「神社に行くと手を洗う場所があるけど、正しいやり方がわからない……」
初めての神社参拝や久しぶりの訪問で、手水舎の前で戸惑った経験はありませんか。
周りの人の様子をうかがいながら、なんとなくドキドキしてしまうものです。
この記事では、手水舎の由来から正しい5つのステップ、よくあるNG行為まで、初心者が知っておきたい情報を丁寧にお伝えしていきます。
参拝前の大切な清めの儀式をマスターして、自信を持って神様と向き合えるようになりましょう!
そもそも手水舎とは? — 禊(みそぎ)を簡略化した参拝前の所作

手水舎とは、神社やお寺で参拝者が手や口を清める場所のことです。
「てみずや」「ちょうずや」「てみずしゃ」「ちょうずしゃ」など、複数の呼び方がありますが、どれも正しい読み方とされています。
神社本庁では「てみずや」と表記しており、大國魂神社では「てみずしゃ」と呼ぶなど、神社によって読み方が異なるのが特徴です。
また、「水盤舎(すいばんしゃ)」や「御水屋(おみずや)」という別名で呼ばれることもあります。
手水舎の建物は、四本の柱に屋根を乗せた吹き抜けの構造が一般的です。
中央には水盤が設置され、常に清らかな水が流れるようになっています。
水盤には「洗心(せんしん)」「漱水(そうすい)」「祓禊(みそぎはらえ)」といった文字が刻まれていることも。
これらはそれぞれ、「両手と口を清め、心を鎮める」「口を洗う、うがいをする」「祓いとみそぎ」を意味しており、手水の本質を表しています。
手水舎の役割と由来|なぜ清めるのかを知ろう
手水舎の最も重要な役割は、参拝前に心身を清めることにあります。
日本の神様は穢れ(けがれ)を忌み嫌い、清浄を好むとされているからです。
古来より、水には穢れを祓う特別な力があると信じられてきました。
そのため、神聖な場所に入る前に、日常の汚れや邪気を落とす必要があったのです。
手水舎で手と口を清めることは、単なる衛生的な行為ではありません。
むしろ、神様に対する敬意を示し、心を整える大切な儀式として位置づけられています。
一連の動作を丁寧に行うことで、参拝者は自分自身と向き合う時間を得ることができるのです。
「手水」と「禊」の関係|神道における”心身の清浄”とは
手水の起源は、神道における「禊(みそぎ)」という儀式にさかのぼります。
禊とは、神事の前に川や海で全身を清める行為のことです。
古代の日本では、白装束や鉢巻を身につけて、祝詞を唱えながら川で身を清めるのが一般的でした。
日本神話では、イザナギノミコトが黄泉の国から帰還した際に水に入って禊を行ったことが、この風習の始まりとされています。
伊勢神宮の五十鈴川や上賀茂神社の御手洗(みたらし)など、現在でも川で身を清められる場所が残されています。
しかし、時代の流れとともに、すべての神社の近くに清流があるわけではなくなりました。
また、衛生面や立地面の変化により、参拝前に川で全身を清めることが困難になったのです。
そこで生まれたのが手水舎という施設でした。
手水舎は、本来の禊を簡略化し、境内でも気軽に清めができるようにしたものなのです。
茶道の所作を参考に、手と口だけを清める形式が整えられたと言われています。
鎌倉時代以降に普及したとされる手水舎は、現代に至るまで参拝の重要な一部として受け継がれているのです。
神社とお寺の違い|どちらでも使っていいの?
