「仏壇と位牌って、どう違うの?両方必要なのかな……」
そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
家族が亡くなったとき、あるいはご先祖様をお祀りする際に必ず向き合うのが仏壇と位牌の問題です。それぞれの役割や意味を理解していないと、正しい祀り方ができず、後々になって困ってしまうことも少なくありません。
この記事では、仏壇と位牌の基本的な違いから正しい祀り方、宗派ごとの扱いの違い、さらには現代の住宅事情に合わせた実践的な祀り方まで、詳しくお伝えしていきます。これから仏壇や位牌を準備する方も、すでにお持ちの方も、ぜひ最後まで読んでみてください!
まず「仏壇」と「位牌」の違いを明確に理解する|役割・意味・必要性をやさしく解説
仏壇と位牌は、どちらもご先祖様や故人を偲ぶための大切なものですが、その役割や意味は大きく異なります。
ここでは、それぞれの基本的な定義と、現代における必要性について詳しくお話ししていきます。まずは仏壇と位牌の違いをしっかり理解することで、正しい祀り方の土台を作っていきましょう。
仏壇とは何か|ご本尊と先祖をお祀りする「家庭の礼拝空間」
仏壇とは、簡単に言えば「家の中にある小さなお寺」のことです。
本来の役割は、各宗派のご本尊(仏像や掛け軸)をお祀りし、仏様に手を合わせて礼拝する場所として存在しています。つまり、仏壇の中心はあくまでもご本尊であり、ご先祖様の位牌を安置することは二次的な役割だったのです。
しかし、近代化の流れの中で、ご先祖様を供養することを重視する考え方が広まっていきました。そのため現代では、「仏壇=ご先祖様の位牌を安置する場所」というイメージが一般的になっています。
とはいえ、本来の意味を忘れてはいけません。仏壇は信仰の場であり、ご本尊をお祀りする神聖な空間なのです。
位牌とは何か|故人の魂の依り代としての役割
位牌は、故人の戒名(法名・法号)や没年月日、俗名(生前の名前)などが記された木製の札のことを指します。
故人の魂が宿る依り代(よりしろ)として、私たちが手を合わせて供養する対象となるものです。位牌がなければ、故人の魂の行き場がなくなってしまうと考えられています。
ですから、仏教を信仰している多くの方にとって、位牌はなくてはならない大切な存在なのです。
位牌の起源は中国の儒教における風習で、鎌倉時代に日本に伝わり、江戸時代には庶民にも広く普及していきました。長い歴史の中で、日本人の心に深く根付いてきたものだと言えるでしょう。
白木位牌と本位牌の違い|四十九日を境に役割が変わる
位牌には、大きく分けて2種類あります。それが「白木位牌」と「本位牌」です。
白木位牌は、葬儀から四十九日までの間に使用する仮の位牌のこと。塗りや装飾が施されていない白木のままの状態で、別名「仮位牌」とも呼ばれています。
一方、本位牌は四十九日法要以降に長く安置する正式な位牌です。漆を塗り金箔や金粉で装飾された塗り位牌や、黒檀・紫檀などの高級木材を使った唐木位牌などがあります。
仏教では、故人の魂は四十九日までの間、あの世とこの世を行き来すると考えられています。四十九日目に来世の行き先が決まるとされているため、このタイミングで白木位牌から本位牌へと魂を移す「開眼供養」を行うのです。
白木位牌はもともと長持ちするように作られておらず、簡易な作りになっています。そのため、四十九日までに本位牌を準備することが大切です。
なお、本位牌の作成には戒名の文字入れなどで通常10日から2週間ほどの時間がかかりますので、余裕を持って準備を進めていきましょう。
仏壇と位牌の「どちらが必要?」に対する現代的な答え
「仏壇がないと位牌は置けないの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
結論から言えば、仏壇がなくても位牌を安置することは可能です。
本来、仏壇は仏教徒がご本尊をお祀りする信仰の場ですから、仏教徒でなければ家の中に仏壇がなくても何ら問題はありません。実際、最近では仏壇のないご家庭も増えています。
大切なのは故人を思う気持ちであり、残された家族が故人を偲びながら心穏やかに手を合わせることができるかどうかです。仏壇がない場合でも、適切な場所に位牌を安置すれば十分に供養できます。
ただし、四十九日法要までに位牌と一緒に仏壇も用意するのが基本とされています。もし仏壇の用意が間に合わなかった場合は、一時的に位牌のみをお祀りし、心身ともに落ち着いてから仏壇を検討するとよいでしょう。
宗派別に見た「仏壇・位牌」の基本的な位置づけの違い
仏壇や位牌に対する考え方は、宗派によって若干異なります。
ほとんどの宗派では、故人は戒名を授かった後にあの世で仏の弟子となって修行に励み、成仏すると考えられています。そのため、故人の修業を励まし祈るために位牌が作られるのです。
しかし、浄土真宗では大きく異なります。浄土真宗の教えでは、阿弥陀如来を信じていれば誰もが臨終と同時に浄土へ往生し、仏になれるとされているのです。
このため、浄土真宗では原則として位牌を必要としません。故人は現世にとどまることなくすぐに浄土で仏となるという考え方なので、魂が宿る位牌という概念自体がないのです。
浄土真宗では、位牌の代わりに「法名軸」や「過去帳」を使用していきます。これらについては後ほど詳しく取り上げていきます。
仏壇がある場合の位牌の正しい祀り方|置き方・段の使い方・並べる順番
