「お賽銭っていくら入れればいいんだろう……」神社やお寺にお参りするとき、このような疑問を抱いた経験はありませんか。金額が少ないと失礼に当たるのでは、と心配になる方も多いでしょう。
この記事では、お賽銭の基本的なルールから縁起の良い金額、避けた方がよいとされる組み合わせまで、徹底的にお伝えしていきます。正しい知識を身につけて、心を込めてお参りできるようになりましょう!
金額に決まりはない?まず知っておくべきお賽銭の基本ルール

お賽銭について迷っている方に、まずお伝えしたいのが「金額に厳格な決まりはない」という事実です。
では、なぜお賽銭を納めるのか、その意味や由来について詳しく見ていきましょう。
神社本庁の公式見解「金額よりも真心が大切」
お賽銭の金額について、実は神社本庁からも明確な指針が示されています。それは「金額の多い少ないではなく、真心を込めることが何より大切」というものです。
神社本庁の公式サイトによれば、お賽銭はもともとお金ではなく、お米や海の幸、山の幸といったお供え物から始まった習慣とのこと。つまり、金額そのものに意味があるわけではありません。
そのため、高額なお賽銭を納めれば大きなご利益があるというわけでもなく、逆に少額だからといって失礼に当たることもないのです。
お賽銭は何のために入れるのか—由来と意味
お賽銭の「賽」という漢字には、「神仏へのお礼参り」という意味が込められています。つまり、お賽銭とは神様や仏様から受けた恩恵への感謝を表すために納めるものなのです。
昔は収穫したお米を神様にお供えして、日々の平穏な暮らしや豊作への感謝を伝えていました。その後、貨幣が普及するにつれて、お米の代わりに金銭を納めるようになったという歴史があります。
また、お賽銭には自身の穢れを祓い、身を清めるという意味もあるとされています。お金には人の穢れが乗り移ると考えられており、そのお金を神様に納めることで、自分自身が清められるという考え方です。
金額が少なくても失礼に当たらない理由
ここまでお伝えしてきたように、お賽銭は感謝の気持ちを表すものであり、金額の大小で判断されるものではありません。
なぜなら、神社での参拝において最も重要なのは、神様への敬意と日頃の感謝の心だからです。実際、神社によっては「お賽銭を納めなくても気持ちを込めてお参りすれば問題ない」という考え方を示しているところもあります。
ただし、お賽銭を用意していないからといって参拝を遠慮する必要はありませんが、感謝の気持ちがあるなら、無理のない範囲でお納めすることをおすすめします。後日、お礼参りとしてお賽銭を納めるのも良い方法です。
迷ったときの王道3選|みんなが選んでいるお賽銭の相場

お賽銭の金額に迷ったら、まず多くの人が選んでいる金額を参考にしてみるのも一つの方法です。
ここでは、実際の調査データをもとに、一般的なお賽銭の相場をご紹介していきます。
アンケート調査で多い金額は「100円」と「5円」
アットホームが実施した調査によると、初詣のお賽銭の平均金額は170.4円でした。金額別に見ると、最も多かったのが「100円」で27.9%、次いで「5円」が19.2%という結果に。
つまり、回答者の約半数が100円か5円のどちらかを選んでいるということになります。一方、引越し侍の調査では初詣の平均金額が605円と、やや高めの数字も出ています。
このように調査によって金額にばらつきはありますが、多くの人が100円前後を目安にしていることがわかります。また「5円=ご縁」という語呂合わせから5円を選ぶ人も非常に多いようです。
シーン別おすすめ(初詣・日常参拝・旅行先)
お賽銭の金額は、参拝するシーンによって変えてみるのもよいでしょう。
初詣の場合は、新年の始まりということもあり、日常よりも少し奮発して100円から500円程度を納める方が多い傾向にあります。特別な一年の始まりに、心を込めた金額を選ぶのがおすすめです。
一方、日常の参拝では5円や10円など、気軽に納められる金額で十分。毎日のように参拝される方は、無理のない範囲で続けられる金額を選びましょう。
旅行先での参拝は、その土地との「ご縁」を大切にしたいという気持ちから、50円や115円など、縁起の良い語呂合わせの金額を選ぶと良いでしょう。
複数の神社を回るときの目安金額
初詣などで複数の神社を巡る場合、すべての神社で同じ金額を納める必要はありません。
引越し侍の調査によると、初詣に行く神社の数は平均1.34ヶ所。つまり、ほとんどの方が1〜2ヶ所を参拝しているということになります。
複数の神社を回る場合は、メインとなる神社では100円以上、それ以外の摂社や末社では5円や10円といった形で、無理のない範囲で配分するのがおすすめです。大切なのは金額ではなく、それぞれの神社で心を込めてお参りすることだと覚えておきましょう。
願い別おすすめ金額&語呂合わせ一覧|ご縁・学業・健康・商売繁盛など

