「神式の葬儀に参列することになったけど、玉串奉奠ってどうすればいいの……?」

そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

神式の葬儀は仏式に比べて参列する機会が少ないため、玉串奉奠の作法について知らなくても無理はありません。しかし、大切な方とのお別れの場で戸惑ってしまうのは避けたいところ。

この記事では、初心者でも失敗しない玉串奉奠の基本手順から、葬儀でのマナー、よくある間違いと対処法まで、わかりやすくお伝えしていきます。事前に正しい作法を身につけて、故人への想いを丁寧に捧げられるようにしていきましょう!

玉串奉奠とは?意味と目的を30秒で理解する基本ガイド

まずは玉串奉奠の基本について、初心者の方にもわかりやすくご紹介していきます。

そもそも玉串奉奠とはどのような儀式なのか、どんな意味が込められているのかを知っておくと、より心を込めて作法を行えるはず。

玉串とは?榊と紙垂に込められた意味

玉串(たまぐし)とは、榊(さかき)の枝に紙垂(しで)という白い紙を麻で結んで垂らしたもののこと。

榊は神様が宿るとされる神聖な植物で、古くから神道において重要な役割を果たしてきました。地域によっては杉などの常緑樹を使用することもあり、紙垂の代わりに木綿を結ぶ場合もあります。

紙垂のギザギザした部分には、雷を表すという意味があります。

これは雨乞いをして豊作を祈る気持ちと、雷によって邪悪なものを祓うという2つの願いが込められているからです。神社の注連縄(しめなわ)や神職が持つ祓串(はらえぐし)にも、同じように紙垂がついているのを見たことがあるのではないでしょうか。

玉串奉奠の目的|神さま・故人へ”心を捧げる”儀式

玉串奉奠(たまぐしほうてん)とは、玉串を神前に謹んでお供えする儀式を指します。

「奉奠」という言葉には「うやうやしく捧げる」という意味があり、神様への敬意や感謝の気持ちを表すものです。神道では、玉串が神様の世界と人間界をつなぐ橋渡しをすると考えられているため、各種儀式において欠かせない存在となっています。

葬儀における玉串奉奠では、参列者が玉串に自分の心を託して故人に捧げます。

これによって故人が安らかに眠ってくれることを願い、哀悼の意を表すのです。玉串は神前へのお供え物と同じ位置づけであり、米や酒、魚、野菜、果物、塩、水などの神饌(しんせん)と同様に重要な意味を持っています。

玉串奉奠と玉串拝礼の違いをやさしく解説

玉串奉奠と玉串拝礼(たまぐしはいれい)は、実は同じ儀式を指す言葉です。

厳密にいうと、玉串を神前に奉奠する行為そのものを「玉串奉奠」と呼びます。一方、玉串奉奠の後に行う二礼二拍手一礼までを含めた一連の流れ全体を「玉串拝礼」と呼ぶこともあるのです。

ただし、実際には両者を区別せずに使われることが多く、どちらの呼び方でも同じ儀式を意味していると考えて問題ありません。

神社や地域によって呼び方が異なる場合もありますが、作法そのものに大きな違いはないので安心してください。

焼香との違い|神式と仏式の作法比較(初心者向け)

仏式の葬儀で行う焼香と、神式の玉串奉奠は役割が似ています。

どちらも故人への哀悼の意を表し、心を込めて祈りを捧げる大切な儀式。しかし、使用するものや作法には明確な違いがあります。

仏式の焼香では、香を焚いて心身を清め、故人の冥福を祈ります。

これに対して神式の玉串奉奠では、神様の霊が宿るとされる玉串を捧げることで、故人が家の守り神として安らかに過ごせるよう願うのです。また、仏式では数珠を持参しますが、神式では数珠は不要となります。

作法の流れも異なり、焼香では抹香をつまんで香炉に落とすのに対し、玉串奉奠では玉串を時計回りに回して神前に捧げるという独特の動作が求められます!

