
「御朱印っていくらぐらいかかるの?お釣りが出るほど高額紙幣を持っていっても大丈夫?」
そんな疑問を持ちながら、御朱印デビューを考えている方も多いのではないでしょうか。御朱印の相場は神社やお寺によって異なり、地域差もあるため、事前に価格帯を知っておくことが大切です。
この記事では御朱印の基本料金から特別な御朱印の価格まで、相場の全体像を詳しくお伝えしていきます。さらに、なぜ神社ごとに価格差があるのかという背景についても、御朱印巡りを始める前に知っておくと安心な情報をまとめました。御朱印巡りをより楽しく、スムーズに進められるよう、ぜひ参考にしてみてください!
御朱印の基本料金はいくら?全国的な相場を解説
御朱印をいただく際の金額について、まずは全国的な相場を確認していきましょう。現在最も多い金額は300円で、神社・お寺問わず現時点で一番多い金額です。特に金額の明示がない場合は、300円で考えておけば基本は大丈夫です。
なお、御朱印は「商品」ではありません。神社では正式には「初穂料(はつほりょう)」、お寺では「納経料」「志納金」「志納料」などと呼びます。お店での買い物とは意味合いが異なることも、覚えておきたいポイントです。
一般的な御朱印の相場は300円〜500円が主流
全国の神社・お寺を回った実例から見ると、現時点で、300円が事実上の標準です。これまでかなりの数の寺社に行ってきた結果、ほぼ9割が「300円」でしたという報告もあります。
300円の次に多いのは「500円」です。500円のケースで多いのは、御朱印が人気のお寺や神社。もともとは「300円」でしたが、御朱印を頂く人が増えたことで通常業務への支障や、人員確保の為という経緯が多そうです。
つまり、御朱印巡りをする際は最低でも300円、多くても500円程度を目安に小銭を準備しておけば安心ということになります。
地域や神社によって異なる価格設定の実例
全国的に300円〜500円が主流とはいえ、地域や神社の規模によって価格設定は変わってきます。
概ね300円~1000円程度という幅があり、特に有名な神社やお寺では価格が高めに設定されることもあります。また、京都の一部のお寺ですが、境内の奥に入るのに拝観料が必要なところがありました。御朱印の授与所もその中にあるため、御朱印だけもらうというわけにいかないという場合もあり、御朱印代と拝観料が別途必要になるケースもあります。
地方の小さな神社では300円が一般的ですが、都市部の有名な寺社では500円から1000円程度となる傾向が見られます。
2025年現在、値上がり傾向にあるって本当?
東京都神社庁葛飾区支部の神社では、2018年に一律で500円に変更になったようですという事例からも分かるように、全国的に値上がりの傾向は見られます。
その理由として、御朱印人気の高まりにより参拝者が増加し、対応する人員の確保や書き手の負担増加などが挙げられます。今の御朱印人気を考えれば、全国的にも500円に値上げする場所が増える(もしくは書き置きの御朱印が増えるか・・)かもしれません。
現在の需要と供給のバランスを考えると、今後さらに500円を採用する神社・お寺が増える可能性があります。
なぜ神社ごとに御朱印の値段が違うの?その理由と背景
御朱印の価格が神社ごとに違う理由について、その背景を詳しく見ていきましょう。価格差には、神社の歴史や立地、御朱印の形式など、さまざまな要因が関係しています。
御朱印の価格設定には、それぞれの神社・お寺の事情が深く関わっているのです。
神社の格式や立地による価格差の背景
神社の格式や立地は、御朱印の価格設定に大きく影響しています。都市部の有名神社と地方の小さな神社では、参拝者数や運営コストが大きく異なるためです。
明治神宮や浅草寺のような大きな社寺では参拝者が多く、御朱印を書く専任のスタッフを配置する必要があります。一方、地方の小さな神社では宮司さんが一人で対応することが多く、人件費の考え方も変わってくるのです。