手水舎は、もともと神道の考えに基づいて作られた施設です。
そのため、神社に設置されているのが本来の形といえます。
しかし、実際には手水舎を設置しているお寺も少なくありません。
これは、日本独自の「神仏習合」という思想と深く結びついているからです。
神仏習合とは、神道と仏教が融合した日本特有の信仰形態のこと。
長い歴史の中で、神社とお寺が互いの文化や儀式を取り入れてきた結果、お寺にも手水舎が設置されるようになりました。
お寺で手水舎を利用する際も、神社に準じて同様の作法で問題ありません。
つまり、神社でもお寺でも、手水舎があれば基本的には同じ方法で身を清めることができるのです。
ただし、お寺の場合は仏様への参拝という意味合いが異なるため、その後の拝礼作法は変わってきます。
手水舎での清め方自体は共通していますが、その先の参拝方法については場所に応じて使い分けることが大切です。
初心者でも迷わない!手水舎の正しい5ステップ

ここからは、手水舎での具体的な清め方を順番にご紹介していきます。
初めての方でも迷わないよう、5つのステップに分けて詳しくお伝えしていきましょう。
手水舎に到着したら、まずは心を落ち着かせることが大切です。
邪念を払い、穏やかな気持ちになれたら軽く一礼をしてから始めます。
① 右手で柄杓を持ち、左手を清める
最初のステップは、右手で柄杓(ひしゃく)を持つところから始まります。
柄杓には、たっぷりと満杯になる程度まで水を入れてください。
この最初に汲んだ一杯の水で、すべての手順を行うのが基本です。
何度も水を汲むのはマナー違反とされていますので、注意しましょう。
右手で柄杓を持ったら、そのまま左手に水をかけて清めます。
使う水の量の目安は、柄杓全体の3割程度。
この後の手順でも水を使うため、すべてを左手にかけないように気をつけてください。
神仏関連の作法では、基本的に左が上位とされています。
そのため、左手から清めるという順序にも意味が込められているのです。
② 柄杓を左手に持ち替えて、右手を清める
続いて、柄杓を左手に持ち替えます。
このとき、水をこぼさないように丁寧に持ち替えることがポイントです。
持ち替えたら、左手と同様に3割程度の水を使って右手を清めましょう。
両手を清めることで、日常の穢れを落とし、清浄な状態にしていきます。
左右の手を均等に丁寧に洗うことで、心も整っていくのです。
③ 左手に水を受けて口をすすぐ(柄杓に口をつけない)
両手を清めたら、再び柄杓を右手に持ち替えます。
次は口を清める番です。
ここで重要なのは、柄杓に直接口をつけてはいけないということ。
柄杓はみんなで使う共用の道具なので、衛生面からも避けるべき行為とされています。
正しい方法は、左手で水を受け、その水で口をすすぐことです。
左手に水をため、その水を口に含んでゆっくりとすすぎます。
すすいだ水は飲み込まずに、手水舎の脇や排水溝にそっと吐き出してください。
水盤の中に吐き出すのはマナー違反ですので注意しましょう。
吐き出すところが見えないように、左手で口元をおおうと上品です。
もし口をすすぐことに抵抗がある場合は、口元に水を近づけるだけでも構いません。
大切なのは、形式よりも心を込めて清めの儀式を行うことなのです。
④ もう一度左手を清めて整える
口をすすいだ後は、もう一度左手を清めます。
これは、口をすすぐ際に左手で水を受けたため、その左手をもう一度清めるという意味があります。
残りの水を使って、左手に水をかけて洗いましょう。
これで両手と口が清められた状態になります。
⑤ 柄杓の柄(え)を洗い、静かに元の位置へ戻す
最後に、柄杓そのものを清めます。
柄杓を縦に持ち、残った水で柄(え)の部分を洗い流してください。
柄杓を立てるようにすると、水が柄に伝わって自然に洗うことができます。
これは、次に使う人が気持ちよく使えるようにするための配慮です。
柄を清めたら、柄杓を伏せて元の位置に静かに戻します。
手水舎を離れるときも、軽く一礼をするとより丁寧です。
一連の流れを終えたら、髪や顔など余計な場所を触らないようにしましょう。
せっかく清めた手が、また汚れてしまうからです。