玉串奉奠を行う場面は?葬儀・結婚式・地鎮祭での違いを整理

玉串奉奠は葬儀だけでなく、さまざまな神道の儀式で行われる作法です。

ここでは、玉串奉奠が行われる代表的な場面と、それぞれの違いについて整理していきます。

神式葬儀(通夜祭・葬場祭・告別式)での玉串奉奠

神式の葬儀は「神葬祭(しんそうさい)」と呼ばれ、通夜祭と葬場祭(葬儀・告別式)の2日間にわたって執り行われます。

この神葬祭において、玉串奉奠は故人への哀悼の意を表す最も重要な儀式のひとつ。仏式の焼香にあたるものと考えればわかりやすいでしょう。

葬儀では、斎主(さいしゅ)と呼ばれる神職がまず玉串奉奠を行います。

その後、喪主、血縁関係にある遺族、親族、一般参列者の順に玉串奉奠が進められていくのが一般的な流れです。神道では、故人は四十九日にあたる五十日祭を経て家の守り神になると考えられており、玉串奉奠を通じて故人の御霊(みたま)の平安を祈ります。

神前結婚式での玉串奉奠|拝礼の違いと注意点

神前結婚式でも、玉串奉奠は重要な儀式として執り行われます。

結婚式における玉串奉奠では、新郎新婦が神様に感謝の気持ちと今後の誓いを込めて玉串を捧げるのです。

順番は、新郎新婦が最初に行い、続いて媒酌人(仲人)、両家の代表者(多くは父親)という流れが一般的。

葬儀との大きな違いは、拝礼の際の拍手です。葬儀では音を立てない「しのび手」で拍手しますが、結婚式などの慶事では通常通り音を立てて柏手(かしわで)を打ちます。式の前にリハーサルがあることが多いので、その際に神職の方から詳しい説明を受けられるはずです!

地鎮祭・上棟式での玉串奉奠|神事での役割と手順

地鎮祭(じちんさい)や上棟式といった建築に関わる神事でも、玉串奉奠は行われます。

地鎮祭は、工事の安全と建物の繁栄、そして土地の神様への感謝を祈る儀式。施主や工事関係者が玉串奉奠を行うことで、神様に工事の無事完了を祈願します。

この場合の玉串奉奠も、基本的な作法は葬儀と変わりません。

ただし、拝礼の際は慶事と同様に音を立てて柏手を打つことが特徴です。地鎮祭での玉串料の相場は20,000円から30,000円程度とされており、神社によっては金額が設定されている場合もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

神社参拝での玉串拝礼|一般参拝とどう違う?

神社での一般的な参拝でも、正式な作法として玉串拝礼が行われることがあります。

通常の参拝ではお賽銭を入れて二礼二拍手一礼を行いますが、御祈祷や正式参拝の際には玉串を捧げる作法が取り入れられるのです。

七五三やお宮参り、安産祈願などの御祈祷を受ける際も玉串奉奠を行います。

この場合は、神職の指示に従って進めていけば問題ありません。ちなみに、出雲大社では二礼四拍手一礼という特別な作法が用いられるなど、神社によって細かな違いがあることも覚えておくとよいでしょう!

初心者でも失敗しない!玉串奉奠の基本作法”7ステップ”完全マニュアル

ここからは、玉串奉奠の具体的な手順を7つのステップに分けて詳しく解説していきます。

初めての方でも安心して行えるよう、ひとつひとつの動作を丁寧にお伝えしていくので、ぜひ参考にしてみてください。

ステップ1|名前を呼ばれたら立つ(姿勢・所作)

葬儀では、玉串奉奠の順番が来ると名前を呼ばれます。

自分の名前が呼ばれたら、静かに立ち上がり、周りの参列者に会釈をしてから前に進みましょう。このとき、背筋を伸ばして姿勢を正すことが大切です。

急いで立ち上がる必要はありません。

落ち着いて、ゆっくりとした動作を心がけることで、故人への敬意が伝わります。会釈をする際は、軽く頭を下げる程度で構いません。

ステップ2|祭壇前までの歩き方・一礼のタイミング

席を立ったら、喪主とご遺族に向かって一礼します。

その後、神職の前まで進み、神職にも一礼をしてから玉串を受け取る準備に入りましょう。歩くときは小股で静かに、急がずゆっくりと進むのがポイントです。

玉串を受け取る際の立ち位置は、神職の指示や葬儀社スタッフの誘導に従えば安心。

わからないことがあれば、遠慮せずにスタッフに確認してみてください。一礼のタイミングを間違えても焦る必要はなく、丁寧な態度を心がけていれば十分です!