お賽銭の金額を語呂合わせで選ぶのは、日本ならではの楽しい習慣です。
ここからは、願い事別におすすめの金額と、その語呂合わせをご紹介していきます。
縁結び・恋愛運アップにおすすめの金額
縁結びや恋愛運アップを願うなら、やはり「ご縁」にちなんだ金額がぴったりです。
最も定番なのが5円で「ご縁がありますように」という意味。さらに、25円なら「二重にご縁」、45円なら「始終ご縁」という語呂合わせになります。
また、55円は「いつでもご縁」、115円は「いいご縁」といった意味があり、恋愛成就を願う方に人気の金額となっています。複数の5円玉を組み合わせて、自分だけの願いを込めてみるのもおすすめです。
合格祈願・学業成就にふさわしい金額
受験や資格試験の合格を願う場合は、「合格」や「成功」を連想させる語呂合わせの金額を選びましょう。
おすすめは45円で「始終ご縁」「試合(しあい)に勝つ」という意味があります。また、5円玉を複数枚組み合わせることで、5円の穴から「見通しが良い」という意味も加わります。
さらに、25円は「二重に合格」、115円は「いい合格」といった解釈もできるため、学業成就を願う参拝にぴったりの金額と言えるでしょう。
健康祈願・厄除けに使われる金額
健康や厄除けを願う参拝では、無病息災を象徴する金額を選ぶとよいでしょう。
5円は基本の「ご縁」に加えて「無事に過ごせますように」という願いも込められます。また、50円は「重ねてご縁」という意味があり、健康が続くことを祈る金額として選ばれています。
さらに、穴の開いた5円玉や50円玉には「見通しが良い=先行きが明るい」という意味もあるため、厄年の方や健康に不安のある方の参拝におすすめです。
商売繁盛・金運アップの定番金額
商売繁盛や金運アップを願うなら、少し金額を上げてみるのも一つの方法です。
15円は「十分なご縁」という意味があり、商売の成功や金運の向上を祈る金額として人気があります。また、485円は「四方八方からご縁」という語呂合わせで、あらゆる方向からご縁や商機が訪れることを願う金額です。
ただし、金額が高ければ良いというわけではないので、無理のない範囲で心を込めて納めることが大切。日頃の感謝と今後の繁栄を祈る気持ちが、何よりも重要なのです。
語呂合わせで選ぶ人気のお賽銭一覧表(5円・11円・45円・115円 など)
ここで、縁起の良いとされる語呂合わせの金額を一覧でご紹介します。
・5円:「ご縁」
・11円:「いいご縁」(5円2枚+1円1枚)
・15円:「十分ご縁」
・20円:「二重のご縁」
・25円:「二重にご縁」
・40円:「始終ご縁」(死や苦を乗り越えるという解釈も)
・45円:「始終ご縁」
・50円:「五重のご縁」「重ねてご縁」
・55円:「いつでもご縁」「五重のご縁」
・115円:「いいご縁」
・125円:「十二分にご縁」
・415円:「良いご縁」
・485円:「四方八方からご縁」
これらの金額を参考に、自分の願いに合わせて選んでみてください。
よく聞く”NG金額”や”大金奉納”のホントとウソ

