということです。

重ねる際は、それぞれのお札が少しずつ見えるようにずらして重ねると丁寧です。また、お札の向きはすべて同じ方向に揃えてください。

一社宮はスペースが限られる住宅でも設置しやすく、お手入れもしやすいのがメリット。三社宮と比べて格が低いということはありませんので、住環境に合わせて選んでみてください。

最近ではモダンなデザインの神棚も増えていますので、洋室にも合うものを探してみるのも良いでしょう!

複数の神社でお札を受けた場合の優先順位

旅行先や様々な神社でお札を授かることもあるでしょう。

基本的には、神宮大麻→氏神大麻→崇敬神社という順位を守れば問題ありません。崇敬神社のお札が複数ある場合は、ご自身が特に大切にしている神社のお札を手前に配置すると良いでしょう。

ただし、お札が神棚に入りきらない場合は無理に詰め込まず、神棚の横に立てかけたり、人の目線より高い位置に別途飾ったりしても構いません。大切なのは、神様への敬意を持って丁寧に扱うことです。

また、お祈祷を受けた際にいただく個人名や会社名が書かれた「御祈祷札」については、神棚の空いている場所や脇に並べて飾ると良いでしょう。

神棚に入らないからといって、お札をしまい込んでしまうのは避けてください!

お札の入れ替え時期と処分(返納)の方法

お札は1年に1度、新しいものに交換するのが基本とされています。

年末年始のタイミングでお札を交換する方が多いですが、お札を授かった時期から1年後に交換すれば問題ありません。1年間家族を見守ってくださった感謝を込めて、新しいお札に交換しましょう。

古いお札は、そのお札を授かった神社に返納します。神社の境内には「古札納所」や「納札所」が設置されていることが多いので、そこに納めてください。納札所の近くに賽銭箱が置いてあれば、気持ちの分だけお賽銭を入れましょう。

授かった神社が遠方で直接返納できない場合は、郵送での返納も可能です。ただし、郵送での返納を受け付けていない神社もありますので、事前に神社に連絡して確認してください。郵送する際は、お札を白い紙で包み、封筒の表書きに「お焚き上げ希望」と記し、感謝の気持ちを添えた手紙と返納料(お札と同額程度)を現金書留で送ると良いでしょう。

伊勢神宮など大きな神社では、他の神社のお札も引き受けてくれることがあります!

神具・神饌の配置と毎日のお供えルーティン

神棚にお供えするものを神饌(しんせん)といいます。

毎日のお供えを習慣にすることで、神様への感謝の気持ちを表していきましょう。

基本の神饌セット(米・塩・水・酒・榊)

神棚にお供えする基本の神饌は、お米・お塩・お水・お酒・榊の5つです。

お米は洗い米か炊いたご飯をお供えします。お塩は少量を白い小皿に盛りましょう。お水は水器という専用の器に入れてお供えします。お酒は瓶子という器に入れますが、毎日交換するのが難しい場合は、月に2回(1日と15日)に新しいものをお供えする方法もあります。

榊はツバキ科の常緑樹で、神様の宿り木とされています。榊立てに水を入れて飾りましょう。榊も月に2回(1日と15日)に新しいものに交換するのが一般的です。榊が手に入りにくい地域では、常緑樹の杉や樅でも構いません。

神具店で専用の器を購入すると、より丁寧なお祀りができますよ!

正しい配置と置く順番(中央=米、左右=塩・水)

神饌の配置には決まった順序があります。

神棚の真正面が最上位となるため、中央手前にお米をお供えしましょう。お米の両側には御神酒を置きます。そしてお米の右にお塩、左にお水を配置してください。

より丁寧にお供えする場合は、三宝や八足台という台に神具を乗せてお供えします。果物やお菓子をお供えする際は、別に三方や長膳を用意して隣にお供えすると良いでしょう。

御神酒とお水の蓋は取ってお供えします。また、器の継ぎ目は手前に向けるのが作法です。

配置に迷った場合は、中央が最も重要な位置と覚えておきましょう!

交換のタイミングとお下がりの扱い方

お米・お塩・お水は、基本的に毎日取り替えるのが理想的です。

朝にお供えして、夕方頃に下げるというのが一般的な流れ。下げたお供え物は「お下がり」として、家族でありがたくいただきましょう。神様が召し上がった神饌をいただくことで、ご利益を受けられると考えられています。

お酒と榊は月に2回、通常は1日と15日に新しいものをお供えします。季節の野菜や初物の魚などをお供えする場合は、傷まないうちに下げてください。

鏡餅は鏡開きの日(1月11日)に合わせて神棚から下げます。お下がりを当日中にいただくことで、無駄なく神様の恵みを受け取れます!