仏壇に位牌を安置する際には、いくつかの基本的なルールがあります。
とはいえ、難しく考える必要はありません。ポイントさえ押さえておけば、誰でも正しく祀ることができます。ここでは、仏壇の段構成から位牌の置き場所、複数の位牌がある場合の並べ方まで、実践的にお伝えしていきます。
三段仏壇・上置き仏壇の段構成(上段・中段・下段)
一般的な仏壇は、上段・中段・下段の三段構造になっています。
最上段(上段)には、各宗派のご本尊や両脇の掛け軸を安置します。ここが仏壇の中心であり、最も重要な場所です。
中段には、位牌や供物を配置していきます。位牌はご本尊の一段下、つまり中段の左右に安置するのが基本です。
下段には、花立・香炉・火立(ろうそく立て)・リンなどの仏具を配置します。「右に火、左に花」が仏具の基本配置とされていますので、覚えておくとよいでしょう。
上置き仏壇のような小型の仏壇でも、基本的な考え方は同じです。ご本尊を最上段に、位牌はその一段下にお祀りしていきます。
位牌の置き場所は「ご本尊よりも下」が基本
位牌を配置する際、最も重要なのは「ご本尊よりも下に置く」というルールです。
仏壇の中心はあくまでもご本尊ですから、位牌がご本尊と同じ高さや、ましてやご本尊より高い位置にあってはいけません。必ずご本尊の一段下に安置するようにしましょう。
ただし、仏壇の大きさによってはご本尊の一段下に置けない場合もあります。その際は、ご本尊と同じ段に置くことになりますが、位牌が一つなら上座である右側(仏壇に向かって右側)に安置してください。
また、位牌の高さにも注意が必要です。大きい位牌の場合、中段に置くとご本尊よりも高い位置になってしまうことがあります。
そのような場合は、下段に置いても問題ありません。あくまでも「ご本尊を隠さない」「ご本尊より高い位置に来ない」ことが大切なのです。
複数の位牌の並べ方|右上位・古い順・夫婦位牌の扱い
複数の位牌がある場合、並べ方にはルールがあります。
基本原則は「右上位(みぎじょうい)」です。仏壇に向かって右側が上座となり、ここに最も古い位牌を配置していきます。
具体的な順番は、まず仏壇に向かって右奥に「〇〇家先祖代々之霊位」の位牌を安置します。次いでその左、一段下がって右、次いでその左という順序で並べていくのです。
ここで迷うのが、「亡くなった順番」か「世代の古い順番」かという問題です。一般的には、世代の古い順番から先に並べるのが基本とされています。
例えば、子供が親より先に亡くなった場合でも、親の位牌の方を上座に配置するのが一般的です。ただし、この点については異論もありますので、菩提寺に確認していただくのがよいでしょう。
夫婦位牌の場合は、一つの位牌に二人の戒名を入れることができます。または、それぞれ個別の位牌を作り、後に夫婦位牌に作り替えることも可能です。
複数の位牌がある場合、先祖代々の位牌を十とすると、個人の位牌は七くらいの大きさが妥当とされています。先祖代々の位牌より個人の位牌が大きくならないように注意しましょう。
位牌の高さとバランス|ご本尊を隠さないためのチェックポイント
位牌の高さを選ぶ際には、仏壇全体のバランスを考えることが大切です。
一般的には、全長4寸から5寸(約12cmから15cm)の位牌が多く選ばれています。小型仏壇なら4.0寸、中型仏壇なら4.5寸、大型仏壇なら5.0寸以上がよく似合います。
すでにご先祖様の位牌がある場合は、同じ大きさか、それよりやや小さいサイズを選ぶのが一般的です。
また、位牌を安置するスペース(通常は仏壇の上から二段目の左右)に、選んだ位牌が実際に収まるかどうか、しっかり測って確認することも忘れないでください。最も重要なのは、ご本尊が位牌に隠れないことです。
位牌を配置した後、正面から見てご本尊がきちんと見えるかどうか、必ずチェックしていきましょう。
写真・遺影・供物の置き方と位牌の関係
位牌と一緒に写真や遺影を飾りたいという方も多いでしょう。
基本的に、遺影や写真は仏壇の外に置くのが一般的です。仏壇の手前に台を置いて、その上に飾るとよいでしょう。
ただし、写真を仏壇の中に飾ることを嫌がる寺院もあります。本来、仏壇はご本尊をお祀りする場所であり、供養の対象ではないという考え方があるからです。
もし仏壇の中に飾る場合は、ご本尊の真上にものを置くことは礼にあたりますので、仏壇に向かって右か左の壁に配置するようにしてください。
供物については、中段の中央に仏器膳を置いて仏飯器・茶湯器を配置し、その左右に高月(たかつき)を配置するのが一般的です。供物が位牌を隠したり、ご本尊を見えにくくしたりしないよう、バランスを考えて配置しましょう。
NG例から学ぶ「やってはいけない祀り方」
ここで、よくあるNG例をいくつかご紹介していきます。
まず、位牌がご本尊より高い位置にあるのは厳禁です。位牌の高さや配置は、必ずご本尊より下になるように調整してください。
次に、個人の位牌が先祖代々の位牌より大きいのもよくありません。サイズ感を間違えると、バランスが崩れて見た目も悪くなります。
また、四十九日が過ぎても白木位牌をそのまま使い続けるのは避けましょう。白木位牌は傷みやすく、長持ちしません。必ず本位牌に切り替えてください。
さらに、仏壇から位牌だけを取り出して別の部屋に移動するのもNGです。同じ家の中で仏壇を移動する際には、位牌も一緒に仏壇ごと移動するのが基本とされています。
これらの点に注意しながら、正しい祀り方を心がけていきましょう!