また、観光地にある神社・お寺では、御朱印帳などの授与品も含めた総合的な収入バランスを考慮して価格設定されることもあります。
書置きと直書きの違いが価格に影響する理由
御朱印には「直書き」と「書置き」の2つの形式があり、これが価格に影響する場合もあります。直書きは目の前で一つひとつ手書きしてもらう形式で、書置きはあらかじめ紙に書かれた御朱印をいただく形式です。
直書きの場合は書き手の時間と労力がかかるため、書置きよりも若干高めに設定される場合があります。また、混雑する神社では効率化のため書置きのみとし、価格を抑えているケースも見られます。
ただし、書置きだからといって必ずしも安いとは限りません。むしろ、特別な和紙を使った書置きの御朱印の方が高価な場合もあります。
限定御朱印や特別なデザインが高額になるワケ
「2ページ分使う見開きの御朱印」を頂けるケースもあります。その場合は「1ページ300~500円×2」で、600円~1000円前後の料金です。
季節限定や祭事限定の御朱印、アート系の装飾が施された御朱印は、通常よりも高額に設定されることがほとんどです。これは、特別な和紙や金箔、刺繍などの材料費、デザインの企画・制作費、限定性による付加価値などが反映されているためです。
日本の伝統技術である美濃和紙と繊細で優美な刺繍を重ね合わせ、雅な御朱印符になりました。刺繍を入れた美濃和紙にお印をして授与致しますという例では、「新・道開き」(チャーム型)が1200円、「トキ」(大和がさね)が1000円と、通常の御朱印より高めの価格設定となっています。
特別な御朱印・限定御朱印の価格は高い?例を交えて紹介
特別な御朱印や限定御朱印の価格について、具体例を見ながら確認していきましょう。通常の御朱印と比べて、どの程度の価格差があるのでしょうか。
限定御朱印は材料費や制作工程の違いから、通常より高額になる傾向があります。
季節限定・祭事限定の御朱印の相場例
季節限定や祭事限定の御朱印は、通常の御朱印よりも500円〜1000円程度高く設定されることが多いです。これは、特別なデザインや和紙を使用することが理由です。
「本堂」をテーマにして、季節ごとにモチーフを変え、四季折々の花々を添えた切り絵御朱印です。色鮮やかな台紙で、さらに華やかさを表現しましたという善光寺の例では、通常の御朱印とは別に特別な価格設定がなされています。
お正月や祭礼期間中のみ頒布される限定御朱印では、金色の文字で書かれたり、特別な印が使用されたりすることで、通常の300円から800円〜1200円程度となるケースが見られます。
アート系・装飾入り御朱印はなぜ高額?
近年人気の高いアート系御朱印や装飾入り御朱印が高額になる理由には、材料費と制作時間の両方が影響しています。
金箔や銀箔を使用した御朱印、刺繍が施された御朱印、切り絵を組み合わせた御朱印などは、通常の墨と朱印だけの御朱印とは制作工程が大きく異なります。一つひとつ手作業で装飾を施すため、時間も材料費もかかるのです。
例えば、刺繍入りの御朱印では和紙に事前に刺繍を施し、その上から墨書きを行うため、通常の倍以上の手間がかかります。こうした工程の違いが、1000円〜2000円という価格設定につながっています。
高価格帯の御朱印はどこまでが”妥当”なのか?
高価格帯の御朱印について、どこまでが妥当な価格なのかという点は参拝者にとって気になるところです。一般的に、材料費と制作時間を考慮した適正価格かどうかが判断の基準となります。
「新・道開き」(チャーム型)初穂料1200円、「トキ」(大和がさね)初穂料1000円という例では、美濃和紙と刺繍という伝統技術を組み合わせた特別な御朱印符となっており、材料費と技術料を考慮すると妥当な価格設定と言えるでしょう。
一方で、通常の御朱印と大差ない内容で高額に設定されている場合は、参拝者として疑問を感じることもあります。重要なのは、その神社・お寺の説明を聞き、納得した上でいただくかどうかを判断することです。
御朱印帳の値段と相場もチェック!セット販売との違いは?
