「神社でペットボトルの水を使ってもいいのかな……」

参拝前に手水舎を見つけたものの、水が汚れていたり、そもそも手水舎がなかったりして戸惑った経験はありませんか。

実は、手水舎がない場合や使えない場合、ペットボトルの水で清めることは問題ありません。ただし、いくつか注意すべきマナーがあります。

この記事では、ペットボトルを使った手水のOK・NGラインから、正しい使い方、そして手水舎の水の持ち帰りについても詳しくお伝えしていきます。神社参拝をより気持ちよく、失礼のない形で楽しむためのポイントをマスターしていきましょう!

ペットボトルの水で手水しても大丈夫?結論と”OK・NGライン”を最初に解説

まずは結論から。

ペットボトルの水で手水を行うことは、基本的に問題ありません。しかし、状況やマナーによってはNGとなるケースもあります。ここでは、どのような場合にOKで、どんな時にNGなのかを明確にお伝えしていきます!

結論|ペットボトルの水で手水はOK。ただし「飲みかけ」はNG

手水舎が使えない場合、ペットボトルに入れた水で清めることは認められています。

これは、手水の本来の目的である「心身を清める」という行為が、ペットボトルの水でも達成できるためです。

ただし、飲みかけの水は手水にふさわしくないとされています。未開封のペットボトルか、手水用に準備した清潔な水を使うようにしてください。

なぜOKなのか|手水の目的と”清浄な水”の考え方

なぜペットボトルの水でも問題ないのでしょうか。

手水は、ただ手や口の汚れを落とすためだけではなく、心身を清めるという意味があります。古来、水には穢れを祓う力があるとされており、昔の人々は川で身を清めていました。

つまり、重要なのは「清浄な水を使って心を込めて清める」という行為そのものなのです。

そのため、清潔なペットボトルの水であれば、手水舎の水と同様に清めの効果があると考えられています。

NGとなるケース|境内での飲み歩き・派手な動作・周囲を濡らす行為

一方で、以下のような行為はマナー違反となります。

まず、境内でペットボトルを持って飲み歩くのは避けたいところ。神社は神聖な場所ですから、カジュアルすぎる振る舞いは控えるべきです。

また、ペットボトルから勢いよく水を出すなど、派手な動作も好ましくありません。手水は静かに、丁寧に行うものです。

さらに、周囲に水を飛び散らせたり、地面をびしょびしょに濡らしてしまう行為もNG。次に参拝される方への配慮を忘れないようにしてください!

手水舎の水をペットボトルに入れて持ち帰るのはNG?御神水との違いと理由

「手水舎の水を持ち帰りたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、手水舎の水と御神水は全く別物です。ここでは、その違いと持ち帰りに関するルールをお伝えしていきます。

「手水舎の水」は持ち帰り不可。その理由(作法・衛生・神社運営の観点)

手水舎の水は「清める」ためのもので、「飲む」ものではありません。

まず作法の観点から。手水舎の水を飲む行為は作法に反します。神様に敬意を示すための準備として清めを行うのであって、水を持ち帰ることは想定されていません。

次に衛生面の問題です。手水舎の水は飲用水として管理されていないため、安全性が保証されているわけではありません。

さらに神社運営の観点からも、手水舎の水を大量に持ち帰る行為は他の参拝者の迷惑になります。参拝者が非常に多くなり、手水を使うことができず参拝まで時間がかかる状況が多発したため、お水取りを禁止した神社もあります。

「御神水」「お水取り」との明確な違い(専用蛇口・ルールの有無)

では、御神水とは何でしょうか。

御神水とは神様の御神威を水を通していただくもので、万物の命の根源である水を神様から授かるものです。

御神水と手水舎の水には明確な違いがあります。

御神水の場合、専用の水汲み場や蛇口が設けられており、「御神水」「境内の〇〇よりお取り下さい」といった案内があります。一部の神社では社務所で御神水を持ち帰るためのペットボトルを授与しています。

つまり、神社側が「持ち帰ってもよい」と明示している水が御神水なのです。

持ち帰りたい場合は?神社ごとのルール確認と”失礼にならない聞き方”

どうしても水を持ち帰りたい場合は、どうすればよいでしょうか。

まずは神社の境内を見回して、御神水の案内がないか確認してみてください。案内がない場合は、手水舎の水の持ち帰りは控えるべきです。

もし不明な場合は、社務所で丁寧に尋ねてみることをおすすめします。

「恐れ入ります。こちらの神社では、お水を持ち帰ることはできますでしょうか?」といった形で、謙虚に聞いてみましょう。

神社によってはお水取りを禁止している場合がありますから、必ず確認することが大切です!