仏壇がない場合の位牌の祀り方|マンション・洋室でもできる実践パターン
「仏壇を置くスペースがない」「和室がない」といった悩みを抱える方も多いでしょう。
しかし、仏壇がなくても位牌を丁寧にお祀りすることは十分に可能です。ここでは、現代の住宅事情に合わせた実践的な祀り方をご紹介していきます。マンションや洋室でも無理なく取り入れられる方法ばかりですので、ぜひ参考にしてみてください!
棚・チェストの上で祀る方法|置き場所の選び方
仏壇がない場合、棚やチェストの上に位牌を安置することができます。
置き場所を選ぶ際のポイントは、風通しがよく高温多湿になりにくい環境であることです。位牌は木製品のため、環境によっては傷みやすくなってしまいます。
また、家族みんなが集まりやすく、日頃から手を合わせやすい場所であることも重要です。リビングは家族が集まりやすく風通しもよい場合が多いので、位牌の置き場所として最適でしょう。
ただし、直射日光が当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所は避けてください。位牌が傷む原因になります。
寝室に置く場合は、手を合わせる方の中心となる方の寝室がおすすめです。一日の終わりに手を合わせることができます。ただし、寝る時に足が向く方向には位牌を置かないように気をつけましょう。
和室に床の間がある場合は、そこを位牌の安置場所にしても問題ありません。床の間は床から一段高くなっていますので、位牌の置き場所としても適しています。
その際、床の間に直接置くのは避け、少し高さのある台を置いて、その上に位牌を安置するようにしてください。
ミニ仏壇・現代仏壇という選択肢|小スペース向けの実践例
仏壇を置きたいけれどスペースがないという方には、ミニ仏壇や現代仏壇という選択肢があります。
ミニ仏壇は、コンパクトなサイズで場所を取らず、マンションや洋室にもよく馴染みます。上置きタイプなら、棚やチェストの上に置くことができるため、スペースの心配もいりません。
現代仏壇(モダン仏壇)は、現代の住宅や生活様式に合わせてデザインされた仏壇です。シンプルでおしゃれなデザインのものが多く、洋室にも違和感なく設置できます。
サイズも様々で、小型のものから選べますので、自宅の環境に合わせて選んでいきましょう。インターネットで検索すれば、たくさんの種類が見つかります。
ミニ仏壇や現代仏壇を選ぶ際は、位牌を安置するスペースがきちんと確保できるか、事前に確認することが大切です。仏壇店で実物を見て、サイズ感を確かめてから購入すると安心でしょう。
リビングに置く場合の注意点|直射日光・エアコン・高さ
リビングに位牌を置く場合、いくつかの注意点があります。
まず、直射日光が当たる場所は絶対に避けてください。木製の位牌は日光によって変色したり、劣化したりする恐れがあります。
エアコンの風が直接当たる場所も避けましょう。乾燥によって位牌にひび割れが生じる可能性があります。
位牌を置く高さにも配慮が必要です。できれば目線よりやや高い位置に置くのが望ましいとされています。床に直接置くのは避け、必ず台の上に安置するようにしてください。
また、テレビの真横など、騒がしい場所のすぐ近くも避けた方がよいでしょう。故人を静かに偲べる、落ち着いた場所を選んでいきましょう。
リビングに置くことで、家族が毎日自然に手を合わせる習慣が生まれます。これは大きなメリットです。環境に配慮しながら、最適な場所を見つけてみてください!