手水のコツ|一杓(いっしゃく)で美しく完結させる
手水舎での作法を美しく行うコツは、最初に汲んだ一杓の水で全てを完結させることです。
そのため、各ステップで使う水の量を意識することが重要になります。
具体的には、左手3割、右手3割、口をすすぐ水2割、再度左手を清める水1割、柄を清める水1割という配分が理想的です。
慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、何度か練習すると自然に身についていきます。
また、一つひとつの動作をゆっくり丁寧に行うことも大切です。
急いで雑に行うよりも、落ち着いた心で静かに清める方が、本来の意味に沿った行為といえます。
手水は、参拝者が神様と向き合う前に心を整える大切な時間なのです。
その仕草、実はNG?初心者が間違いやすい手水のマナー

手水舎での作法には、知らずにやってしまいがちなNG行為がいくつかあります。
ここでは、初心者が特に間違いやすいマナー違反について取り上げていきましょう。
正しい知識を身につけることで、自信を持って手水を取ることができます。
柄杓に口をつける・水盤に吐くのはNG
最も多い間違いが、柄杓に直接口をつけて水を含むことです。
これは「灼水(しゃくみず)」と呼ばれ、無作法とされています。
柄杓はみんなで使う共用の道具ですから、衛生上も良くありません。
後の人が気持ちよく使えるように、必ず左手で水を受けて口に運びましょう。
また、口をすすいだ水を水盤の中に戻すのもマナー違反です。
手水舎の水は神聖なものとして扱われているため、すすいだ水は必ず水盤の外に流してください。
手水舎の周りの排水溝や脇に、そっと吐き出すのが正しい方法です。
さらに、一度汲んだ水を水盤に戻すこともNGとされています。
もし柄杓に水が残ってしまった場合は、水盤の外側や排水溝に流しましょう。
音を立てる・水を飛ばすのも避けよう
手水舎は神聖な場所ですから、静かに落ち着いて行うことが求められます。
口をすすぐ際に、「ぐちゅぐちゅ」と大きな音を立てるのは避けましょう。
音を立てずに静かにすすぎ、そっと吐き出すのがマナーです。
また、手を洗う際に水を飛び散らせないよう注意してください。
水が飛び散ると、周りの人にかかってしまう可能性があります。
少し低い位置で一連の動作を行うことで、水の飛散を防ぐことができます。
柄杓を持つときも、勢いよく振り回したり雑に扱ったりしないことが大切です。
丁寧にゆっくりと扱うことで、品のある所作になります。
順番を抜かす・混雑時の立ち位置にも注意
手水舎が混雑している場合でも、正しい順序を守ることが重要です。
急いでいるからといって、手順を省略したり順番を前後させたりするのは好ましくありません。
特に初詣など参拝者が多い時期は、待っている人がいることもあります。
そんなときは、前の人が終わるのを静かに待ちましょう。
焦って割り込んだり、前の人を急かしたりするのはマナー違反です。
また、待つ位置にも配慮が必要になります。
手水舎の真ん前で待つと、使っている人のプレッシャーになってしまいます。
少し離れた場所で、順番が来るのを待つのがスマートです。
自分の番が来たら、落ち着いて一つひとつの動作を丁寧に行いましょう。
混雑しているからといって急ぐ必要はありませんが、必要以上に時間をかけすぎないよう心がけることも大切です。
写真・動画撮影はOK?マナーと配慮の境界線
近年、SNSの普及により、神社での写真撮影が一般的になってきました。
手水舎も、美しいデザインや季節の花が浮かべられた「花手水」など、フォトジェニックなスポットとして人気です。
基本的に、手水舎での写真撮影自体は禁止されていないことが多いです。
ただし、撮影する際にはいくつかの配慮が必要になります。
まず、参拝者の邪魔にならないよう注意しましょう。
手水を取ろうとしている人の前に立ったり、長時間場所を占有したりするのは避けるべきです。
また、他の参拝者が写り込まないよう配慮することも重要になります。
無断で人の顔を撮影してSNSに投稿するのは、プライバシーの問題になりかねません。
