「神社に行くときって、鳥居のくぐり方に決まりがあるのかな……」
そんな疑問を抱いたことはありませんか。
初詣や観光で神社を訪れる機会は多いものの、実は鳥居のくぐり方にはいくつかのマナーが存在しています。知らずに失礼な行動をしてしまうと、神様に対して不敬にあたることも。
この記事では、鳥居のくぐり方の基本から、やってはいけないタブー、混雑時や車椅子利用時の対応まで詳しくお伝えしていきます。
正しい作法を身につけて、気持ちよく参拝できるようになりましょう!
まずは基本!鳥居のくぐり方5ステップで”迷わない”参拝マナー
鳥居のくぐり方には、神様に敬意を示すための基本的な作法があります。
ここでは、誰でも実践できる5つのステップをご紹介していきます!
① 鳥居の前で一礼する意味と正しい姿勢
鳥居は神様の世界と人間の世界を分ける「結界」のような存在です。
したがって、鳥居をくぐる前には必ず一度立ち止まり、神様のお宅にお邪魔するという気持ちで一礼しましょう。
お辞儀の角度は15度ほど、つまり会釈する感覚で頭を下げるのが適切とされています。一の鳥居では軽めに、本殿に近づくにつれて深くお辞儀をするという考え方もあります。
立ち位置は中央ではなく、左右どちらかの端に寄って一礼するのがポイント。
こうすることで、神様の通り道である「正中」を避けることができます。
② 正中(中央)を避け、端を歩く理由
参道の真ん中は「正中(せいちゅう)」といって、神様が通る道とされています。
そのため、私たち人間は正中を神様にお譲りして、右側か左側のどちらかの端を歩くのがマナーです。
鳥居や参道の真ん中には「一本の線がある」とイメージするとわかりやすいでしょう。
人が少ないときは特に、左右どちらかに寄ることを意識してみてください。
ただし、やむを得ず正中を横切る必要がある場合は、軽く頭を下げて横切ると丁寧な印象になります!
③ 外側の足から一歩を踏み出す作法
鳥居をくぐるときの足の順番にも、実は作法があります。
右側を歩くときは右足から、左側を歩くときは左足から踏み出すのがお作法です。
これは「神様にお尻を向けないこと」が大切だからです。
正中から遠い方の足、つまり外側の足から入ることで、体が正中に対して横向きになり、お尻を向けずに済みます。
最初の一歩だけ意識すれば、二歩目以降は普通に歩いて構いません。
④ 鳥居の敷居(段差)は踏まずにまたぐ
鳥居に段差や敷居がある場合は、踏まずにまたぐようにしましょう。
敷居は神域への入口であり、神聖な場所の境界を示すものです。
そのため、敷居を踏むことは神様に対して失礼にあたるとされています。
意識してまたぐようにすれば、より丁寧な参拝になります!
⑤ 出るときも振り返って一礼で締める
参拝を終えて鳥居をくぐる際も、神社の方へ振り返って一礼しましょう。
このとき、振り返る方向にも注意が必要です。
「正中側に振り返る」のが正しい作法とされています。つまり、鳥居の外側を向いて振り返るのではなく、鳥居の内側(正中側)を向いて振り返るということ。
こうすることで、ここでも正中にお尻を向けずに済みます。
最後まで神様に敬意を払って、気持ちよく神社を後にしましょう!
やってはいけない行動リスト|知らないと恥をかく鳥居のタブー
鳥居を通る際には、避けるべき行動がいくつか存在しています。
ここでは、知らないうちに失礼な行動を取ってしまわないよう、代表的なタブーをお伝えしていきます。
中央を堂々と歩く(正中を通る)
すでにお伝えしたように、参道の中央は神様の通り道です。
そのため、正中を堂々と歩くのは神様に対して失礼にあたります。
人が多く混雑しているときは仕方ありませんが、人が少ないときは左右どちらかに寄ることを意識しましょう。
また、写真撮影のために正中に立ち止まるのも避けるべき行動。
常に神様への敬意を忘れずに、端を歩くことを心がけてみてください!