写真と位牌を一緒に祀るときの配置例
仏壇がない場合、位牌と一緒に写真を飾る方も多いでしょう。
配置の基本は、位牌を中心に、その横に写真を飾る形です。位牌を奥(壁側)に、写真を手前に配置するパターンもあります。
複数の位牌と写真がある場合は、横並びにしても構いません。もし段差をつけることができるなら、奥の一段高くなったところに先に亡くなった方の位牌を、手前に後から亡くなった方の位牌を置くとよいでしょう。
ただし、仏壇がない場合は、あまり神経質になる必要はありません。大切なのは、故人を偲ぶ気持ちです。
写真と位牌を飾る台には、白い布やレースをかけて清潔感を出すのもおすすめです。お花や線香立てなどを一緒に配置すれば、小さな供養スペースが完成します。
仏壇なしで祀るときに最低限気をつけたいマナー
仏壇がなくても、最低限のマナーは守りたいものです。
まず、位牌は丁寧に扱いましょう。故人の魂が宿る大切なものですから、粗末に扱ってはいけません。
位牌を掃除する際は、柔らかい布で優しく拭いてください。水拭きは避け、乾拭きが基本です。定期的にホコリを払い、清潔に保つことが大切です。
お供え物をする場合は、毎日新しいものに替えましょう。特にお水は毎日取り替えてください。古くなったお供え物をそのままにしておくのはよくありません。
線香を焚く場合は、火の元に十分注意してください。近くに燃えやすいものを置かないようにしましょう。
また、位牌を移動する際は、必ず両手で丁寧に持ちます。片手で持ったり、乱暴に扱ったりするのは避けてください。
これらの基本的なマナーを守りながら、心を込めて供養していくことが何より大切です。
家族間で意見が分かれたときの折衷案
位牌の祀り方について、家族間で意見が分かれることもあるでしょう。
例えば、「仏壇を置きたい」という方と「スペースがないから置きたくない」という方の間で意見が対立するケースです。このような場合は、ミニ仏壇や現代仏壇を検討してみるのも一つの解決策です。
また、「位牌をリビングに置くのは抵抗がある」という方もいるかもしれません。そのような場合は、和室や寝室など、別の部屋に置くことを検討しましょう。
「伝統的な形式にこだわりたい」という方と「現代的なスタイルがよい」という方の間で意見が分かれた場合は、両者の意見を取り入れた折衷案を考えてみてください。例えば、モダンなデザインの仏壇を選びつつ、中の飾り方は伝統的な形式に従うといった方法があります。
いずれの場合も、家族でよく話し合い、お互いの意見を尊重することが大切です。どうしても決まらない場合は、菩提寺の住職に相談してみるのもよいでしょう。
最も重要なのは、家族全員が納得し、心穏やかに供養できる環境を整えることです。形式にこだわりすぎず、柔軟に対応していきましょう!
宗派による「仏壇と位牌の扱いの違い」|浄土真宗は位牌を使わない?
仏壇や位牌の扱い方は、宗派によって違いがあります。
特に浄土真宗は、他の宗派とは大きく異なる考え方を持っています。ここでは、主要な宗派ごとの違いについて詳しく見ていきましょう。自分の宗派を確認しながら読み進めていくと、より理解が深まります!
浄土真宗(本願寺派・大谷派)の位牌観|過去帳と法名軸
浄土真宗では、原則として位牌を使用しません。
なぜなら、浄土真宗の教えでは、阿弥陀如来を信じていれば誰もが臨終と同時に浄土へ往生し、すぐに仏になれるとされているからです。故人の魂は現世にとどまることなく即座に成仏するため、「魂が宿る位牌」という概念自体が必要ないのです。
では、浄土真宗では故人をどのように偲ぶのでしょうか。その答えが「法名軸」と「過去帳」です。
法名軸(ほうみょうじく)とは、故人の法名(他宗派でいう戒名)と没年月日、俗名、享年などを記した小さな掛け軸のことです。金襴や緞子などでできた掛け軸の中央に白無地の紙を表装したもので、仏壇の内側の両壁に掛けます。
過去帳(かこちょう)とは、一族の代々の法名や没年月日などの情報が記入された帳面のことです。家系図のようなもので、各家庭の系譜を記録していきます。
過去帳は見台(けんだい)と呼ばれる台座の上に載せて、仏壇の右側に置くのが一般的です。普段は仏壇の引き出しの中に保管しておき、法要や月命日などに取り出して供養を行います。
法名軸は過去帳よりも正式なものとされており、両方を一緒に飾ることもあれば、どちらか片方のみとすることもあります。小型の仏壇で法名軸が掛けられない場合は、過去帳のみを使用する方も多いです。
なお、浄土真宗でも葬儀や通夜に白木位牌を使うケースはあります。ただし、四十九日以降は本位牌を作らず、法名軸や過去帳に移行するのが一般的です。
最近では、浄土真宗でも位牌を作りたいという方が増えています。位牌を禁止しているわけではありませんので、希望する場合は菩提寺の住職に相談してみましょう。寺院によっては、希望に応じて位牌を作ることを認めてくれる場合もあります。
曹洞宗・臨済宗(禅宗)での位牌の扱い
禅宗である曹洞宗や臨済宗では、位牌を使用します。