御朱印をいただくには専用の御朱印帳が必要です。御朱印帳の価格相場や、神社オリジナル品の価値について確認していきましょう。
値段は1000円から2000円程度が多く、特別な素材で作られているものは、より高価になる傾向があります。
御朱印帳の価格帯は?安価品から高級品まで比較
値段の相場は大体1000〜1500円程度で購入できます。中には2000〜3000円という値段の御朱印帳もあるのですが、値段が高額なものはあまり見かけることはありません。
僕の手元の御朱印帳のうち、約半分が1500円でした。御朱印帳の値段の一般的な相場と考えてOKなのではという実例もあり、1500円前後が最も一般的な価格帯と言えるでしょう。
文房具店や通販で購入する場合と神社・お寺で購入する場合を比較すると、神社やお寺で買うより少し高いですがだいたい1500円〜2000円で購入できるようですという状況です。
神社オリジナル御朱印帳の価値と価格例
神社オリジナルの御朱印帳は、その神社ならではのデザインや歴史が反映されており、コレクションとしての価値も高いものです。
万松寺(愛知県名古屋市)では、織田信長の父・信秀公の異名「尾張の虎」にちなんだ虎御朱印帳を2000円で授与しています。明治神宮(東京都渋谷区)では、御祭神ゆかりの花菖蒲で染めた特別な記念版御朱印帳を御朱印込みで2000円という価格設定です。
三光稲荷神社(愛知県犬山市)では、犬山城と赤い鳥居のデザインが施された御朱印帳を1000円で授与しており、犬山成田山でもオリジナル御朱印帳を1200円で頒布しています。
御朱印帳と御朱印のセット価格に注意!損しない選び方
神社やお寺では、御朱印帳と御朱印をセットで授与している場合があります。このセット価格には、御朱印帳の代金と御朱印の初穂料が含まれており、個別に授与するよりもお得な場合があります。
例えば、ある神社では御朱印帳と御朱印のセットが1,200円で授与されており、通常の御朱印の初穂料が500円であることから、御朱印帳自体の価格は実質700円となります。また、別の神社ではセット価格が1,600円で、御朱印の初穂料が300円の場合、御朱印帳の価格は1,300円と考えられます。
このように、セット価格から御朱印の初穂料を差し引くことで、御朱印帳の実質的な価格を把握できます。購入前にセット内容と単品価格を比較し、お得かどうかを判断することをおすすめします。
御朱印は”無料ではない”って本当?志納金とマナーの基本
御朱印をいただく際の金銭的な考え方について、正しい理解を深めていきましょう。御朱印は”商品”ではなく、「奉納金」「寄付」と同じ意味合いというのは覚えておきたいポイントです。
御朱印を「購入する」のではなく、神仏への感謝の気持ちとして「お納めする」という意識が大切になります。
御朱印の”値段”ではなく”志納金”という考え方
神社では「初穂料」、お寺では「お志(こころざし)」あるいは「志納料」などと言います。志を納めるということですね。
御朱印をいただく際にお渡しするお金は、商品の代金ではありません。神様・仏様への感謝の気持ちを形にしたものであり、信仰に基づく尊いやり取りなのです。
「金額はお気持ちで(御志納)」というケースがある理由も、この考え方に基づいています。「お気持ちで」と言われた場合は、基本的に相場である300円または500円をお納めすれば問題ありません。もちろん、いくらにするかは気持ち次第です。
御朱印代を「高い」と感じた時に知っておきたいこと
特別な御朱印で1000円を超える価格設定を見ると「高い」と感じることもあるかもしれません。そんな時は、その御朱印の制作背景を理解することが大切です。
手間をかけた装飾や特別な材料を使用している場合、その分の費用が反映されているのは自然なことです。また、その神社・お寺の維持管理費や、御朱印を書いてくださる方への対価も含まれています。
もし価格に納得できない場合は、無理にいただく必要はありません。通常の御朱印があればそちらをお願いしたり、別の機会に再訪したりと、自分にとって適切な選択をすることも大切です。
お金の受け渡しマナーと心構え:ありがたく頂く姿勢を大切に