手水舎が使えない/水が汚いときの”正しい代替手段”3つ

手水舎の水が使えない状況は意外とよくあります。

そんな時でも慌てる必要はありません。ここでは、手水舎が使えない場合の代替手段を3つご紹介していきます!

代替①|ペットボトルの水で清める手順(最も現実的な方法)

手水舎が使えないことがあらかじめ分かっている場合、ペットボトルに水を入れて持参するのがおすすめです。

手順は通常の手水と同じです。

まず右手でペットボトルを持ち、左手に水をかけて清めます。次にペットボトルを左手に持ち替えて、右手を清めてください。

その後、再び右手でペットボトルを持ち、左手に水を受けて口をすすぎます。最後にもう一度左手を清めれば完了です。

少量の水を手や指先にかけ、周囲を濡らさないよう注意しながら行いましょう。

代替②|ウェットティッシュ・ハンカチでの簡易手水の作法

ペットボトルを持参していない場合は、ウェットティッシュでも代用できます。

水を用意できない場合は、ウェットティッシュで手を清めるだけでも効果があるとされています。

ウェットティッシュを使う場合は、まず両手をしっかりと拭き、次に口元を軽く拭います。

手水の目的である「心身を清めること」を意識して行ってみてください。形式よりも、清める気持ちが大切です。

代替③|どうしても難しい場合の”心の中で清める”という考え方

もしペットボトルもウェットティッシュもない場合は、どうすればよいでしょうか。

神社によっては手水舎がないこともありますが、その場合は何もせず参拝しても問題ありません。

ただし、せっかくですから「心の中で清める」という意識を持つことをおすすめします。

手水舎の前で立ち止まり、深呼吸をして心を落ち着かせましょう。そして「今から神様にお会いするのだ」という気持ちを整えることで、形だけでなく心の準備ができます!

周りに迷惑をかけない”スマートな使い方”:場所・タイミング・量のマナー

ペットボトルで手水を行う際は、周囲への配慮が欠かせません。

ここでは、他の参拝者に迷惑をかけずにスマートに手水を行うためのポイントをお伝えしていきます。

どこで行う?手水舎付近 or 人の流れを妨げない位置

静かで目立たない場所で行うことが望ましいです。

理想は手水舎の近くですが、手水舎が混雑している場合は無理に近づく必要はありません。参道の端など、人の流れを妨げない位置を選びましょう。

また、社殿の正面など、特に神聖な場所の真ん前は避けるべきです。少し離れた場所で、落ち着いて行うことが大切です。

どのくらいの量を使う?少量で十分な理由

手水に必要な水の量は、実はそれほど多くありません。

通常の手水では、柄杓1杯分の水で全ての手順を完了させます。ペットボトルの場合も同様で、手のひらに軽く水をかける程度で十分です。

水を大量に使うと、地面が濡れて次の参拝者が歩きにくくなります。また、水が飛び散って周囲を汚してしまうことも。

少量の水で丁寧に清めることを心がけてください!

おすすめの所作|キャップの開閉・ボトルの持ち方の注意点

ペットボトルを使う際の細かな所作にも気を配りましょう。

キャップの開閉は、参拝前に手水舎付近で行います。境内を歩きながらキャップを開け閉めするのは避けてください。

また、ボトルは片手で安定して持てるサイズが理想です。500mlサイズだと大きすぎる場合があるため、350ml以下の小さめのボトルがおすすめです。

水をかける際は、ボトルを傾けすぎず、ゆっくりと注ぐようにしましょう。慌てると水が勢いよく出てしまい、周囲に迷惑をかけてしまいます!

手水の基本作法をおさらい:最低限ここだけ押さえれば大丈夫

ペットボトルを使う場合も、基本の手水作法を知っておくことが大切です。

ここでは、手水の正しい手順とやりがちなNG行為をお伝えしていきます!