基本的な位牌の扱い方は、他の宗派と大きく変わりません。ご本尊の一段下に位牌を安置し、右上位の原則に従って複数の位牌を並べていきます。
禅宗の特徴として、シンプルで簡素な美意識を重んじる傾向があります。そのため、派手な装飾よりも、落ち着いたデザインの位牌を好む方も多いです。
曹洞宗の仏壇では、ご本尊として釈迦如来を中央に安置し、左右に高祖・道元禅師と太祖・瑩山禅師の掛け軸を配置します。臨済宗でも釈迦如来をご本尊とすることが多いですが、派によって若干の違いがあります。
位牌の大きさや形に特別な決まりはありませんので、仏壇のサイズや既存の位牌に合わせて選んでいきましょう。
日蓮宗の仏壇構造と位牌の位置づけ
日蓮宗の仏壇は、他の宗派と比べて独特の構造を持っています。
ご本尊として「南無妙法蓮華経」の曼荼羅または日蓮聖人の像を中央に安置し、左右に鬼子母神や大黒天などの像を配置するのが一般的です。
位牌の扱い方は、基本的に他の宗派と同様です。ご本尊の一段下に安置し、複数ある場合は右上位の原則に従って並べていきます。
日蓮宗では、過去帳を使用することもあります。日蓮宗の過去帳には、故人の情報を記すだけでなく、日蓮聖人や歴代御法主上人の命日、大聖人の法難、お題目なども合わせて記載されており、毎日の勤行時に使用するのが特徴です。
位牌と過去帳を両方使用する場合もあれば、どちらか一方のみとする場合もあります。菩提寺の方針に従って選んでいきましょう。
真言宗の位牌・ご本尊との配置ポイント
真言宗の仏壇では、ご本尊として大日如来を中央に安置します。
左右には弘法大師(空海)と不動明王などの掛け軸や像を配置するのが一般的です。真言宗は密教の色彩が強く、仏壇の装飾も比較的華やかな傾向があります。
位牌の配置については、他の宗派と同様にご本尊の一段下に安置します。真言宗でも、位牌がご本尊を隠したり、ご本尊より高い位置に来たりしないよう注意が必要です。
複数の位牌がある場合は、右上位の原則に従って並べていきます。先祖代々の位牌を最も上座に配置し、個人の位牌はその次に並べてください。
真言宗では、位牌の種類やデザインに特別な決まりはありません。仏壇の雰囲気に合わせて、好みのものを選んでいきましょう。
夫婦・親族で宗派が違う場合の祀り方
夫婦や親族で宗派が異なる場合、位牌の祀り方に悩むことがあるでしょう。
基本的には、それぞれの宗派の作法に従って別々に祀るのが理想です。しかし、スペースの都合などで難しい場合もあります。
一つの仏壇に異なる宗派の位牌を一緒に祀ることは、決して禁止されているわけではありません。ただし、菩提寺によっては難色を示す場合もありますので、事前に相談しておくことをおすすめします。
宗派が違う位牌を一緒に祀る場合、ご本尊をどうするかが問題になります。一つの案としては、どちらか一方の宗派のご本尊を中心に据え、もう一方の宗派の位牌も同じ仏壇に安置する方法があります。
または、ご本尊を置かず、位牌のみを安置するという方法もあります。この場合、仏壇というよりは「位牌を祀る場」という位置づけになります。
いずれの場合も、両方の菩提寺とよく相談し、お互いが納得できる形を見つけていくことが大切です。最も重要なのは、形式よりも故人を偲ぶ気持ちですから、柔軟に対応していきましょう!
「宗派が分からない場合」はどうすれば良い?
自分の家の宗派が分からないという方も、実は少なくありません。
まず、菩提寺(お付き合いのあるお寺)がある場合は、そちらに確認してみましょう。菩提寺に連絡すれば、すぐに教えてもらえます。
菩提寺がない場合や、連絡先が分からない場合は、以下の方法で調べることができます。
お墓がある場合は、墓地の管理者に尋ねてみてください。寺院墓地であれば、その寺院の宗派が自分の宗派である可能性が高いです。
また、親戚の年長者に尋ねてみるのもよいでしょう。特に両親や祖父母の世代であれば、宗派について知っている可能性があります。
過去の法要の記録や位牌に書かれた戒名からも、ある程度の推測は可能です。例えば、浄土真宗では「法名」、日蓮宗では「日」の字がつくことが多いなど、宗派によって特徴があります。
どうしても分からない場合は、近くの仏壇店や葬儀社に相談してみるのも一つの方法です。専門家が戒名の特徴などから宗派を推測してくれることもあります。
宗派が分からないままでも、位牌を作ること自体は可能です。その場合は、一般的な形式の位牌を選び、基本的なマナーに従って祀っていきましょう!
位牌が増えた・古い位牌の扱いに困っている場合の対処法|まとめ方・お焚き上げ・繰出位牌
長年にわたって供養を続けていると、仏壇の中に位牌が増えすぎて困ることがあります。
そんなときはどうすればよいのでしょうか。ここでは、位牌が増えた場合の実践的な対処法をご紹介していきます。繰出位牌や過去帳への移行、古い位牌の処分方法など、具体的な解決策をお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください!