さらに、神社によっては撮影禁止の場所を設けているところもあります。
境内の掲示や案内に従い、禁止されている場所では撮影を控えましょう。
花手水など特別な装飾がある場合は、混雑を避けた時間帯を選ぶのがおすすめです。
写真を撮ることも大切ですが、まずは心を込めて手水を取り、参拝することを忘れないようにしてください。
柄杓がない・子ども連れ・冬場などの”状況別”対応ガイド

手水舎の形式や参拝する状況は、いつも同じとは限りません。
ここでは、特殊な状況での対応方法についてご紹介していきます。
柄杓がない手水舎(自動水栓型)の使い方
最近では、感染症対策のために柄杓を撤去し、自動で水が出るタイプの手水舎が増えています。
このタイプの手水舎では、手をかざすと自動的に水が流れる仕組みになっています。
自動水栓型の場合も、基本的な清め方は同じです。
まず左手、次に右手、そして左手で水を受けて口をすすぐという順序は変わりません。
ただし、柄杓がないため、最後の「柄を清める」ステップは省略されます。
各神社の指示に従い、設置されている案内板やピクトグラムを確認しながら適切に清めましょう。
自動水栓型は衛生的で使いやすいため、初心者の方にとっては取り組みやすいかもしれません。
口をすすげない時の代替方法(衛生・体調への配慮)
体調不良や衛生面への不安から、口をすすぐことに抵抗を感じる方もいるでしょう。
そのような場合は、無理に口をすすぐ必要はありません。
口元に水を近づけるだけ、つまり「すすぐふり」をするだけでも構わないのです。
大切なのは、心身を清めようとする気持ちそのものだからです。
また、風邪をひいている時や体調が優れない時も、無理は禁物。
手だけを清めて、口のすすぎは省略しても問題ありません。
形式にとらわれすぎず、自分の状況に合わせて柔軟に対応することも大切です。
子ども・高齢者と一緒の参拝で気をつけたいポイント
小さな子どもや高齢者と一緒に参拝する際は、安全面への配慮が必要になります。
子どもの場合、柄杓が重くて持てなかったり、水盤に手が届かなかったりすることがあります。
そんなときは、大人が手伝ってあげましょう。
柄杓を持ってあげて水をかけたり、抱っこして高さを調整したりするのも良い方法です。
ただし、子どもにとって手水は初めての体験であることが多いため、丁寧に教えてあげることが大切になります。
「まずは左手を洗おうね」「柄杓にお口をつけちゃダメだよ」といった具合に、優しく声をかけながら一緒に行うと良いでしょう。
高齢者の場合は、長時間立っているのが辛い方もいらっしゃいます。
手水を取る際は、付き添いの方がサポートし、無理のない範囲で行うことをおすすめします。
また、冬場は水が冷たいため、高齢者や子どもには負担になることも。
その場合は、手だけを軽く清める程度にとどめるなど、状況に応じて調整しても問題ありません。
寒い季節・混雑時でも落ち着いて清めるコツ
冬の手水舎は、水が非常に冷たくなります。
特に1月の初詣シーズンなどは、凍えるような冷たさを感じることもあるでしょう。
そんな時でも、できる限り丁寧に手水を取ることが望ましいです。
冷たさに備えて、ハンカチやタオルを用意しておくと良いでしょう。
手水を終えた後、すぐに拭けるようにしておくことで、冷えを軽減できます。
また、手袋をしている場合は、手水の前に外しておくことをおすすめします。
混雑時は、前述の通り焦らず落ち着いて行動することが大切です。
待っている人がいても、基本的な作法は省略せずに行いましょう。
ただし、必要以上に時間をかけすぎないよう、スムーズに動くことを心がけてください。
寒さや混雑といった状況に関わらず、心を込めて清めるという姿勢を忘れないことが何より重要なのです。
英語で説明もバッチリ!訪日ゲストや海外同行者に伝える手水舎の使い方

海外からのゲストや友人と一緒に神社を訪れる機会も増えてきました。
そんなとき、手水舎の使い方を英語で説明できると、より充実した体験を共有できます。
“Temizuya”を英語で説明するフレーズ例
手水舎を英語で説明する際、「Temizuya」という日本語をそのまま使うのが一般的です。
