「最近、なんだか喉が乾燥して咳が出やすい……」「肌がカサカサして、なんとなく体調がすぐれない」そんな悩みを抱えているあなた、それは寒露の季節特有の体調不良かもしれません。
寒露は10月上旬から下旬にかけての二十四節気のひとつで、秋が深まり朝晩の冷え込みと乾燥が本格化する時期。
東洋医学では、この時期は肺や大腸に負担がかかりやすく、乾燥による不調が出やすいと考えられています。
この記事では、寒露の時期に起こりやすい体調変化のメカニズムから、具体的な食養生・生活養生・セルフケアまで、東洋医学の視点から丁寧にお伝えしていきます。
乾燥や冷えに負けない身体づくりのヒントを、ぜひ取り入れてみてください!
寒露とはいつ?どんな体調変化が起こりやすい季節かを徹底解説
まずは寒露という季節がどのような時期なのか、そしてこの時期に身体に起こりやすい変化について見ていきます。
季節の移り変わりを知ることで、体調管理の準備がしやすくなるはずです。
寒露の時期はいつ?
寒露は二十四節気のひとつで、毎年10月8日頃から10月22日頃までの期間を指します。
202年の寒露は10月8日から始まり、次の節気である霜降の前日である10月22日まで続く時期です。
この頃になると、朝晩の気温がぐっと下がり、草木に降りる露が冷たく感じられるようになることから「寒露」と名付けられました。
秋分を過ぎて昼夜の長さが逆転し、日に日に日照時間が短くなっていくのもこの時期の特徴。
季節は確実に冬へと向かっていきます。
二十四節気の中で寒露が示す”季節の変わり目”
二十四節気は、太陽の動きをもとに1年を24等分した季節の指標です。
寒露は秋分の次、霜降の前に位置しており、秋の後半を象徴する節気といえます。
この時期は「秋が深まる」という表現がぴったりで、夏の名残が完全に消え、本格的な秋の訪れを感じさせる頃なのです。
また、寒露の頃は稲刈りが終わり、農作物の収穫が本格化する時期でもあります。
実りの秋を迎える一方で、身体は冬支度を始めなければならない、まさに季節の変わり目なのです。
寒暖差が激しくなる理由と身体への影響
寒露の時期は、日中と朝晩の寒暖差が10度以上になることも珍しくありません。
なぜなら、秋晴れの日は日中の気温が上がりやすい一方で、夜間は放射冷却によって急激に気温が下がるからです。
この激しい寒暖差が、自律神経のバランスを乱す大きな要因となります。
自律神経が乱れると、体温調節がうまくいかなくなり、疲れやすさやだるさを感じやすくなります。
さらに免疫力も低下しやすいため、風邪を引きやすくなるのもこの時期の特徴です。
また、寒暖差は血管の収縮と拡張を繰り返させるため、頭痛や肩こりといった症状も出やすくなります。
乾燥が始まるサインと不調が出やすい背景
寒露の頃から空気の乾燥が本格化していきます。
夏の湿気が消え、秋晴れの日が続くことで大気中の水分量が減少するためです。
この乾燥が、喉や鼻の粘膜、肌のバリア機能を低下させ、さまざまな不調を引き起こします。
具体的には、喉のイガイガ感や空咳、鼻の乾燥、肌のカサつきやかゆみなどが代表的な症状。
東洋医学では、こうした乾燥による不調を「燥邪」の影響と考えています。
燥邪は特に呼吸器系に影響を与えやすく、喘息や気管支炎を悪化させることもあります。
また、乾燥によって便秘になりやすくなるのも、この時期の特徴です。
東洋医学でみる寒露:乾燥(燥)と”肺・大腸”が弱りやすい理由
東洋医学の視点から寒露の季節を見ると、身体に起こる変化がより深く理解できます。
ここでは、五行説に基づいた秋と肺・大腸の関係性について詳しくお話ししていきます。
五行の「金」と秋のつながり(肺・大腸に負担がかかる季節)
東洋医学では、自然界のすべてを「木・火・土・金・水」の五つの要素に分類する五行説という考え方があります。
秋は五行の「金」に属し、金は清涼感や収斂(しゅうれん)の性質を持っています。