複数の位牌はどう並べる?「右上位」の原則
複数の位牌がある場合の並べ方については、すでにお伝えしましたが、ここで改めて整理しておきましょう。
基本原則は「右上位(みぎじょうい)」です。仏壇に向かって右側が上座となり、ここに最も古い位牌を配置します。
具体的には、仏壇に向かって右奥に「〇〇家先祖代々之霊位」の位牌を安置し、次いでその左、一段下がって右、次いでその左という順序で並べていくのです。
位牌の数が多くなると、この原則に従って並べるだけでも一苦労です。仏壇のスペースに収まりきらなくなってきたら、次にご紹介する繰出位牌や過去帳への移行を検討しましょう。
位牌が増えすぎた場合の選択肢(繰出位牌/過去帳にまとめる)
位牌が増えすぎて仏壇に収まらなくなった場合、主に2つの選択肢があります。
一つ目は、繰出位牌(くりだしいはい)、別名「回出位牌」にまとめる方法です。
繰出位牌とは、戒名を記した札板を複数枚(通常7枚から10枚程度)納められる箱型の位牌のことです。一つの繰出位牌で複数のご先祖様をお祀りできるため、省スペース化が可能になります。
繰出位牌の中には、最前面に「〇〇家先祖代々之霊位」と記された黒塗りの札板を配置し、その後ろに各故人の札板を命日順に並べて格納します。ご先祖様の命日になったら、その方の札板を一番前に出して供養を行うのです。
このように、中に納められている札板を順番に出して回していくところから、「回出位牌」とも書かれます。
繰出位牌にまとめるタイミングは、三十三回忌や五十回忌などの「弔い上げ」の時期が一般的です。ただし、七回忌や十三回忌でまとめる方もいらっしゃいます。特に厳密な決まりはありませんので、位牌の数や仏壇の大きさを考慮して、適切なタイミングを選んでください。
二つ目は、過去帳にまとめる方法です。
過去帳は、浄土真宗だけでなく他の宗派でも使用されます。繰出位牌がいっぱいになった場合や、さらに古いご先祖様の記録を残したい場合は、過去帳に移行するのが一般的です。
過去帳には、故人の戒名、命日、俗名、享年などを記載していきます。家系図のような役割も果たすため、各家庭のルーツを現在に繋ぐ大切な記録となります。
過去帳は永続的にご家庭で守り伝えられていくものですので、大切に扱いましょう。
宗派が違う位牌は一緒に祀っていい?
宗派が違う位牌を一緒に祀ることについては、すでに少し触れましたが、ここで改めて詳しく見ていきましょう。
結論から言えば、宗派が違う位牌を同じ仏壇に祀ることは、絶対に禁止されているわけではありません。ただし、菩提寺によっては難色を示す場合もあります。
宗派が違う位牌を一緒に祀る場合、ご本尊をどうするかが最大の問題です。複数の宗派のご本尊を一つの仏壇に安置することは、通常は避けるべきとされています。
一つの解決策として、どちらか一方の宗派のご本尊を中心に据え、もう一方の宗派の位牌も同じ仏壇に安置する方法があります。または、ご本尊を置かず、位牌のみを安置するという方法もあります。
いずれの場合も、両方の菩提寺とよく相談し、お互いが納得できる形を見つけていくことが大切です。形式にこだわりすぎず、故人を偲ぶ気持ちを最優先に考えましょう!
古い位牌の扱い方|閉眼供養とお焚き上げ
繰出位牌や過去帳にまとめる際、古い位牌はどうすればよいのでしょうか。
まず、古い位牌から魂を抜く「閉眼供養(へいがんくよう)」を行う必要があります。閉眼供養は、「魂抜き」や「お性根抜き」とも呼ばれる儀式で、僧侶が読経して礼拝対象としての性格を外します。
閉眼供養が終わった位牌は、もはや「ただの木の札」となります。しかし、故人の戒名が記されたものをゴミとして処分するのは心苦しいものです。
そのため、菩提寺に引き取ってもらい、お焚き上げ(焼却供養)をしてもらうのが一般的です。法要の際に菩提寺の住職に事前に依頼しておきましょう。
菩提寺への依頼が難しい場合は、本位牌を購入した仏壇店や葬儀社、遺品整理業者などに引き取りを依頼する方法もあります。
新しい繰出位牌には、「開眼供養(かいげんくよう)」を行います。開眼供養は、「魂入れ」や「お性根入れ」とも呼ばれ、僧侶が読経して新しい位牌に魂を込める儀式です。
閉眼供養と開眼供養は、通常、法要の中で続けて行われます。これにより、古い位牌から新しい位牌へと魂が移り、繰出位牌を正式に仏壇に安置できるようになるのです。
無縁位牌・引き取り手がいない場合の供養方法
身寄りのない方の位牌や、引き取り手がいない位牌をどう扱うかは、難しい問題です。
まず、菩提寺に相談してみましょう。寺院によっては、無縁位牌を引き取って供養してくれるところもあります。
また、一部の寺院では「永代供養」というサービスを提供しています。永代供養とは、寺院が責任を持って末代まで供養してくれる制度です。費用はかかりますが、引き取り手がいない場合の有力な選択肢となります。
自治体によっては、無縁仏の供養を行っているところもあります。お住まいの地域の役所に問い合わせてみるのもよいでしょう。
NPO法人などが運営する供養サービスを利用する方法もあります。インターネットで検索すれば、様々なサービスが見つかります。
いずれの方法を選ぶ場合も、必ず閉眼供養を行ってから引き渡すようにしてください。魂が宿ったままの位牌を処分することは避けるべきです。
寺院・仏壇店への相談の仕方|何を伝えればよいか
位牌の扱いについて困ったときは、菩提寺や仏壇店に相談するのが最も確実です。
寺院に相談する際は、以下の情報を伝えるとスムーズです。
まず、現在の位牌の数と状態を伝えましょう。「位牌が何体あり、仏壇に収まりきらなくなっている」といった具体的な状況を説明してください。
次に、どのような対処を考えているかを伝えます。「繰出位牌にまとめたい」「過去帳に移行したい」など、希望する方法があれば伝えましょう。
また、宗派や家の事情についても説明しておくとよいでしょう。特に、夫婦や親族で宗派が異なる場合は、その旨を必ず伝えてください。
仏壇店に相談する際は、現在の仏壇のサイズや、既存の位牌の写真を持参すると話がスムーズに進みます。繰出位牌を選ぶ際は、既存の位牌のサイズや雰囲気に合わせることが多いためです。
費用についても事前に確認しておきましょう。繰出位牌の価格は、素材やデザインによって数万円から十数万円まで幅があります。
また、開眼供養や閉眼供養のお布施の相場についても、寺院に遠慮なく尋ねてみてください。一般的には、開眼供養のみの場合は3万円から5万円程度が相場とされていますが、地域や寺院によって異なります。
分からないことや不安なことがあれば、遠慮せずに質問してみましょう。専門家が丁寧に答えてくれるはずです!