忙しい人でも続けられる簡単ルーティン例

毎日のお供えが負担に感じられる方もいるかもしれません。

そんな方のために、続けやすいシンプルなルーティンをご紹介していきます。まず、毎日のお供えは水だけでも構いません。朝起きたら新鮮な水を水器に入れてお供えし、二拝二拍手一拝でお参りします。夕方に水を下げたら、水器を軽く洗って次の朝に備えましょう。

お米とお塩は週に1回、週末などに交換する方法もあります。榊は月に2回(1日と15日)の交換を目安にしてください。

大切なのは、完璧を目指すことよりも、できる範囲で続けることです。神様を敬い大切にする心があれば、無理のない方法でお祀りしても問題ありません。

自分の生活リズムに合わせて、続けられる方法を見つけてみてください!

賃貸・マンションでも安心!方角・高さ・壁面設置の工夫

賃貸物件やマンションでは、神棚の設置に制約があることも。

しかし、工夫次第で十分にお祀りすることが可能です。

壁に穴を開けない設置法(棚・お札立て・モダン神棚)

賃貸物件で最も気になるのが、壁に穴を開けられないという問題でしょう。

そんな場合は、既存の家具を活用する方法がおすすめです。本棚やタンスの上に神棚を置けば、壁に穴を開けずに設置できます。ただし、置く場所は大人の目線より高い位置を選んでください。

また、壁掛けタイプのモダン神棚を使う方法もあります。最近では、石膏ボードの壁に簡単に取り付けられる金具を使った神棚も販売されています。これなら大きな穴を開けずに設置が可能です。

お札立てを使えば、神棚本体がなくてもお札をお祀りできます。お札立てを棚の上に置くだけなので、賃貸物件でも気軽に始められますよ。

スペースが限られている場合は、コンパクトな一社宮やモダン神棚を選んでみてください!

上階に人がいる場合の「雲字」の貼り方

マンションや2階建て住宅では、神棚の上階に人がいることが多いでしょう。

そんな場合は、神棚の真上の天井に「雲」または「天」の文字を貼ります。これは、神棚の上には何もなく空が広がっているという意味を表すためのものです。

雲字は半紙に自分で書いても構いませんし、神社で神職の方に書いていただいたものを使っても良いでしょう。市販の雲字もあり、紙製のものや木製のものが販売されています。

貼る位置は、神棚の真上の天井部分。画鋲やテープで貼り付けてください。賃貸物件で画鋲が使えない場合は、剥がせる両面テープを使うと良いでしょう。

雲字を貼ることで、神様に対する敬意を示すことができます!

狭い部屋・窓際・エアコンの近くにしか置けない場合の対応

理想的な場所に神棚を設置できないこともあるでしょう。

窓際に設置する場合は、直射日光が強く当たりすぎないよう注意してください。お札が日焼けで傷んでしまう可能性があります。カーテンやブラインドで調整すると良いでしょう。

エアコンの近くに置かざるを得ない場合は、風が直接当たらない位置を選びます。エアコンの風でお供え物が乾燥したり、榊が傷んだりするのを防ぐためです。

狭い部屋で十分なスペースが取れない場合は、コンパクトな一社宮やお札立てを選びましょう。神棚の大きさに厳密な決まりはありませんので、お札がきちんと納まるものであれば問題ありません。

完璧な環境を整えることよりも、神様を敬う気持ちを持ってお祀りすることが何より大切です!

安全面の工夫(落下防止・ペット対策・火気注意)

神棚を設置する際は、安全面にも配慮しましょう。

まず、地震などで神棚が落下しないよう、しっかりと固定してください。棚板を使う場合は、天井からしっかり吊り下げます。家具の上に置く場合は、滑り止めシートを敷くと安心です。

ペットを飼っている家庭では、ペットが神棚に飛び乗ったり、お供え物を食べたりしないよう注意が必要。神棚はペットが届かない高さに設置し、お供え物は早めに下げるようにしましょう。

灯明(ろうそく)を使う場合は、火災に十分注意してください。拝礼が終わったら必ず火を消すこと。長時間火をつけたままにするのは危険です。電池式のLEDろうそくを使う方法もあります。

安全に配慮しながら、長く丁寧にお祀りしていきましょう!