御朱印代をお渡しする際のマナーも重要なポイントです。「おいくらお納めすればいいですか?」「お納めする額を教えて頂けますか?」と、現金を「支払う」のではなく、「納めさせて頂く」という感覚で接することが大切です。
なるべくおつりが出ないように小銭を準備しておくのがベターです。明治神宮や浅草寺のような大きな社寺ではおつりの用意がありますが、地方の小さな社寺では用意のない場合もあります。
日頃から小銭が出たら100円玉だけ別の小銭入れやコインケースなどに保管しておき、御朱印袋などに入れて持ち歩くのがおすすめという準備をしておくと、スムーズで丁寧な受け渡しができます。
御朱印巡りを楽しむために!マナー・注意点・よくある質問まとめ
御朱印巡りを始める前に知っておきたいマナーや注意点について、最後にまとめてお伝えしていきます。正しいマナーを身につけることで、より充実した御朱印巡りを楽しめるでしょう。
御朱印とはそもそも写経して寺社に収めた証しにいただくものでした。今では納経をしなくても授与いただける寺社がほとんどですが、あくまで参拝の証であることに違いありません。
御朱印をもらうときの基本マナー3つ
御朱印をいただく際に絶対に守りたい基本マナーが3つあります。
まず第一に、まず神仏に手を合わせて、参拝してからいただくようにしましょう。御朱印は、スタンプラリーではありません。その場所に行った記念のスタンプなどのコレクションではなく「私はこの神社お寺にお参りしました」という参拝の証です。
第二に、専用の御朱印帳を持参することです。ノートやメモ帳、書類の裏に書いてもらおうとするのはNGです。ノートやメモ帳を差し出すことはマナー違反なので、必ず専用の帳面に書いていただくようにしましょう。
第三に、受付時間を守ることです。寺社は朝が早い分、夕方には門扉を閉じてしまうところも珍しくありません。事前に受付時間を確認し、余裕を持って参拝しましょう。
混雑時や書置き対応の神社ではどうすればいい?
人気の神社・お寺では混雑により書置きの御朱印のみとなることがあります。そのような場合は、その神社のルールに従って静かに順番を待ちましょう。
人気の寺社では休日に御朱印の書き上がりを待つ人が長蛇の列になり、30分以上の待ち時間があるところもあります。時間に余裕を持って参拝計画を立てることが大切です。
また、有名な寺社は御朱印の希望者で混雑するため、書き置きのみが用意されていて記帳は受け付けていないこともあります。書置きでも御朱印の価値は変わりませんので、ありがたくいただきましょう。
御朱印巡りの際の服装・時間帯・マナー違反に注意!
御朱印巡りの際は、神聖な場所にふさわしい服装を心がけましょう。露出の多い服装や派手すぎる格好は避け、清潔感のある装いで参拝することが大切です。
御朱印を頂ける時間帯は神社やお寺によってさまざま。一概には言えませんが、9時~16時(17時)といった時間帯に受付されている寺社が多い印象です。また、お一人で受付されている寺社の場合、お昼時12時~13時は休憩中の場合も多いことも覚えておきましょう。
マナー違反として特に注意したいのは、参拝もせずに一目散に授与所へやってきて「御朱印をください」と声をかける行為や、1万円札や5千円札などの高額紙幣を出すことです。事前の準備と心構えで、気持ちよく御朱印をいただきましょう。
まとめ
御朱印の相場について詳しく見てきましたが、基本的には300円〜500円が全国的な標準となっています。特別な御朱印や限定品の場合は1000円を超えることもありますが、その背景には材料費や制作工程の違いがあることを理解しておくことが大切です。
御朱印は単なる記念品ではなく、神仏への感謝の気持ちを表す志納金という性質を持っています。価格だけでなく、参拝の証としての意味を大切にしながら、マナーを守って御朱印巡りを楽しんでください。
事前に小銭を準備し、参拝を済ませてから御朱印をいただくという基本的な流れを押さえておけば、安心して御朱印デビューできるでしょう。神社・お寺それぞれの特色ある御朱印と出会いながら、心豊かな時間を過ごしてみてください!