位牌を準備する時期と儀式の流れ|四十九日・開眼供養・閉眼供養
位牌を準備する際には、適切な時期と手順を守ることが大切です。
ここでは、葬儀から四十九日までの流れ、本位牌を作るタイミング、開眼供養や閉眼供養の意味と手順について、詳しくお伝えしていきます。これから位牌を準備する方は、ぜひしっかり読んでみてください!
葬儀〜四十九日までの流れと”位牌の段取り”
葬儀の際には、白木位牌が用意されます。白木位牌は、寺院や葬儀社が準備してくれるのが一般的です。
葬儀後、白木位牌は「後飾り祭壇(あとかざりさいだん)」と呼ばれる仮の祭壇に安置します。後飾り祭壇はご遺骨や遺影とともに置かれ、四十九日法要まで日々の礼拝の場となります。
この間に、本位牌の準備を進めていかなければなりません。本位牌は遺族が自分で仏壇店などで購入する必要があります。葬儀社や寺院では準備してもらえないことが多いので注意してください。
本位牌の作成には、戒名の文字入れなどで通常10日から2週間ほどかかります。四十九日法要に間に合わせるためには、遅くとも法要の3週間前までには注文しておくことをおすすめします。
注文に行く際は、実際に白木位牌を持参するか、表裏の写真を撮って持参すると、間違いなく戒名を写してもらえます。
本位牌を作るタイミング|四十九日までに準備する理由
本位牌は、四十九日法要までに準備するのが原則です。
なぜ四十九日なのでしょうか。仏教では、故人の魂は亡くなってから四十九日までの間、あの世とこの世を行き来し、七日ごとの審判を受けるとされています。
四十九日目は「忌明け」にあたり、来世の行き先が決まる大切な日です。この節目に本位牌を用意し、白木位牌から魂を移す「開眼供養」を行い、本位牌を仏壇に安置するのです。
白木位牌は、あくまで本位牌ができあがるまでの間のみ用いられる仮の位牌です。もともと長持ちするようには作られておらず、簡易な作りになっています。
やむを得ず四十九日までに本位牌の準備が間に合わない場合は、お盆や命日などの節目に切り替えることもあります。しかし、できる限り四十九日法要に合わせるのが望ましいとされています。
本位牌が手元に届いても、四十九日の法要前に白木位牌と差し替えてはいけません。開眼供養により故人の魂は本位牌に移るとされているため、それ以前に白木位牌を替えてはならないのです。
開眼供養(魂入れ)の意味と手順
開眼供養(かいげんくよう)とは、新しい位牌やお墓、仏壇に故人の魂を込める儀式です。
「魂入れ」「お性根入れ」「入魂式」などとも呼ばれています。開眼供養を行うことで、位牌は初めて礼拝の対象となります。
開眼の由来は、仏像を作る工程にあります。仏像彫刻師は仏像を彫り上げた後、最後の作業として眼を書き込むことで、その像に魂を宿らせるのです。
位牌の場合も、四十九日法要の際に僧侶から魂を込めてもらうことで、位牌の眼が開いて(開眼)、正式な礼拝具として機能するようになります。
開眼供養の手順は、宗派によって作法が異なります。僧侶が読むお経の種類や使用する法具などに違いが見られるでしょう。
一般的な流れとしては、四十九日法要の中で、まず白木位牌から魂を抜く「閉眼供養」を行い、続いて本位牌へ魂を移す「開眼供養」を行います。この2つの儀式は続けて行われることがほとんどです。
開眼供養のお布施の相場は、3万円から5万円程度が一般的です。ただし、納骨式も一緒に行う場合は、5万円から10万円程度を準備しておくとよいでしょう。
お布施以外にも、僧侶の交通費として御車代(5千円から1万円程度)、会食を欠席する場合の御膳料(5千円から1万円程度)が必要になることもあります。
開眼供養のみを行う場合は慶事として扱われるため、紅白の祝儀袋を使用します。納骨式と同時に行う場合は、弔事として黄白や黒白の不祝儀袋、または白無地の封筒を使用してください。
なお、浄土真宗では魂を入れるという概念がないため、開眼供養とは呼ばず、「御移徙(ごいし)」「建碑慶讃法要」などと呼ばれています。宗派によって考え方が異なりますので、事前に確認しておきましょう。
古い位牌を整理するタイミング|閉眼供養の流れ
古い位牌を整理する際には、必ず閉眼供養を行う必要があります。
閉眼供養(へいがんくよう)とは、位牌から故人の魂を抜く儀式です。「魂抜き」や「お性根抜き」とも呼ばれています。
閉眼供養を行うタイミングは、主に以下のような場合です。
白木位牌から本位牌に切り替える四十九日法要の際。複数の位牌を繰出位牌にまとめる際。古い位牌を処分する際。仏壇を処分したり、移動したりする際。