参拝作法・掃除・年末すす払いまで|運用を続けるためのコツ

神棚を設置したら、日々のお参りと定期的なお手入れが大切になります。

基本的な作法を覚えて、習慣化していきましょう。

家庭の神棚でも守りたい参拝作法(二拝二拍手一拝)

神棚へのお参りは、神社でのお参りと同じ作法で行います。

基本となるのは「二拝二拍手一拝」です。まず、神棚の前に進んで軽く一礼します。次に深々と90度に身体を折り、頭を下げる動作を2回繰り返しましょう(二拝)。

その後、両手を胸の高さで合わせ、右手を少し手前に引いて拍手を2回打ちます(二拍手)。再び両手をきちんと合わせて祈念を込めてください。祈りを捧げたら手を下ろし、再び深々と1回頭を下げます(一拝)。最後に軽く一礼して下がりましょう。

より丁寧にお参りしたい場合は、二拝した後に神棚拝詞を唱え、その後に二拝二拍手一拝をする方法もあります。

お参りの前には手と口を清めておくとより良いでしょう!

毎朝の祈り方と感謝の伝え方

神棚へのお参りは、毎朝行うのが理想的です。

朝起きたら、まず身だしなみを整えてから神棚の前に立ちましょう。お供え物を新しいものに交換し、二拝二拍手一拝の作法でお参りします。

お参りの際は、願い事を伝えるというよりも、日々の平穏に感謝を捧げることが大切。「今日も家族が健やかに過ごせますように」「日々の恵みに感謝いたします」といった気持ちでお参りしてください。

家族の慶事(結婚や出産など)があった際は、その旨を神様に奉告すると良いでしょう。また、家族が病気になった際には全快を祈願します。

毎朝のお参りを習慣にすることで、清々しい気持ちで一日を始められますよ!

神棚の掃除手順と注意点(触る順番・仮置きの仕方)

神棚は常に清潔に保つ必要があります。

定期的な掃除を心がけましょう。掃除の際は、まずお供え物を下げてから、神具を丁寧に取り外します。神具は水洗いしてきれいにしてください。ヒビが入っていたり、汚れが取れない場合は新しいものに買い替えましょう。

神棚本体は、乾いた布巾でホコリや汚れを拭き取ります。水拭きは木材を傷める可能性があるので避けてください。お札は基本的に取り出さず、そのままにしておきます。

掃除中にお札を仮置きする必要がある場合は、白い布や紙の上に置き、丁寧に扱いましょう。決して床に直接置いたり、粗末に扱ったりしないでください。

掃除が終わったら、神具とお供え物を元の位置に戻してお参りしましょう!

年末のすす払いとお札の更新方法

年末には、いつもより念入りに神棚をきれいにしましょう。

12月中旬頃に「すす払い」として大掃除を行います。この際、しめ縄が古くなっていたら新しいものに交換してください。神具も点検し、傷んでいるものがあれば新調します。

お札の交換は、年末年始のタイミングで行うのが一般的。年末に古いお札を神社に納め、新しいお札を授かりましょう。お札を交換する際は、1年間家族を見守ってくださった感謝の気持ちを込めて、丁寧に扱ってください。

新しいお札を神棚に納めたら、新年を迎える準備は完了です。お正月には海の幸や山の幸など特別なお供え物をして、神様に感謝を伝えましょう。

年の初めに神棚をきれいにすることで、清々しい気持ちで新年を迎えられます!

神棚トラブルQ&A集|よくある疑問と対応策

神棚を祀っていると、様々な疑問が生じるもの。

よくある質問と対応策をまとめてご紹介していきます。

北向き・西向きしか置けないときはどうすればいい?

理想は南向きか東向きですが、住宅事情によっては難しいことも。

北向きや西向きにしか置けない場合でも、神棚を祀ること自体に問題はありません。大切なのは、神様を丁寧にお祀りできる場所かどうかという点です。

方角にこだわりすぎず、清潔で明るく、家族が参拝しやすい場所を優先して選んでください。そして、神様への敬いを持って「できるカタチでおまつり」することが何より重要です。

どうしても方角が気になる場合は、神社の神職の方に相談してみるのも良いでしょう。地域によって考え方が異なることもあります。

神様を大切に想う気持ちがあれば、方角は二の次と考えて問題ありません!