その上で、簡潔に意味を説明すると良いでしょう。
例えば、”Temizuya is a water purification pavilion where you cleanse your hands and mouth before entering the shrine.”(手水舎とは、神社に入る前に手と口を清める水の清めの場所です)といった表現が使えます。
また、”This is a symbolic ritual to purify your body and mind before meeting the gods.”(これは神様に会う前に心身を清める象徴的な儀式です)と補足すると、より深い理解につながります。
手順を説明する際は、シンプルな英語で順を追って伝えましょう。
“First, hold the ladle with your right hand and pour water over your left hand.”(まず、右手で柄杓を持ち、左手に水をかけます)
“Then, switch the ladle to your left hand and cleanse your right hand.”(次に、柄杓を左手に持ち替えて、右手を清めます)
“Pour water into your left hand and rinse your mouth. Don’t drink the water or put the ladle directly in your mouth.”(左手に水を注ぎ、口をすすぎます。水を飲んだり、柄杓を直接口につけたりしないでください)
こうした具体的な説明を添えることで、海外の方でも正しく手水を取ることができます。
日本文化として伝えるポイント(礼儀・静けさ・清めの心)
手水舎の作法を伝える際、単なる手順だけでなく、その背景にある日本文化も説明できると良いでしょう。
特に大切なのは、「礼儀」「静けさ」「清めの心」という3つの要素です。
日本の神道では、神様に対する敬意を示すために、清浄な状態で参拝することが重視されます。
“In Japanese culture, cleanliness is very important when approaching sacred spaces.”(日本文化では、神聖な場所に近づく際の清浄さが非常に重要です)と説明すると良いでしょう。
また、静かに落ち着いて行うことの大切さも伝えてください。
“Please do it quietly and calmly. This is a moment to calm your mind.”(静かに落ち着いて行ってください。これは心を落ち着かせる時間です)といった表現が適切です。
形式的な清めだけでなく、心を整えるという精神的な意味があることを理解してもらえると、より深い体験になります。
ピクトグラムや英語標識の活用方法
最近では、多くの神社で外国人観光客向けのピクトグラム(絵文字)や英語の案内板が設置されています。
これらは視覚的に分かりやすく、言葉が通じなくても理解しやすいのが特徴です。
同行者に説明する際は、「この絵の通りにやってみてください」と案内板を指し示すのも効果的な方法になります。
“Follow the pictograms on the sign.”(看板のピクトグラムに従ってください)というシンプルな指示で十分でしょう。
また、スマートフォンの翻訳アプリを活用するのもおすすめです。
神社によっては、QRコードを読み取ると多言語での説明が表示されるシステムを導入しているところもあります。
こうしたツールを上手に活用しながら、日本の伝統文化を海外の方にも楽しんでもらいましょう。
参拝全体の流れと手水舎の位置づけ — 鳥居・参道・拝殿までのマナーまとめ

手水舎は、神社参拝の一部に過ぎません。
ここでは、鳥居をくぐるところから拝殿での参拝、そして帰るまでの一連の流れをご紹介していきます。
鳥居での一礼と参道の歩き方
神社参拝は、鳥居の前から始まります。