この金の要素と対応する臓腑が「肺」と「大腸」です。
肺は呼吸を通じて外界の気を取り入れ、全身に気を巡らせる重要な役割を担っています。
また、水分代謝にも深く関わり、皮膚や毛髪の健康を保つ働きもあるのです。
大腸は肺と表裏の関係にあり、体内の老廃物を排出する機能を持っています。
秋になると、これらの臓腑が季節の影響を最も強く受けやすくなるため、注意が必要なのです。
乾燥(燥)の影響:咳・鼻・肌トラブルが起きるメカニズム
秋の大気は「燥邪」に満ちていると東洋医学では考えます。
燥邪とは乾燥を引き起こす邪気のことで、肺を直接攻撃する性質があります。
なぜなら、肺は呼吸によって外気と直接接触する唯一の内臓だからです。
燥邪が肺に入り込むと、肺の潤いが失われ、「肺陰虚」という状態になります。
この状態になると、空咳が止まらない、喉が渇く、声がかすれるといった症状が現れやすくなるのです。
さらに肺は皮膚とも密接な関係にあるため、肺が乾燥すると皮膚のバリア機能も低下します。
その結果、肌荒れやかゆみ、乾燥肌といったトラブルが起きやすくなります。
鼻の乾燥も同様のメカニズムで起こり、鼻血が出やすくなったり、鼻炎が悪化したりすることもあるのです。
冷えが同時に進む寒露特有の体調変化
寒露の時期は乾燥だけでなく、冷えも本格化していきます。
朝晩の気温低下により、身体の表面から熱が奪われやすくなるためです。
東洋医学では、この冷えが「陽気」を消耗させると考えています。
陽気とは身体を温める力のことで、陽気が不足すると手足の冷え、顔色の悪さ、疲労感といった症状が現れます。
特に冷えと乾燥が同時に進むことで、風邪を引きやすくなるのがこの時期の特徴です。
また、冷えによって血行が悪くなると、肩こりや腰痛なども起こりやすくなります。
乾燥と冷えの両方に対策することが、寒露の養生では非常に重要なポイントとなるのです。
心が落ち込みやすくなる理由(秋の感情=悲)
東洋医学では、季節ごとに対応する感情があると考えられています。
秋に対応する感情は「憂」や「悲」であり、肺と深く結びついているのです。
なぜなら、肺は気の巡りをコントロールする臓器であり、肺が弱ると気が滞って憂鬱な気分になりやすいからです。
寒露の頃になると「なんとなく物悲しい」「気分が沈みがち」と感じる人が増えるのは、この肺と感情の関係性によるもの。
また、日照時間が短くなることで、セロトニンの分泌が減少し、メンタルに影響を与えることも科学的に証明されています。
逆に、悲しみや憂いの感情が強すぎると、肺の機能をさらに低下させてしまう悪循環に陥ることも。
心と身体は密接につながっているため、メンタルケアも秋の養生では欠かせない要素なのです。
寒露に取り入れたい食養生:スーパーで買える旬食材で”潤い補給”
ここからは具体的な養生法をお伝えしていきます。
まずは毎日の食事で取り入れられる、寒露の時期におすすめの食材と調理法を見ていきましょう。
肺を潤す食材とその効能(梨・ぶどう・れんこん・白きくらげなど)
寒露の時期は、肺を潤す性質を持つ食材を積極的に取り入れることが大切です。
梨は秋を代表する果物で、のどの渇きを癒し、空咳を止める効果があります。
水分を豊富に含み、体の熱を冷ましながら潤いを与えてくれる優れた食材です。
ぶどうも肺を潤し、気力を補う効果が期待できます。
皮ごと食べることで、ポリフェノールも摂取でき、抗酸化作用も得られるのです。
れんこんは肺の熱を取り除き、乾燥を防ぐ働きがあります。
含まれるタンニンという成分には、喉の炎症を和らげる効果もあるため、咳が気になる時にぴったりの食材です。
白きくらげは「肺のビタミン」とも呼ばれ、肺を潤す効果が非常に高い食材。
水で戻してスープやデザートに加えると、手軽に取り入れられます。
大腸を整えて便秘を予防する食材(ごま・ナッツ・さつまいも)