ステップ3|玉串の正しい受け取り方(右手・左手の位置)

玉串の受け取り方には、決まった作法があります。

右手で玉串の根元を上から包むように持ち、左手は葉先を下から支えるように添えましょう。右手でしっかりと根元を持ち、左手は神職が持っていた位置よりも枝の先端に近い方から受け取るのがコツです。

玉串を受け取ったら、胸の高さで葉先が少し高くなるようにやや斜めに持ちます。

このとき、肘を軽く張って、玉串を丁寧に扱っていることが伝わるような姿勢を保ちましょう。玉串を受け取ったら、神前の玉串案(たまぐしあん)と呼ばれる台の前まで静かに進み、一礼します。

ステップ4|玉串を時計回りに回す理由と向きの整え方

玉串案の前に立ったら、玉串の向きを整えていきます。

まず、玉串を時計回りに90度回転させて縦の状態にしましょう。このとき、左手で玉串の根元を持ち、右手は葉の下に添えるように手を入れ替えます。

時計回りに回すのには理由があります。

神道では、時計回りの動きが神聖なものとされており、神様に対して敬意を表す所作とされているからです。次に、玉串に心を込めて2〜3秒ほど軽く目を閉じ、故人への感謝や哀悼の気持ちを込める祈念の時間を持ちましょう。

ステップ5|玉串案(台)への置き方|根元はどちらに向ける?

祈念が終わったら、玉串をさらに時計回りに180度回転させます。

この動作によって、玉串の根元が自分の手前側に来る状態になります。そこからもう一度回転させ、最終的に根元が祭壇側(神前側)を向くように整えましょう。

玉串の根元を祭壇に向け、葉先を自分の方に向けた状態で、玉串案の上に静かに置きます。

両手で丁寧に置くことが大切で、決して投げ置いたり雑に扱ったりしないよう注意してください。玉串を置く際は、音を立てないように優しく扱うことを心がけましょう!

ステップ6|拝礼の作法(二礼二拍手一礼・葬儀は”しのび手”)

玉串を置いたら、右足から一歩後退して姿勢を整えます。

そして、祭壇に向かって二礼(2回深くお辞儀)をしましょう。その後、二拍手を行いますが、ここで重要なのが「しのび手」という作法です。

葬儀での拍手は、音を立てずに行うのが絶対的なルール。

両手を打つ寸前で止め、ゆっくりとそっと手を合わせる形で行います。通常の参拝で「パンパン」と音を立てる柏手とは異なり、静かに行うのがポイントです。しのび手を2回行ったら、最後に深く一礼をして拝礼を完了させます。

ステップ7|下がり方・戻り方|最後の所作まで美しく

拝礼が終わったら、2歩ほど後退して玉串案から離れます。

その後、向きを変えて神職とご遺族に向かって会釈をしましょう。このとき、背中を向けずに体の向きを変えることがマナーとされています。

会釈を終えたら、静かに自分の席に戻ります。

戻る際の経路は、葬儀社のスタッフが誘導してくれることがほとんど。席に着くまで、落ち着いた動作を心がけることで、最後まで美しい所作を保てます。時間があれば元の席に戻り、最後まで故人をお見送りしましょう!

神式葬儀での玉串奉奠マナー:しのび手・順番・服装までプロが解説

神式葬儀には、仏式とは異なる独特のマナーがいくつか存在します。

ここでは、葬儀で特に気をつけたいポイントを詳しく解説していくので、参列前にしっかり確認しておきましょう。

神式葬儀での玉串奉奠の流れの全体像

神式葬儀における玉串奉奠は、式の終盤に案内されることが多いです。

全体の流れとしては、まず斎主が玉串奉奠を行い、神様への祈りを捧げます。その後、参列者が順番に玉串奉奠を行っていくという進行です。

式場によっては、個人単位で一人ひとり行う場合と、家族単位で代表者が行う場合があります。

どちらの形式になるかは事前に説明があるはずですが、わからない場合は葬儀社のスタッフに確認しておくと安心です。玉串奉奠が終わった後も、式が完全に終了するまで席を立たずに最後までお見送りすることが礼儀とされています。

参列者の順番|喪主→遺族→親族→一般参列の決まり

玉串奉奠を行う順番には、明確なルールがあります。

一般的には、斎主→喪主→血縁関係にある遺族→親族→一般参列者という順番で進められていきます。故人との関係性が深い順に行われると考えればわかりやすいでしょう。

遺族や親族の中での順番は、故人との血縁の近さによって決まります。

たとえば、配偶者、子、両親、兄弟姉妹という順序が基本です。一般参列者の場合は、受付で記帳した順番や、葬儀社スタッフの案内に従って進めていけば問題ありません。自分の順番がわからない場合は、周りの様子を見ながら落ち着いて対応しましょう!