お賽銭には縁起の良い金額がある一方で、避けた方がよいとされる金額も存在します。
ただし、これらはあくまで語呂合わせに基づく俗説であり、厳格なルールではありません。
「10円=遠縁になる」は本当?俗説の真偽
「10円は遠縁(とおえん)になるから避けるべき」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。確かに、10円は「とお(十)えん(円)=遠縁」という語呂合わせから、縁が遠ざかるとされています。
しかし、これはあくまで語呂合わせであり、神社本庁などの公式見解ではありません。むしろ、10円しか持ち合わせがない場合でも、心を込めてお参りすることの方がよほど大切です。
また、興味深いのは「9円=苦を乗り越える」という前向きな解釈もあること。つまり、語呂合わせの捉え方は人それぞれであり、必ずしも避けなければならないものではないのです。
65円・75円・95円などの”悪い語呂”の扱い方
縁起が悪いとされる金額として、65円「ろくなご縁がない」、75円「何のご縁もない」、85円「やっぱりご縁がない」、95円「苦しいご縁」などが挙げられます。
これらも10円と同様、あくまで語呂合わせによる俗説です。しかしながら、古くから言い伝えられてきた事実にも変わりはないため、気になる方は避けた方が無難でしょう。
もし財布の中にこれらの組み合わせしかない場合は、金額を調整するか、後日あらためて参拝することをおすすめします。ただし、最も大切なのは形式ではなく、神様への感謝の気持ちだということを忘れないでください。
高額すぎる奉納は逆効果?控えるべきケース
お賽銭に高額を納めることについても、いくつかの考え方があります。
500円玉については「硬貨の中で最も高額=これ以上の効果(硬貨)がない」という解釈から、避けた方がよいという説も。ただし、真心を込めた高額なお賽銭として捧げる分には問題ないという考え方もあります。
また、1万円などの紙幣をお賽銭として納める方もいますが、これは個人の判断に委ねられています。実際、調査によると初詣で1000円以上を納める方も2割程度いるとのこと。
大切なのは、自分の身の丈に合った金額で、無理なく心を込めて納めることです。見栄を張って高額を納めるよりも、自分が納得できる金額を選ぶことをおすすめします。
手元にある小銭や紙幣でベストな選び方+スマート参拝のコツ

実際の参拝では、必ずしも理想的な小銭が揃っているとは限りません。
ここでは、手持ちの小銭でできる工夫と、スマートに参拝するためのコツをお伝えしていきます。
5円玉がないときの代替金額と組み合わせ例
5円玉がない場合でも、他の硬貨を組み合わせることで縁起の良い金額を作ることができます。
たとえば、10円玉10枚と5円玉1枚で「いいご縁(115円)」を作れます。また、100円玉1枚に10円玉1枚と5円玉1枚を加えれば115円に。
50円玉がある場合は、50円玉1枚に5円玉1枚で55円「いつでもご縁」という組み合わせも可能です。さらに、1円玉を活用して、100円玉1枚と10円玉1枚と1円玉1枚で「いいご縁(111円)」に近い金額を作ることもできます。
このように、手持ちの硬貨を工夫して組み合わせることで、縁起の良い金額に近づけることができるのです。
紙幣でもOK?お賽銭箱に入れるマナー
お賽銭に紙幣を使うことについては、特に問題ありません。実際、初詣などでは千円札や五千円札をお賽銭として納める方も少なくないのです。
ただし、紙幣を納める際にも、硬貨と同様に丁寧に扱うことが大切。お賽銭箱に投げ入れるのではなく、そっと静かに納めるようにしましょう。
また、高額な紙幣を納める場合は、特別な祈願や願い事がある際に、正式なご祈祷を申し込むことも検討してみてください。初穂料や祈祷料として納めることで、より丁寧な参拝ができます。
混雑時でもスマートに参拝するための流れ
初詣などの混雑時には、スムーズに参拝することも大切なマナーです。
まず、お賽銭は事前に用意しておきましょう。財布から小銭を探す時間を短縮でき、後ろに並んでいる方への配慮にもなります。
参拝の流れとしては、お賽銭箱の前に立ったら、軽く会釈をしてからお賽銭を納めます。その後、鈴がある場合は鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼の作法でお参りしましょう。
願い事は簡潔に心の中で唱え、長時間お賽銭箱の前に留まらないようにすることが、混雑時のマナーです。お参りが終わったら、軽く会釈をして下がりましょう。
さらに知りたい!お賽銭後の作法・マナー・次に準備しておくこと