帽子やフードを被ったまま通る
帽子やサングラスを付けている場合、神社に入るときは外すようにしましょう。
これは、神職の方々が帽子やサングラスを着用していないことからもわかるように、神様の前では身なりを整えるのが礼儀だからです。
フードを被ったままくぐるのも同様に避けるべきです。
鳥居の前に来たら日傘もしまい、帽子やサングラスは取りましょう。
防寒や日よけのためであっても、鳥居をくぐる前には一度外すことをおすすめします。
鳥居の下で大声・写真撮影・スマホ操作
鳥居の下は神様の領域への入口であり、神聖な場所です。
そのため、大声で話したり騒いだりするのは控えましょう。
鳥居を神域の外から撮るなら問題ありませんが、鳥居の下で立ち止まって撮影するのは避けるのがベターです。
また、スマートフォンの操作に夢中になって立ち止まるのも、他の参拝者の迷惑になります。
撮影や連絡は鳥居の外で済ませ、神域に入ったら落ち着いた態度で参拝することが大切です!
飲食・喫煙しながら通過
飲食や喫煙をしながら鳥居をくぐるのは、神様に対して非常に失礼な行為。
神社は神聖な場所であり、参拝する際には心身を清めることが求められます。
したがって、飲み物を飲みながら、食べ物を食べながら、タバコを吸いながらといった行為は厳禁です。
鳥居の外で飲食や喫煙を済ませてから、改めて参拝するようにしましょう。
境内での飲食も、指定された場所以外では控えるのがマナーです!
一礼を省略して素通りする
急いでいるときや人が多いときでも、一礼を省略して素通りするのは避けたいところ。
鳥居の前での一礼は、神様への敬意を表す大切な作法です。
立ち止まって深くお辞儀をする余裕がない場合でも、せめて軽く会釈をしながら通過しましょう。
形式的な作法も大切ですが、何より「神様のお宅にお邪魔する」という気持ちを持つことが重要。
心を込めた一礼があれば、神様もきっと受け入れてくださるはずです!
なぜ正中を避けるの?足の出し方や”左足説”の真相を神職の見解から解説
正中を避ける理由や足の出し方について、より詳しく見ていきましょう。
ここでは、よくある疑問や誤解についてもお伝えしていきます!
正中は”神様の通り道”という考え方
正中は神様の通り道であり、ご神前の延長線と捉えられています。
そのため、正中を堂々と歩いたり、正面から神様に対峙したりするのは、敬意に欠ける行為とされています。
普段の私たちの生活の中でも、目上の人の真ん前に正面切って立つことはないはずです。神様に対しても同様に、敬うべき存在として正面を避けるのがマナー。
このように考えると、正中を避ける理由も納得できるのではないでしょうか。
ただし、正中を横切る必要がある場合は、軽く一礼することで敬意を示すことができます!
右側から入るなら右足、左側なら左足が正解
正中線に対して外側の足から歩を進めて鳥居をくぐるのが丁寧な作法です。
具体的には、鳥居の右側から入るときは右足から、鳥居の左側から入るときは左足から踏み出します。
これは「正中から遠い方の足から入る」という考え方に基づいています。
神社では正中が最上位、次に左側(神様に向かって右側)、そして右側(神様に向かって左側)という決まりごとがあります。
したがって、下位にある足から入るという意味もあるのです。
難しく考えず、「正中にお尻を向けないように外側の足から」と覚えておけば大丈夫!
「左足から説」は誤解?伝統的作法との違い
インターネット上では「必ず左足から入るべき」という情報も見かけますが、これは誤解です。
鳥居の前が混雑していて鳥居の中央からしか入られない場合は左足から踏み出すとされています。
しかし、基本的には「外側の足から」というのが正しい作法。
右側から入るなら右足、左側から入るなら左足というのが伝統的な考え方です。
「左足から説」は、中央から入る場合の特殊なケースが一般化されたものと考えられます。
神社によっては独自の作法がある場合もありますので、現地の案内に従うのが一番確実です!
中央しか通れない場合の対応法(混雑時・行列時)
初詣などの混雑時には、どうしても中央を通らざるを得ない状況もあります。
初詣のように人が多く混雑している場面では、正中を避けられないこともあるでしょう。
そんなときは「心の中での一礼」や「軽く頭を下げる」だけでも十分です。
また、「進左退右(しんさたいう)」という作法もあり、行きは左側、帰りは右側を通るという考え方も存在します。
混雑時は安全第一で、無理に作法にこだわりすぎないことも大切。
神様も、参拝者の気持ちを重視してくださるはずです!