閉眼供養の手順は、僧侶が読経を行い、位牌から魂を抜きます。これにより、位牌は「ただの木の札」に戻ります。
魂を抜いた後の位牌は、菩提寺に引き取ってもらい、お焚き上げをしてもらうのが一般的です。法要を依頼した僧侶に事前に相談しておきましょう。
お焚き上げとは、故人の戒名が記された位牌を焼却して供養する儀式です。ゴミとして処分するのではなく、感謝の気持ちを込めて丁寧に扱うことが大切です。
閉眼供養のお布施の相場は、開眼供養と同程度で、3万円から5万円程度が目安とされています。ただし、開眼供養と閉眼供養を同時に行う場合は、まとめて一つのお布施として包むことが多いです。
菩提寺によっては、お布施をまとめてよいとするところもあれば、別々に準備することを求めるところもあります。事前に確認しておくと安心です。
一周忌・三回忌以降の祀り方の変化
四十九日法要で本位牌を仏壇に安置した後も、定期的な法要は続いていきます。
一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、五十回忌といった節目の法要を行うのが一般的です。
これらの法要の際、位牌の祀り方に大きな変化はありません。基本的には、仏壇に安置したままの状態で法要を行います。
ただし、三十三回忌や五十回忌の「弔い上げ」のタイミングで、個別の位牌を繰出位牌にまとめたり、過去帳に移行したりすることが多いです。これにより、「個人」から「ご先祖様」へと位置づけが変わっていきます。
また、法要の際には、仏壇を普段より丁寧に掃除し、お花やお供え物を新しくして、僧侶をお迎えします。位牌も柔らかい布で優しく拭いて、きれいにしておきましょう。
一周忌以降は、徐々に法要の規模も小さくなっていくことが多いです。最初は親族を多く呼んで行っていた法要も、回忌を重ねるごとに、家族だけで静かに行うようになっていくのが一般的です。
大切なのは、形式よりも故人を偲ぶ気持ちです。自分たちのペースで、無理なく続けていきましょう!
寺院との連絡はどうすればいい?費用の相場は?
位牌の準備や法要の際、寺院との連絡は欠かせません。
まず、四十九日法要の日程を決める際には、早めに寺院に連絡しましょう。遅くとも法要の1ヶ月前までには連絡を入れておくことをおすすめします。
連絡の際には、以下の内容を伝えてください。
法要の種類(四十九日法要、一周忌など)。希望する日時(複数の候補日を用意しておくとスムーズです)。参列者の人数。会食の有無。開眼供養や閉眼供養の必要性。
お布施の金額については、直接僧侶に尋ねても失礼にはあたりません。「お気持ちで」と言われることもありますが、その際は一般的な相場を参考にしてください。
四十九日法要のお布施の相場は、3万円から5万円程度です。開眼供養も同時に行う場合は、5万円から10万円程度を準備しておくとよいでしょう。
ただし、地域や寺院によって相場は異なります。周囲の親族や地域の方に聞いてみるのもよい方法です。
お布施は、白い封筒または奉書紙に包んで渡します。表書きには「御布施」または「お布施」と書き、その下に施主の名前を記入してください。
お布施を渡すタイミングは、法要が始まる前か、法要が終わった後です。僧侶に直接手渡しするのが丁寧ですが、小さなお盆に乗せて渡すとより丁寧です。
御車代や御膳料を用意する場合も、お布施と同じタイミングで渡します。別々の封筒に入れて準備しておきましょう。
寺院との連絡や費用について不安な点があれば、遠慮なく質問してみてください。丁寧に答えてくれるはずです!
まとめ
仏壇と位牌は、それぞれ異なる役割を持つ大切なものです。
仏壇は本来、ご本尊をお祀りする信仰の場であり、位牌は故人の魂が宿る依り代として私たちが手を合わせる対象となります。両者の違いを理解した上で、適切に祀ることが大切です。
また、宗派によって位牌の扱い方には違いがあります。特に浄土真宗では位牌を使わず、法名軸や過去帳を用いるという点を覚えておきましょう。
現代の住宅事情では、仏壇を置くスペースがないご家庭も増えています。そのような場合でも、ミニ仏壇や棚の上での供養など、柔軟な方法で故人を偲ぶことができます。
位牌が増えた場合は、繰出位牌や過去帳への移行を検討してみてください。古い位牌を整理する際は、必ず閉眼供養を行い、丁寧にお焚き上げをしてもらいましょう。
最も大切なのは、形式にこだわりすぎず、故人を偲ぶ気持ちを持ち続けることです。自分の家庭や生活スタイルに合った方法で、無理なく供養を続けていきましょう。
分からないことや不安なことがあれば、菩提寺や仏壇店に遠慮なく相談してみてください。専門家が親身になって答えてくれるはずです!