お賽銭を納めた後の正しい参拝作法を知ることで、より心を込めたお参りができます。
最後に、参拝の基本的な流れと、覚えておきたいマナーをご紹介していきます。
お賽銭のあとの正しい参拝手順(例:二礼二拍手一礼)
神社での参拝作法として、現在広く行われているのが「二礼二拍手一礼」です。
まず、姿勢を正して深いお辞儀を2回行います(二礼)。このとき、腰を90度に折り、背中を平らにするように意識しましょう。二礼には、神様への敬意と感謝を表す意味があります。
次に、胸の高さで両手を合わせますが、右手の指先を左手より少し下にずらすのがポイントです。そのまま肩幅程度に両手を開き、2回拍手を打ちます(二拍手)。拍手には邪気を払い、神様に自分の訪問を知らせる意味があるとされています。
拍手を打ったら、両手をきちんと合わせて心を込めて祈ります。このタイミングで願い事を唱えるのが一般的です。最後に、もう一度深くお辞儀をして(一礼)、参拝を終えます。
複数の神社に参拝する場合の注意点
一日に複数の神社を巡る場合、それぞれの神社で丁寧に参拝することが大切です。
多くの神社を回る場合でも、一つ一つの参拝を省略せず、きちんと二礼二拍手一礼の作法を守りましょう。ただし、神社によっては独自の参拝作法がある場合もあります。
たとえば、出雲大社や宇佐神宮、弥彦神社では「二礼四拍手一礼」が正式な参拝方法とされています。参拝する神社の作法を事前に確認しておくと安心です。
また、神社には本殿以外に摂社や末社と呼ばれる小さな社があることも。時間があれば、これらにもお参りすることで、より丁寧な参拝となります。
お賽銭の”気持ち”を日常に活かす心構え
お賽銭を納めて神様にお参りすることは、日々の感謝を思い出すきっかけにもなります。
参拝後は、神様から受けた恩恵や日常の小さな幸せに目を向ける習慣をつけてみましょう。たとえば、健康に過ごせていること、家族や友人との時間、仕事ができる環境など、当たり前のように感じていることに感謝の気持ちを持つことが大切です。
また、願い事が叶った際には、お礼参りをすることもおすすめします。お賽銭の「賽」という字が「お礼参り」を意味することからも、感謝を伝えに再び参拝することは、とても意味のある行為なのです。
お賽銭を通じて神様との繋がりを意識することで、日々の生活がより豊かなものになっていくでしょう。
まとめ

お賽銭の金額には厳格な決まりはなく、最も大切なのは神様への感謝と敬意の気持ちです。
アンケート調査によると、多くの方が100円や5円を選んでいますが、これはあくまで目安に過ぎません。縁起の良い語呂合わせを参考にするのも楽しい方法ですが、無理のない範囲で自分が納得できる金額を選ぶことが何より重要です。
また、お賽銭を納めた後の二礼二拍手一礼の作法を正しく行うことで、より心を込めた参拝ができます。
これから神社にお参りする際は、ぜひ本記事の内容を思い出してみてください。金額にとらわれすぎず、感謝の気持ちを大切にすることで、きっと清々しい気持ちで参拝できるはずです!