鳥居は、神域と俗世を隔てる境界を示すもの。
そのため、鳥居をくぐる前には必ず一礼をして、神様に挨拶しましょう。
服装を整え、帽子をかぶっている場合は脱いでから一礼するのがマナーです。
鳥居をくぐったら、参道を歩いて進みます。
ここで気をつけたいのが、参道の中央を避けて歩くということ。
参道の中央は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様が通る道とされています。
参拝者は左右のどちらかの端を歩くのが正しい作法です。
走ったり早歩きしたりせず、落ち着いた気持ちで静かに進みましょう。
参道を進むと、手水舎が見えてきます。
ここで前述の5ステップに従って、手と口を清めてください。
手水を終えたら、拝殿に向かって進みます。
手水舎の後に行う拝礼(二拝二拍手一拝)の基本
拝殿の前に到着したら、賽銭箱の前に立ちます。
まずは軽く会釈をしてから、お賽銭を入れましょう。
お賽銭は投げ入れるのではなく、そっと滑り入れるように丁寧に入れるのがマナーです。
鈴がある場合は、静かに1度鳴らします。
そして、いよいよ「二拝二拍手一拝(にはいにはくしゅいっぱい)」の作法で拝礼を行います。
まず、腰を90度に折って深いお辞儀を2回行いましょう。
背中を平らにし、しっかりと腰から曲げることがポイントです。
次に、胸の前で両手を合わせます。
このとき、右手の指先を少し下にずらしてください(第1関節くらいまで)。
そして、肩幅程度に両手を開き、2回拍手を打ちます。
拍手を打ち終わったら、指先を揃えて心を込めて祈願しましょう。
最後に、もう一度深いお辞儀を1回行います。
これで二拝二拍手一拝の作法は完了です。
なお、神社によっては拍手の回数が異なることがあります。
出雲大社や宇佐神宮では「二拝四拍手一拝」、彌彦神社でも「二拝四拍手一拝」が基本です。
各神社の案内に従って、適切な作法で参拝しましょう。
参拝後の過ごし方・御朱印を頂く順番
拝礼を終えたら、軽く会釈をして退きます。
このとき、後ろ向きにならず、体を斜めにしながら下がると良いでしょう。
参拝が終わった後は、境内を散策したり、御朱印を頂いたりする時間です。
御朱印は、参拝した証としていただくもの。
基本的には、参拝を済ませてから御朱印所に向かうのが正しい順序とされています。
御朱印所では、「御朱印をお願いします」と丁寧にお願いしましょう。
御朱印帳を開いた状態で渡し、書いていただいている間は静かに待ちます。
御朱印をいただいたら、「ありがとうございます」とお礼を述べるのを忘れずに。
帰る際も、来た時と同様に参道の端を歩き、鳥居の前で振り返って一礼します。
これで、一連の神社参拝が完了です。
手水舎での清めから始まり、拝礼、そして帰るまで、すべての動作に意味が込められています。
一つひとつを丁寧に行うことで、より充実した参拝体験となるでしょう。
まとめ

手水舎は、神様に会う前に心身を清める大切な場所です。
古来の禊を簡略化したものであり、単なる手洗いではなく、心を整える儀式として位置づけられています。
正しい手順は、①右手で柄杓を持ち左手を清める、②柄杓を左手に持ち替えて右手を清める、③左手に水を受けて口をすすぐ、④もう一度左手を清める、⑤柄杓の柄を洗うという5ステップでした。
柄杓に直接口をつけない、水盤に水を戻さない、静かに落ち着いて行うといったマナーを守ることも重要です。
柄杓がない自動水栓型の手水舎や、子どもや高齢者と一緒の参拝など、状況に応じた柔軟な対応も必要になります。
手水舎での清めは、参拝全体の流れの中の一部。
鳥居での一礼から始まり、参道を歩き、手水で清め、拝殿で二拝二拍手一拝を行い、鳥居で一礼して帰るまで、すべてが神様への敬意を示す大切な所作なのです。
最初は戸惑うかもしれませんが、一度覚えてしまえば自然にできるようになります。
次に神社を訪れる際は、ぜひこの記事を思い出して、自信を持って手水を取ってみてください。
形式も大切ですが、何より重要なのは、神様に対する感謝と敬意の気持ちです。
心を込めて丁寧に清めることで、きっと清々しい気持ちで参拝できるはずです!