秋の乾燥は大腸にも影響を与え、便秘を引き起こしやすくなります。
なぜなら、大腸の潤いが不足すると、便が硬くなり排出しにくくなるからです。
そんな時に役立つのが、油分を含む食材たち。
ごまやナッツ類は良質な油分を含み、腸を潤して便通を促進してくれます。
特に黒ごまは腎を補う効果もあり、秋から冬にかけての体力づくりにも最適です。
さつまいもは食物繊維が豊富で、腸の蠕動運動を活発にします。
また、ビタミンCも含まれているため、美肌効果も期待できる一石二鳥の食材なのです。
ただし、さつまいもはガスが溜まりやすい人もいるため、少量ずつ様子を見ながら取り入れることをおすすめします。
夏の余分な湿をさばく食材(大根・はと麦・きのこ類)
寒露の時期は、夏に溜め込んだ余分な湿気を体外に排出することも大切です。
大根は消化を助け、余分な水分を排出する働きがあります。
辛味成分には殺菌作用もあり、風邪予防にも効果的な食材です。
はと麦は利尿作用があり、体内の湿気を取り除くのに優れています。
お茶として飲むのはもちろん、ご飯に混ぜて炊くのもおすすめの食べ方です。
きのこ類は免疫力を高める成分が豊富で、秋の体調管理には欠かせない食材。
しいたけ、まいたけ、しめじなど、種類を変えながら毎日の食事に取り入れてみてください。
きのこには食物繊維も豊富に含まれているため、便秘解消にも役立ちます。
忙しい人でも続けやすい簡単レシピ例
理論はわかっても、忙しい毎日で実践するのは難しいと感じる方も多いはず。
そこで、手軽に作れる簡単レシピをいくつかご紹介していきます。
まず「梨とれんこんのスムージー」は、梨100gとれんこん100g、はちみつ少々をミキサーにかけるだけ。
喉の乾燥が気になる朝にぴったりのドリンクです。
プロの歌手も愛飲しているという実績もある、効果的なレシピなのです。
「きのこと白菜のとろみスープ」は、きのこ類と白菜を出汁で煮て、片栗粉でとろみをつけるだけ。
とろみが喉や胃を優しく包み込み、身体を芯から温めてくれます。
「さつまいもとごまのおやつ」は、蒸したさつまいもにごまをまぶすだけのシンプルなもの。
腸を潤しながら、満足感も得られる健康的なおやつになります。
寒露の時期に避けたい食べ物・習慣
逆に、寒露の時期に避けたほうが良い食べ物もあります。
辛味の強い食材は、肺を乾燥させる性質があるため、この時期は控えめにすることをおすすめします。
唐辛子やわさび、カレーなど、刺激の強いものは量を加減しましょう。
また、冷たい飲み物や生もの、刺身なども身体を冷やすため、できるだけ温かい調理法を選ぶことが大切です。
特に朝晩の気温が下がる寒露の時期は、冷えが不調の引き金になりやすいのです。
アルコールも適量を守ることが重要。
過度の飲酒は肝臓だけでなく、肺にも負担をかけてしまうからです。
さらに、夜遅い時間の食事や食べ過ぎも、消化器系に負担をかけるため避けたほうが良いでしょう。
寒露の生活養生:冷え・乾燥・睡眠リズムを整える暮らし方
食養生と並んで大切なのが、日々の生活習慣を整えることです。
ここでは、寒露の時期に意識したい暮らし方のポイントをお伝えしていきます。
朝晩の冷えに備える服装(首・腰・足首の”三首温め”)
寒露の時期は、朝晩の冷え込みに備えた服装選びが重要です。
東洋医学では「三首」と呼ばれる、首・手首・足首を温めることが冷え対策の基本とされています。
なぜなら、これらの部位には太い血管が通っており、ここを温めることで全身の血行が良くなるからです。
首にはスカーフやストールを巻き、風の侵入を防ぐことが大切。
風邪の「風」という字にも「風」が入っているように、東洋医学では風が病の入り口になると考えられています。
腰回りは腹巻きやカイロで温めると、内臓の働きが活発になります。
足首はレッグウォーマーや厚手の靴下で保温すると、冷えからくる不調を予防できるのです。