混雑・雨天・ベビーカー・車椅子…状況別の正しいくぐり方
すべての状況で完璧に作法を守ることは難しいもの。
ここでは、様々な状況に応じた対応方法をお伝えしていきます!
混雑時は”心の中での一礼”でもOK
初詣や祭礼の日など、参拝者が多い日には立ち止まること自体が難しい場合があります。
そんなときは、立ち止まらずに歩きながら軽く頭を下げるだけでも問題ありません。
心の中で「お邪魔します」と念じながら通過するのも良いでしょう。
根底にあるのは「神様に対して失礼が無いように」という気持ちです。
形式よりも、神様への敬意を持つことが何より大切。
混雑時は周囲の安全にも配慮しながら、できる範囲で作法を守っていきましょう!
雨天や夜間は安全優先で中央を通っても問題なし
雨で足元が滑りやすいときや、夜間で視界が悪いときは、安全を最優先してください。
無理に端を歩こうとして転倒したり、暗闇で段差につまずいたりしては本末転倒です。
こうした場合は、中央を通っても神様は咎めないはず。
ただし、心の中で一礼するなど、できる範囲で敬意を示すことは忘れずに。
天候や時間帯に応じて、柔軟に対応していくことが賢明です!
ベビーカー・車椅子利用時の作法と配慮
ベビーカーや車椅子で参拝する場合、通常の作法を守ることが難しいケースもあります。
そんなときは、無理をせず安全に通行できる場所を選びましょう。
段差がある場合は、スロープが設けられているルートを使用するのが賢明です。
また、混雑時は特に周囲への配慮が必要になります。
神社によってはベビーカーや車椅子でも通行しやすいように配慮されている場所もありますので、事前に確認しておくと安心です。
神様は、参拝者の状況を理解してくださるはずです!
複数の鳥居がある神社での礼の回数は?
神社によっては鳥居が複数ある場合があり、境内に入るときにある大きい鳥居、参道の途中にある小さめの鳥居など様々です。
基本的には、それぞれの鳥居で一礼するのが丁寧な作法。
ただし、稲荷神社のように狭い間隔でたくさんの鳥居が並んでいる場合は、すべてで立ち止まる必要はありません。
最初の鳥居と最後の鳥居で一礼する、あるいは心の中で敬意を払いながら通過するなど、状況に応じて判断しましょう。
大切なのは形式ではなく、神様への敬意を持ち続けること。
自分なりのペースで、丁寧に参拝していきましょう!
服装・持ち物・写真撮影マナー|参拝時に気をつけたい”印象”のルール
鳥居のくぐり方だけでなく、服装や持ち物にも配慮が必要です。
ここでは、参拝時の身だしなみについてお伝えしていきます!
服装の基本は”清潔感”と”露出控えめ”
正装をする必要はありませんが、派手な服装や露出は避け、神様に対して失礼のない服装をするのがベストです。
清潔感のある服装を心がけ、肌の露出が多い服装は控えましょう。
また、神社は不浄を嫌うため、動物の殺生を連想させるヒョウ柄などのアニマル柄やレザーバッグ、毛皮は避けるべきとされています。
フェイクであっても、アニマル柄のアイテムは身に付けない方が無難です。
神様のお宅を訪問するという意識で、品のある服装を選んでみてください!
帽子・サングラスは鳥居前で外すのが礼儀
帽子やサングラスなどを付けている場合、神社に入るときは外すようにしましょう。
これは、目上の方にお会いするときと同じマナーです。
神職の神主や巫女を見てもわかるとおり、日よけや防寒に帽子、まぶしいからとサングラスは付けていません。
したがって、私たち参拝者も鳥居の前で帽子やサングラスを外すのが礼儀とされています。
日傘も同様に、鳥居をくぐる前にはたたむようにしましょう。
健康上の理由などでどうしても外せない場合を除き、できる限り配慮することをおすすめします!