拍手は”しのび手”が絶対|音を立てない理由

神式葬儀で最も注意すべきマナーが、拝礼時の「しのび手」です。

通常の神社参拝では「パンパン」と音を立てて柏手を打ちますが、葬儀では絶対に音を立ててはいけません。音を立てない理由は、故人への哀悼の気持ちを表すためとされています。

しのび手の正しいやり方は、両手を打つ寸前で止めること。

右手の親指を中に軽く折りたたみ、残りの4本の指で左の手のひらをそっと押さえるようにします。このとき、完全に手を合わせても構いませんし、わずかに隙間を空けた状態でもOKです。大切なのは、音を立てないという点を忘れないこと。

御玉串料の表書き・金額相場(香典との違い)

神式葬儀では、香典のことを「御玉串料(おたまぐしりょう)」と呼びます。

不祝儀袋の表書きには「御玉串料」「御霊前」「御神前」「御榊料」「御神饌料」などが使われますが、最も汎用性が高いのは「御玉串料」です。迷った場合は、この表記を選んでおけば間違いありません。

金額の相場は、故人との関係性によって異なります。

親や兄弟、配偶者の家族の場合は30,000円から100,000円、親戚の場合は10,000円から30,000円が目安。友人や知人の場合は5,000円から10,000円、会社の同僚や隣人の場合は3,000円から5,000円程度とされています。これらはあくまで目安なので、地域の慣習や自身の年齢、立場に応じて調整しましょう!

服装マナー|数珠は不要?アクセサリー・持ち物の注意点

神式葬儀の服装は、基本的に仏式の喪服と同じで問題ありません。

男性であればブラックスーツ、女性であれば黒のワンピースやスーツなど、派手さのない服装で参列しましょう。ただし、数珠は仏教の道具であるため、神式葬儀では不要です。

アクセサリーは、パールのネックレスやイヤリングなど控えめなものであればOK。

ただし、殺生を連想させる動物の毛皮や革製品、派手な装飾品は避けるべきです。また、極端な肌の露出も控えましょう。御玉串料を入れた不祝儀袋は、袱紗(ふくさ)に包んで持参するのがマナーとされています。袱紗の色は、紫、緑、灰色などの地味な色を選んでください!

よくある間違いと正しい対処法:玉串を落とした・向きを間違えた時は?

玉串奉奠では、緊張のあまり思わぬミスをしてしまうこともあります。

ここでは、よくある間違いと、その場合の正しい対処法についてお伝えしていくので、万が一の時のために覚えておきましょう。

玉串の向きを逆に置いてしまった場合の対処

玉串を置く際、根元と葉先の向きを間違えてしまうことがあります。

本来は根元を祭壇側に向けるべきところ、逆に置いてしまった場合でも、慌てる必要はありません。すでに玉串案に置いてしまった後であれば、そのまま拝礼を続けて問題ないのです。

神職や遺族の方々も、参列者が緊張していることを理解しています。

向きが多少違っていても、故人への想いが込められていれば十分。無理に直そうとして慌てるよりも、落ち着いて残りの作法を丁寧に行うことの方が大切です。もし置く前に気づいた場合は、静かに向きを整え直してから置きましょう。

玉串を落とした・紙垂が外れた時の対応

玉串を受け取る際や移動中に、誤って落としてしまうこともあり得ます。

また、紙垂がはらりと外れてしまうこともあるかもしれません。そんな時は、まず落ち着いて玉串を拾い上げましょう。

拾った後は、神職に軽く会釈をしてから、そのまま作法を続けます。

紙垂が外れた場合も同様で、無理に直そうとせず、そのままの状態で玉串奉奠を行って構いません。神職の方が近くにいる場合は、新しい玉串と交換してくれることもあります。いずれにしても、故人への心が大切なので、ミスを過度に気にする必要はないのです!

緊張して動作が止まってしまったら?正しいフォロー方法

慣れない作法に緊張して、次の動作がわからなくなってしまうこともあるでしょう。

そんな時は、無理に思い出そうとせず、神職や葬儀社スタッフの指示を待つのが正解です。多くの場合、スタッフが小声でアドバイスをしてくれたり、身振りで示してくれたりします。

動作が止まってしまっても、決して恥ずかしいことではありません。

周りの参列者も同じように緊張しているはずですし、何より故人への想いがあれば十分なのです。深呼吸をして落ち着き、できる範囲で丁寧に作法を行うことを心がけましょう。わからないことがあれば、事前にスタッフに質問しておくのもおすすめです。

順番を間違えた時のリカバリー|焦らないコツ

玉串を回す順番や、拝礼の順序を間違えてしまうこともあるかもしれません。

たとえば、先に拝礼をしてから玉串を置いてしまったり、回す方向を間違えたりすることも。そんな時は、気づいた時点で正しい順序に戻せば大丈夫です。

すでに次の動作に進んでしまった場合は、無理に戻らずそのまま続けましょう。

作法の細かい順序よりも、故人への敬意と真心を持って臨むことの方がはるかに重要。焦らずに、一つひとつの動作を丁寧に行うことを意識してください。完璧を目指すよりも、心を込めて行うことが何より大切なのです!