乾燥対策:加湿・保湿・水分補給のバランス
室内の乾燥対策も忘れてはいけません。
暖房を使い始めるこの時期は、室内の湿度が30%以下になることもあります。
理想的な湿度は50〜60%程度なので、加湿器を活用したり、濡れタオルを干したりして調整しましょう。
肌の保湿も重要なポイント。
入浴後はすぐに保湿クリームを塗り、肌の水分を閉じ込めることが大切です。
水分補給は、一度にたくさん飲むのではなく、こまめに少量ずつ摂ることがコツ。
冷たい水ではなく、常温か白湯を選ぶと、身体を冷やさずに潤いを補給できます。
ただし、寝る直前の大量の水分摂取は夜間頻尿の原因になるため、注意が必要です。
秋は”早寝で陰を養う”が鍵:睡眠リズムの整え方
東洋医学では、秋は早寝早起きが基本とされています。
なぜなら、秋は陰の気が増し始める季節であり、夜の時間を大切にすることで身体の陰を養えるからです。
理想的な就寝時間は22時〜23時頃で、この時間帯に眠ることで成長ホルモンの分泌も促されます。
日照時間が短くなるこの時期は、自然のリズムに合わせて少し早めに就寝することを意識してみてください。
睡眠の質を高めるためには、寝る1時間前からスマートフォンやパソコンの使用を控えることも大切です。
また、寝室の温度と湿度を適切に保つことも、快眠のポイント。
室温は18〜22度、湿度は50〜60%が理想的とされています。
軽い運動・入浴習慣で巡りを良くする方法
適度な運動は、気血の巡りを良くし、免疫力を高めてくれます。
寒露の時期におすすめなのは、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動。
秋の心地よい風を肌で感じることで、肺の機能が活性化されるとも言われています。
ただし、激しすぎる運動は避け、心地よいと感じる程度に留めることが重要です。
また、朝晩の冷え込む時間帯は避け、日中の温かい時間に行うことをおすすめします。
入浴も血行促進に効果的な習慣。
38〜40度のぬるめのお湯に15〜20分ほどゆっくり浸かると、身体が芯から温まります。
入浴剤に柚子やラベンダーなどを加えると、リラックス効果も高まり、心の疲れも癒されます。
体調を崩しやすくなるNG習慣
逆に、体調を崩しやすくなるNG習慣も知っておきましょう。
夜更かしは陰を消耗させ、免疫力を低下させる大きな原因になります。
特に寒露の時期は、規則正しい生活リズムを心がけることが大切です。
薄着も要注意。
「まだ大丈夫」と油断していると、冷えが蓄積して後から不調が出てきます。
ストレスの溜め込みも、肺の機能を低下させる要因に。
悩みや不安を抱え込まず、信頼できる人に話したり、趣味の時間を持ったりすることが大切です。
また、エアコンの効きすぎた部屋に長時間いることも、乾燥と冷えを同時に引き起こすため避けたほうが良いでしょう。
寒露の不調別セルフケア:咳・鼻乾燥・肌荒れ・便秘をラクにする方法
ここからは、具体的な症状別のセルフケア方法をご紹介していきます。
自宅で簡単にできるケアばかりなので、ぜひ試してみてください。
咳・のどの乾燥を和らげるケア(潤い食材・呼吸法・蒸気)
空咳やのどの乾燥が気になる時は、潤い食材を積極的に摂りましょう。
梨やれんこん、はちみつを使ったドリンクは、のどを直接潤してくれる効果的な方法です。
特にはちみつには抗菌作用もあるため、のどの痛みにも効果が期待できます。
呼吸法も効果的なセルフケアのひとつ。
鼻からゆっくり息を吸い、口からゆっくり吐く腹式呼吸を1日数回行うことで、肺の機能が整います。
蒸気吸入も簡単にできるケア方法です。
お湯を入れた洗面器にタオルをかぶって蒸気を吸い込むと、のどや鼻の粘膜が潤います。
マスクをして寝ることも、のどの乾燥を防ぐ手軽な方法としておすすめです。
鼻・肌の乾燥対策(保湿・オイル・入浴法)