鳥居の下での撮影は避けるのがベター
鳥居を神域の外から撮るなら、どんな角度からでも問題ありませんが、鳥居の下で立ち止まって撮影するのは避けるべきです。
鳥居の下は神様の通り道であり、立ち止まること自体が好ましくありません。
また、正中を避けた方が良いとされており、本殿などを撮影する際はやや斜めにズレて撮影するようにしましょう。
本来は神様と相対することすら畏れ多いことですから、真正面から撮影するのは失礼にあたります。
撮影するなら鳥居の外から、あるいは正中を避けた位置から行うようにしてみてください!
スマートフォンでの撮影マナー(SNS投稿の注意点)
撮影に夢中になり大きな声を出してしまうと、神様だけでなく周りの人にも迷惑をかけてしまいます。
スマートフォンで撮影する際は、静かに、そして周囲の参拝者の邪魔にならないよう配慮しましょう。
また、SNSに投稿する際も注意が必要です。
他の参拝者が写り込んでいる場合は配慮が求められますし、神社によっては撮影自体を禁止している場所もあります。
撮影を禁止としている場合は立て札やホームページなどで注意喚起しているので、事前に確認しましょう。
マナーを守って、思い出に残る素敵な写真を撮影してみてください!
神社ごとに異なるローカルルールとよくある誤解を整理する
実は、神社によって作法が異なることもあります。
ここでは、神社特有のルールや、よくある誤解について解説していきます!
神社によっては”中央通行OK”の掲示もある
基本的には正中を避けるのがマナーですが、神社によっては「中央を通っても構いません」という掲示がある場合も。
神社で指定があればそれに従って歩きましょう。
また、バリアフリーに配慮して、あえて中央に段差のないルートを設けている神社もあります。
こうした場合は、神社側の方針に従うのが正解です。
現地の案内板や神職の方の指示を確認し、それに従って参拝することをおすすめします!
鳥居と神門、寺の山門との違いを理解する
鳥居は神社の入口に立つ神域と俗世間との境界を示すもので、お寺の入口には「山門」と呼ばれる門があります。
歴史ある神社には「神門」や「楼門」と呼ばれる立派な門がある場合もありますが、これは明治までの神仏習合時のものです。
現在はその役割を鳥居に譲っており、建築的にはお寺の山門との違いはありません。
お寺の山門に仁王像が置かれるのに対し、神社の神門には神様の像や武人の像、狛犬などが置かれています。
鳥居と山門を混同しないよう、それぞれの特徴を覚えておきましょう!
ネットで広まる”都市伝説マナー”に注意
インターネット上には、根拠のない「都市伝説マナー」が広まっていることがあります。
たとえば「必ず左足から入る」「鳥居の右側は女性専用」といった情報は、正確ではありません。
鳥居の右側は女性、左側は男性という説もありますが、神道ではそのような決まりはないとされています。
SNSや個人ブログの情報を鵜呑みにせず、信頼できる情報源や神社の公式情報を参考にしましょう。
迷ったときは、基本的な敬意を持って参拝することが何より大切です!
“現地の案内を最優先”が一番正しい作法
神社によって歴史や由緒が異なるため、参拝作法も多様です。
根底にあるのは「神様に対して失礼が無いように」という気持ちで、「こういったくぐり方があるんだ」と参考までに知っておくことが大切です。
最も確実なのは、その神社の案内板や神職の方の指示に従うこと。
現地に掲示されている作法がある場合は、それを最優先にしましょう。
また、有名神社の中には独自の参拝方法を持つところもあるため、事前に調べておくと安心です!
まとめ
鳥居のくぐり方には、神様への敬意を示すための様々な作法があります。
基本は「鳥居の前で一礼」「正中を避けて端を歩く」「外側の足から踏み出す」「出るときも振り返って一礼」という流れです。
また、帽子やサングラスは外し、大声や飲食を避けるなど、神聖な場所にふさわしい振る舞いを心がけましょう。
ただし、混雑時や天候が悪いとき、ベビーカーや車椅子を利用する場合は、安全を最優先にして構いません。
形式にこだわりすぎず、「神様に対して失礼のないように」という気持ちを持つことが何より大切です。
神社ごとに異なるルールがある場合もあるため、現地の案内に従うことをおすすめします!
正しい作法を身につけて、気持ちよく参拝を楽しんでみてください!