お札が複数あって入りきらないときは?

旅行先などで複数のお札を授かることもあるでしょう。

神棚に入りきらない場合は、無理に詰め込まず、崇敬神社のお札を神棚の横に立てかけたり、人の目線より高い位置に別途飾ったりしても構いません。お札立てを追加で用意するのも良い方法です。

また、一社宮の場合は、お札を重ねて納めるので、ある程度の枚数は収納できます。ただし、あまりに多くのお札を重ねると見栄えが悪くなるので、本当に大切なお札だけを厳選するのも一つの考え方です。

お祈祷を受けた際の御祈祷札は、神棚の脇に並べて飾るのが一般的。これらも人の目線より高い位置に、南向きか東向きに飾りましょう。

お札の数が多すぎて管理が難しくなったら、古いものから順に神社に返納していくことも検討してみてください!

喪中や忌中に神棚はどうすればいい?

家族が亡くなった際は、「神棚封じ」を行います。

神棚封じとは、神棚の扉を閉じて、正面に白い半紙を貼ることです。これは神様を死の穢れから守るための儀式とされています。神棚封じは、葬儀が終わって帰宅した後、または故人の遺体を自宅に安置する場合は枕飾りを終えた後に行います。

神棚封じを行う前に、神様に故人の死を報告し、神棚を封じることを伝えましょう。そして榊やお供え物を下げ、扉を閉めてから中央に白い半紙を貼ります。しめ縄がある場合は、半紙の上から貼ってください。

神棚封じは本来、家族以外の第三者が行うものとされていますが、近年では家族が行うケースも増えています。忌中の期間(神道では50日間)は、神棚へのお参りやお供え物は控えましょう。神社への参拝も慎みます。

忌明け後(神道では五十日祭の後)に神棚封じを解き、以前と同じようにお参りを再開してください!

ろうそくや灯りは絶対必要?

灯明(ろうそく)は、より丁寧にお祀りするための神具の一つです。

しかし、絶対に必要というわけではありません。火災の危険性もあるため、無理に使用する必要はないでしょう。

灯明を使う場合は、お参りの際に火を灯し、お参りが終わったらすぐに消してください。長時間火をつけたままにするのは危険です。火の管理が心配な方は、電池式のLEDろうそくを使う方法もあります。

灯明がなくても、お米・塩・水といった基本のお供え物と、心を込めたお参りがあれば十分です。大切なのは神様を敬う気持ちですので、無理のない範囲でお祀りしましょう。

安全第一で、自分たちに合った方法を選んでください!

お札を受けた神社が遠方のときの返納方法

旅行先で授かったお札など、遠方の神社のものは返納に困ることも。

そんな場合は、郵送での返納が可能です。ただし、すべての神社が郵送返納を受け付けているわけではないので、事前に神社に電話やメールで確認してください。

郵送する際は、お札を白い紙で包み、封筒の表書きに「お焚き上げ希望」と明記します。そして感謝の気持ちを伝える手紙を添えましょう。「1年間お守りいただきありがとうございました。感謝の気持ちとともに返納いたします」といった内容で構いません。

返納料(お札と同額程度、1000円前後)を同封する場合は、現金書留で送ります。神社によっては返納料は不要と言われることもありますが、気持ちとして同封する方が多いようです。

また、伊勢神宮など規模の大きな神社では、他の神社のお札も引き受けてくれることがあります。近くに返納できる神社がない場合は、大きな神社に問い合わせてみるのも一つの方法です!

まとめ

神棚の祀り方について、設置方法から日々のお参り、お手入れまで解説してきました。

神棚を祀る上で最も大切なのは、神様を敬い大切にする心です。完璧な形にこだわるよりも、できる範囲で丁寧にお祀りすることを心がけましょう。

住宅事情によっては理想的な設置が難しいこともありますが、工夫次第で賃貸物件やマンションでも神棚をお祀りすることができます。まずは基本のお供え物から始めて、少しずつ習慣にしていってください。

毎朝神棚に手を合わせることで、日々の平穏に感謝し、清々しい気持ちで暮らしを送れるようになります。家族の絆も一層強まることでしょう。

この記事を参考に、あなたも神棚のある生活を始めてみませんか。神様と共に歩む日々が、きっと心豊かなものになるはずです!