鼻の乾燥が気になる場合は、鼻の穴の入り口にワセリンを薄く塗ると良いでしょう。
保湿されることで、鼻血や鼻のムズムズ感が軽減されます。
また、鼻うがいも効果的ですが、やりすぎは逆効果なので1日1〜2回程度に留めてください。
肌の乾燥対策には、入浴後すぐの保湿が鉄則。
ボディオイルやクリームを、肌がまだ湿っているうちに塗り込むと、水分をしっかり閉じ込められます。
特に乾燥が気になる部分には、ホホバオイルやアーモンドオイルなどの植物性オイルがおすすめ。
入浴時に湯船に数滴垂らすのも、全身の保湿に効果的な方法です。
便秘対策:大腸ケア+温め+ツボ押しの組み合わせ
便秘が気になる時は、腸を温めることから始めてみましょう。
お腹の上に温かいタオルやカイロを当てると、腸の蠕動運動が活発になります。
また、朝起きたら白湯を飲む習慣をつけると、腸が目覚めやすくなるのです。
ツボ押しも効果的なセルフケア。
おへその周りを時計回りにゆっくりマッサージすると、腸の動きが促されます。
「天枢」というツボは、おへその左右3cm外側にあり、便秘に効果的なポイント。
両手の人差し指、中指、薬指の3本でゆっくり押してみてください。
食事では食物繊維と良質な油分をバランスよく摂ることが大切です。
冷え・だるさに効くツボ(三陰交・太渓など)
冷えやだるさを感じる時は、ツボ押しで気血の巡りを良くしましょう。
「三陰交」は内くるぶしから指4本分上にあるツボで、冷え性に効果的なポイントです。
親指でゆっくり5秒ほど押し、5秒休むを5〜10回繰り返すと良いでしょう。
「太渓」は内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみにあり、腎の機能を高めるツボ。
冷えだけでなく、疲労回復にも効果が期待できます。
ツボ押しは入浴中や入浴後の身体が温まっている時に行うと、より効果的です。
力を入れすぎず、心地よいと感じる程度の強さで押すことがポイントになります。
デスクワーク中でもできる簡単ストレッチ
長時間のデスクワークは、血行不良を引き起こしやすくなります。
1時間に1回は立ち上がり、軽く身体を動かすことを心がけましょう。
座ったままでもできる簡単なストレッチをご紹介します。
まず、両手を上に伸ばして大きく背伸び。
そのまま左右にゆっくり身体を倒すと、わき腹が伸びて気持ち良いはずです。
肩をゆっくり回すストレッチも効果的。
前回し、後ろ回しを各10回ずつ行うと、肩こりの予防になります。
足首を回したり、つま先の上げ下げをしたりすることで、下半身の血流も改善されます。
これらの簡単なストレッチを習慣化することで、冷えやだるさを予防できるのです。
さらに深めたい人へ:七十二候・心の養生・香り・お茶時間のすすめ
ここまで基本的な養生法をお伝えしてきましたが、さらに深く季節を楽しみたい方へ、追加の情報をご紹介していきます。
日常に季節感を取り入れることで、心も身体も整っていくはずです。
七十二候で読み解く寒露(鴻雁来・菊花開)
二十四節気をさらに細かく分けたものが七十二候です。
寒露の期間は、初候「鴻雁来(こうがんきたる)」、次候「菊花開(きくのはなひらく)」、末候「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」の三つに分けられます。
鴻雁来は、ガンなどの渡り鳥が北から飛来し始める時期を表しています。
菊花開は、まさに菊の花が咲き誇る季節。
菊は古来より邪気を払い、長寿をもたらす花とされてきました。
蟋蟀在戸は、キリギリスが戸口で鳴く様子を表現したもの。
虫の声で秋の深まりを感じる、情緒豊かな表現です。
こうした細やかな季節の変化に目を向けることで、自然のリズムを身近に感じられるようになります。
日照時間とメンタルの関係:秋の物悲しさの正体
秋になると「なんとなく寂しい」と感じるのは、決してあなただけではありません。