正しい手順(右手→左手→口→柄)をシンプルに解説

まずは右手で柄杓を持ち、水を汲みます。柄杓が一杯になるくらいの量を目安にしてください。

まずは左手を清めます。水は全体の3割程度を使ってください。

次に柄杓を左手に持ち替えて、右手を清めます。この時も使用する水の量は3割程度です。

両手を清めたら、再び右手に柄杓を持ち、次は口をすすぎます。左手に水を受けて、その水で口をすすいでください。

最後に、柄杓を立てて残った水で柄を清めます。元の場所に戻したら完了です!

やりがちなNG行為と理由(柄杓に口をつける・水を戻す など)

手水では、いくつかのNG行為があります。

まず、口内を清める際に柄杓に直接口を付けるのはNGです。柄杓は共用のものですから、衛生的によくありません。

また、口に含んだ水を吐き出す場所は、手水舎の周りの排水溝や水盤の外側で、手水舎の中に吐き出すことのないようにしましょう。

さらに、手水の途中で何度も柄杓で水をくむのもマナー違反です。最初の一杯で全ての手順を終えるのが正しい作法です!

口をすすぎたくない人のための”代替案”

衛生面が気になって、口をすすぎたくない方もいらっしゃるでしょう。

もし口をすすぐのが気になる場合は、口をすすぐふりだけでも大丈夫です。

具体的には、左手に水を受けた後、その水を口元に近づけるだけでOKです。実際に口に含まなくても、所作として行えば問題ありません。

あるいは、左手の水で唇を軽く湿らせる程度でも構いません。形式にこだわるよりも、清める気持ちが大切だと考えてみてください!

子ども連れ・高齢者と参拝する人向けの”ラクで丁寧な手水マナー”

家族で参拝する際、小さなお子さんや高齢の方への配慮も必要です。

ここでは、誰もが無理なく手水を行うための方法をご紹介していきます!

小さなお子さん向け|冷たい水が苦手・抱っこ中でもできる時短手水

小さなお子さんの場合、手水の作法すべてを正確に行うのは難しいかもしれません。

冬場など水が冷たい時期は、無理に手水をさせる必要はありません。ウェットティッシュで軽く手を拭くだけでも十分です。

また、抱っこしながら参拝する場合は、大人だけが手水を行い、お子さんの手は親が水で軽く濡らしてあげる程度で構いません。

何より、お子さんが「神社は楽しい場所」と感じられることが大切です。作法よりも、参拝の雰囲気を楽しませてあげましょう!

高齢の方・身体の不自由な方向けの配慮方法

高齢の方や身体が不自由な方の場合、手水舎まで移動するのが大変なこともあります。

そのような場合は、無理に手水舎に行く必要はありません。入口付近でペットボトルの水を使って簡易的に清めるだけでも問題ありません。

また、車椅子で参拝される方の場合、手水舎の高さが合わないこともあります。そんな時は、付き添いの方がペットボトルの水を手にかけてあげるとよいでしょう。

神社参拝において最も大切なのは、神様への敬意の心です。形式にこだわりすぎず、その方に合った方法で清めを行ってください!

ペットボトル利用のほうが安全・衛生的なケース

実は、場合によってはペットボトルの水のほうが安全なこともあります。

手水舎自体が汚れている場合は、無理にその水を使う必要はありません。不衛生な手水舎の水を使用すると、体調を崩したり、清める目的が達成されない可能性があります。

特に小さなお子さんや高齢の方、免疫力が低下している方の場合、衛生面には特に注意が必要です。

迷った時は、清潔なペットボトルの水を使う方が安心です。手水の目的は心身を清めることですから、安全で清潔な水を選ぶことも大切な配慮と言えます!

まとめ

ペットボトルの水で手水を行うことは、手水舎が使えない場合の有効な代替手段です。

飲みかけではない清潔な水を使い、周囲への配慮を忘れずに静かに行えば、全く問題ありません。一方で、手水舎の水を勝手に持ち帰ることは作法違反ですから、御神水として明示されている場合以外は控えましょう。

神社参拝において最も大切なのは、神様への敬意と清らかな心です。

形式にこだわりすぎるよりも、自分なりに心を込めて清めることを大切にしてみてください。この記事でお伝えしたマナーを参考に、より気持ちの良い参拝を楽しんでいただければ幸いです!