「多少間違えても心が大事」と言われる理由

玉串奉奠の作法について学ぶと、細かいルールに圧倒されてしまうかもしれません。

しかし、神道の教えでは「作法よりも心が大切」とされています。なぜなら、玉串奉奠の本質は、故人への感謝や哀悼の気持ちを神様に伝えることにあるからです。

完璧な作法で行っても、心がこもっていなければ意味がありません。

逆に、多少動作が不慣れでも、故人を想う真摯な気持ちがあれば、それは十分に神様に届くのです。玉串奉奠は、形式を守ることも大切ですが、何より故人への想いを大切にする儀式。緊張しすぎずに、自分なりに精一杯の心を込めて行うことが最も重要だと覚えておきましょう!

玉串奉奠の後に知っておきたい基礎知識:御玉串料・服装・神事の心得

玉串奉奠の作法に加えて、知っておくと役立つ周辺知識をご紹介していきます。

御玉串料の詳細や、神事全般で気をつけたいマナーについてもお伝えしていくので、ぜひ参考にしてみてください。

御玉串料の選び方・書き方・渡し方のマナー

御玉串料を包む不祝儀袋は、白黒または双銀の水引がついたものを選びます。

水引の結び方は、結び切りか鮑(あわじ)結びを使用しましょう。これらは簡単に解けない結び方で、不幸が重ならないようにという願いが込められています。蓮の花や百合のモチーフが入っているものは仏式用なので、避けてください。

表書きは、上部中央に「御玉串料」と薄墨で記載します。

薄墨を使う理由は、「悲しみの涙で墨がにじんでしまった」「急いで駆けつけたため墨を十分にする時間がなかった」という意味が込められているからです。水引の下には、フルネームを記入しましょう。中袋の表面には金額を旧字体の漢数字で「金壱萬円也」のように記載し、裏面には住所と氏名を書きます!

場面別の金額相場(葬儀・地鎮祭・結婚式)

御玉串料の金額は、場面によって大きく異なります。

葬儀での参列者から遺族への御玉串料については、先ほどお伝えした通り。一方、喪主が神職に渡す御玉串料の相場は、300,000円から400,000円程度とされています。

地鎮祭や新車の安全祈願などの場合は、20,000円から30,000円が目安。

結婚式(神前式)では、50,000円から100,000円程度が相場とされています。お宮参りや七五三の場合は5,000円から10,000円が一般的です。ただし、神社によっては金額が明確に定められていることもあるので、事前に確認しておくと安心でしょう。

神事で気をつけたい心構えとタブー行為まとめ

神式葬儀では、仏教用語を使わないことが重要なマナーです。

「冥福」「成仏」「供養」などの言葉は仏教用語なので、神式では使いません。お悔やみの言葉を伝える際は、「御霊(みたま)のご平安をお祈りいたします」と言うのが正しい表現です。

また、神式では死を穢れ(けがれ)として捉える考え方があります。

そのため、葬儀後に神社に参拝する際は、忌明け(五十日祭)を過ぎてからにするのが望ましいとされているのです。喪中の間は、おみくじを引いたり御守りを受けたりすることも控えるのがマナー。これらの心構えを理解した上で、神事に参加することが大切です!

まとめ

玉串奉奠は、神式葬儀において故人への哀悼の意を表す大切な儀式です。

玉串を受け取り、時計回りに回して神前に捧げ、二礼二拍手一礼(しのび手)という流れが基本。この作法を通じて、故人の御霊の平安を祈り、心を込めて感謝の気持ちを伝えることができます。

作法の細かい点を完璧に覚えることよりも、故人を想う真心が何より大切です。

もし動作に迷ったり間違えたりしても、慌てずに落ち着いて対応すれば問題ありません。事前に基本的な流れを理解しておけば、当日は安心して参列できるはずです。

神式葬儀に参列する機会は多くはないかもしれませんが、いざという時のために正しい知識を持っておくことは大切。

この記事でお伝えした内容を参考に、故人への想いを丁寧に捧げられる玉串奉奠を行ってみてください!