日照時間の減少により、脳内のセロトニンという神経伝達物質の分泌が減少することが、科学的にも証明されています。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分の安定に重要な役割を果たしているのです。
加えて、東洋医学の視点では、肺と悲しみの感情が密接に結びついています。
秋に肺が影響を受けやすいため、憂いや悲しみの感情も出やすくなるという理論です。
こうしたメカニズムを理解すれば、「自分が弱いせいだ」と自分を責める必要はないと分かります。
季節の影響として受け止め、無理せずゆったり過ごすことが大切なのです。
心を緩める香り・ハーブティーの選び方
香りは心に直接働きかける力を持っています。
秋におすすめのアロマは、ラベンダーやカモミール、ベルガモットなど。
これらの香りはリラックス効果が高く、憂いの感情を和らげてくれます。
ハーブティーも心を癒す優れたアイテム。
カモミールティーは安眠効果があり、寝る前に飲むとぐっすり眠れます。
ペパーミントティーは呼吸器をすっきりさせる効果があり、鼻づまりが気になる時にぴったり。
ルイボスティーはノンカフェインで抗酸化作用も高く、美容と健康の両方に嬉しいお茶です。
お茶を淹れる時間そのものが、心を落ち着かせるひとときになります。
忙しい日常の中に、そんな丁寧な時間を持つことも、秋の養生の一環なのです。
季節を取り入れた暮らしが”開運”につながるという視点
東洋医学では、自然のリズムに合わせて生きることが健康の基本とされています。
これは単に身体の健康だけでなく、運気を高めることにもつながると考えられているのです。
なぜなら、宇宙の流れに調和して生きることで、自然と良いことが引き寄せられるという思想があるからです。
季節の食材を食べ、季節に合った過ごし方をすることは、まさに自然との調和。
旬のものを食べるという行為は、その時期に必要な栄養やエネルギーを取り入れることでもあります。
また、季節の行事や風習を大切にすることも、開運につながると言われています。
寒露の時期であれば、菊を飾ったり、十三夜のお月見を楽しんだりすることも、運気を整える方法のひとつなのです。
関連する季節記事・養生の内部リンクまとめ
寒露の前後の節気についても理解を深めると、より効果的な養生ができます。
寒露の前は秋分、後は霜降という節気が続きます。
それぞれの時期に応じた養生法を知ることで、一年を通じて健康を維持できるのです。
秋分は昼夜の長さが同じになる日で、バランスを整えることが重要な時期。
霜降は文字通り霜が降りる頃で、いよいよ冬への準備を本格化させる必要があります。
こうした季節の流れを意識しながら、前の季節から次の季節へとスムーズに移行していくことが、東洋医学的な養生の基本なのです。
各季節の特徴を理解し、それに合わせた生活を送ることで、体調を崩すことなく一年を過ごせるようになります。
まとめ
寒露は秋が深まり、乾燥と冷えが本格化する季節。
東洋医学では、この時期は肺と大腸が影響を受けやすく、咳や肌荒れ、便秘といった不調が出やすいと考えられています。
また、憂いや悲しみの感情も出やすくなるため、心のケアも大切です。
対策としては、梨やれんこん、白きくらげなど肺を潤す食材を積極的に取り入れ、ごまやナッツで腸を潤すことがポイント。
朝晩の冷えには三首(首・腰・足首)を温め、室内の加湿と肌の保湿を心がけましょう。
早寝を心がけて陰を養い、適度な運動で気血の巡りを良くすることも重要です。
ツボ押しやストレッチなどのセルフケアも、毎日の習慣に取り入れてみてください。
季節の変化を楽しみながら、自然のリズムに合わせた暮らしを実践することで、心身ともに健やかな秋を過ごせるはず。
今日からできることを、ひとつずつ取り入れてみてくださいね!





